遙かなる時空の中で7が発売されました。
ネオロマンス作品に触れるのも久しぶりで「おっついにきたか」と腰を上げながらのんびり神子としてゲームをプレイした感想になります。
参考までにこれまでの遙か作品を途中までプレゼンしてあります。
ということで、以下ネタバレしまくっておりますのでご注意ください。
遙かなる時空の中で7の世界観について
今自分たちの生活している「この世界の歴史」とは似ていて異なる「異世界」が舞台になっています。
だから「遙かなる時の中で」ではなく「時空」なのがポイント。
今作は3と5の間における空白の時代、「戦国時代」と呼ばれる時代になります。
主として関ヶ原の戦いの数年前からはじまり関が原におさまっていくかんじ。
コーエーテクモゲームスの特徴として「真田幸村」といえばコーエーテクモゲームスがあります。戦国無双の主人公は真田幸村ですし、それこそ「真田丸」ではシブサワ・コウが関わっている。「戦国時代(真田幸村)といえばコーエーテクモゲームス」という印象が私の中にもあるからこそ「ついにきたか」と思いました。びっくりした。
遙か7の舞台はちょうど前田利家がなくなる前後なので状況がなんとかギリギリで均衡を保っている中です。
史実と違うのは「怨霊」と呼ばれる存在が状況を悪化させているということ。
システム感想について
今回は運命上書きシステムがあるわけではないので、周回プレイしてもレベルが変わらないというか、レベル上げが非常に面倒くさい部分はあります。
一方で強い敵などに関しての長くなってしまいがちなバトルは一度こなせば「勝敗」を見る形でスキップ出来るのは便利だと思います。
今回はくるくる円陣タイプが戻ってきたので属性に合わせた動かし方が出来るのが良いところですね。もうちょっといろんな動きがあってもいいんじゃないかな、というかミニキャラの対峙の仕方がちょっとポチポチスマホゲーっぽさがあったのでそのへんは個人的にはあまり…ってかんじでした。もうちょいスムーズにやれたらいいんですが、手間取ってしまった印象です。
怨霊のデザインに関しては中ボスのデザインも変えてほしかったかなーって印象です。武将の怨霊とはいえ……それを他の敵キャラと一緒にしちゃうのは…ちょっと…という意味ではアレンジしてほしかったかも。
今作の登場人物について
登場人物の傾向としてはオリジナルキャラクターが多い6よりも、こちらの世界における歴史上人物とは「違う生き方」になっているからこそ見かけも異なる5や3に近い印象を受けました。
龍神の神子
龍神の神子にして「運命の子」(さだめのこ)です。
あちら生まれこちら育ちという立ち位置としては4の千尋に近いのかな、とも思いますが想像よりも地に足つけながらいわゆる部活で体育会系に生きている人間なので考え方が武道より。
神社で暮らしていた女子高生でしたが、自分の出自に大きく関わってきます。彼女の立ち位置は「織田信長の娘」になります。
乱世の中で最も業が深く、同時にもっとも天下に近い存在の娘。その上での「龍神の神子」になります。
龍神の神子というのは「人の世」には基本関わらない(対峙するのは怨霊など)の立ち位置であったはずが、その上で「乱世を治める」という意味で織田信長という人物の娘が選ばれるというのはなかなかエッジが効いています。
年齢的には今までの神子の中で一番時間帯的に年上(春休みなので)なのですが、グラフィック的に幼い印象があります。個人的には頬に手を当てている笑顔が可愛くて好き。
天の青龍
CV寺島拓篤氏。天の青龍になります。
真田幸村っていったら草尾毅氏のイメージがすごくあるのですが、それをさておくとして、時代考証を踏まえた上での性格や歴史キーワードが出てくるのが面白いです。
丁寧な口調ではありますがもともと傾奇者でもあるので、口が悪かったりギャップが激しいです。また、天の青龍の素質として「全部自分で背負ってしまいがち」「運命を受け入れその上で生きようとする」傾向にあると思うのですが、彼にもその素質がめちゃくちゃあります。そう、真田幸村の生きていく流れを考えればね!!!
恋愛要素というよりも「この人はこんな人柄なんだな」という部分での、ボーイミーツガールが一番最初におこるアイドルで言えばわかりやすい「センター」の立ち位置にあるのが真田幸村なので、彼と神子のやりとりというのは今作「遙かなる時空の中で7」を象徴していると思います。
とりあえずやるなら一番最後にやってほしいかもしれない。
エンディングに関しては歴史の登場人物のそうせざるを得ないのは仕方がないんですが、こう……色んな意味で…衝撃が……察してほしい…。
とりあえず真田信幸兄様を持ってきたのは「コエテクだな~~~!!!」って思いました(笑)武田信玄公と真田家の逸話なども含めて色々他作品や歴史を知っていたらにやっとする部分があるんじゃないかなと。
地の青龍
CV:鈴村健一氏。
「兄弟のように」はいろいろあったけれどリアルお兄ちゃんがきたのはなにげに初ではないでしょうか。
なにかにつけてもハイスペックですが、人間としてネガティヴなところがあったりとか自己肯定力があまり高くないところなど「ありそう」な部分がすごく出ています。苦労性で間に挟まれることが多いからこそ、織田秀信との関わり合いが見てて楽しかったです。
この作品においてのとても助かる存在であると同時に1の森村天真と同様に家族を探していることなどもとてもあります。
もう誰がみてもそうだろうなっていうゲームやってる側バレバレなんですけど(笑)それも含めてもお兄ちゃんの「会うべきか」とかの考えや、神子に対して「妹」としてではなく接していこうとするくだりがずっとずっと彼自身が抱えていたものにつながっているのが「お前何年…何年それを抱えていたんだ…!」と言いたくなります。
だからこそ、恋愛なのか兄妹なのかという狭間を抜けた「こじらせ」になっていくのがまた…なんというか、感想としては「攻めたなぁ」って印象です。
そういえば天野家の名前の付け方が完全に七五三なのちょっと笑いました。ご両親…(笑)
とりあえず「ゴーストバスター」と言われるたびに頭の中で違う人達が掃除機もって戦ってしまうのをなんとかしてほしい*1
天の朱雀
CV:阿部敦氏
こちらは宮本武蔵。日本一の剣豪として名高い彼ですが、今作では「少年」のカテゴリーにいます。立ち位置は黒田長政の近習。
幸村とはまた違った方向でまっすぐで真面目。ひたすらに言いたい言葉は「かわいいな~~~武蔵は可愛いな~!!」っていいたくなります。作品が作品ならコロコロコミックの主人公枠だと思う。
宮本武蔵というと強いイメージがありますが彼は剣術はやっていても「強い」わけではない、というのがポイント。二刀流ではない、一本の刀を使っています。
関係が悪いでおなじみ天地の八葉ですが、相方となる大和にはまっすぐ関わっていく印象があります。そういう意味ではちょっと4のサザキ/那岐コンビのようなテンションに近いかもしれないですね。
彼の話は「努力・友情・勝利」に尽きるというか、この作品における本筋、本編ではないながらも「彼の物語」として成立するかんじでしょうか。だからこそのラストシーンは天の朱雀にふさわしく暑苦しいぐらいが何事も丁度いいってかんじでした。
ちなみに属性的に私はラスボスが大変不利でして。レベル上げをしっかりしていても「普通」でプレイしていながらも負けました(笑)レベル上げご注意ください。
お芝居という意味では阿部敦さんの爽やかな声のトーンがすごく好きなので「似合うな~~~!!!」の一言でした。
地の朱雀
CV:岡本信彦氏
地の朱雀。ちょっと一匹狼の気もあるような、主人公と同じく「こちらの世界」の住人。常識人というか、現代の感覚で物事を見てくれるので無理なものは無理、とズバズバいう傾向にあります。
口が悪いのですが、面倒見が悪いわけではなくなんだかんだ主人公のことも気づかえる人です。五月とのやりとりも好きですが、八葉たちにだんだんと馴染んでいく姿は人に慣れなかった猫が段々と心を寄せるようなかんじがして見ててほっとします。
神子も五月とは違う「程よい距離感」だからこそのやり取りを感じます。年上でもなく年下でもなく。突っぱねたような喋り方の岡本信彦さんのお声ですが、この「やる気ない」ような「だるそう」な上で、段々と自分のやりたいことを見つけていってギラついて、迷って、でも答えをなんとなく見つけて、という流れが良かったです。
好きなスチルは色々ですが個人的には神子と背中合わせになっているもの。あれは可愛い。ほんとうにかわいい。
また、宮本武蔵の相方といえば…!となるのですがそこら辺も含めての彼が克服していく物語としても読み応えがありました。
天の白虎
CV:立花慎之介氏
作品が作品なら松坂桃李氏が演じているお人です。かの有名な黒田官兵衛の息子。下天の華の流れで考えると「時空が違えば全然タイプ違うな」と感じられる存在です(笑)
自分の立ち位置を明確にわかっているので「協力できない」こと、どうやって「一族郎党を生かすか」「当主であること」を踏まえて考えています。
そのため神子との距離感はプラスよりマイナスより。考えがあまいこと(現代人である以上仕方がない)を指摘されたりして、神子自身の「戦国で生き抜くこと」「信長の娘であることを活用するのであれば、考えるべきこと」を導いてくれる存在です。
歴代的に、他のキャラと比べて白虎は恋愛色が結構強いな~って印象なのですが、長政に関しては「好きになる」要素はそれぞれにそれぞれでありつつ「一線は絶対超えない」というのが感じられました。自分よりもずっと年下の「おんなのこ」に振り回されるというよりも、武人として、その時代に生きる人間として何を見るかっていう部分、帝王学じゃないですけれどもそっちに近いかたちで見せてくれていった気がします。
キャラクターとのコミュニケーションでいうと八葉、特に直江兼続との相性は「出たでた~!大人同士の腹のさぐりあい~!!!」っていうのの極み。なかよし度はほぼない。というか笑顔で皮肉いいあってのバチバチ感。私は好きなので彼らのやり取りにニコニコしていました。神子というより五月の胃痛が止まらなさそう。
個人的に「神子」という神聖なものに対しての考えと、この世界に「戦って、殺して、そうして生きていく武人」の自分との差と、その上での人と人として見ていくくだりはとても好みです。
地の白虎
CV:竹本英史氏
作品が作品なら妻夫木聡氏な直江兼続氏。愛の人でおなじみですね。無双では札使いっていう意味で非常に、ええ非常にお世話になりました。声優さんが竹本さんなのを聞いて「石田三成ではないのか」と少し驚いたのはここだけの話*2
此方の作品ではどちらかというと策士で一枚も二枚も上手。次に相手が何を出してくるかを考えながら家老として上杉のためにいるというかんじでしょうか。
そのため、神子への信頼度は最初は長政同様低め。西軍側というのもあり長政とめちゃくちゃ相性が悪いです。そういう意味では「敵意を剥き出しにする」部分もあるというのが今回の「地の白虎」の珍しい所。歴代の地の白虎とはまたちょっと雰囲気が違いますよね。
しかし一方で神子とのストーリーを見ると「もうこの人お腹いっぱいご飯食べてくれや…」っていいたくなるあれそれ。
なんというか、白虎はだんだんほだされて甘やかし仕様になるのが面白いなと。目に見えての「西軍」側になるのは幸村と兼続のみなので、ある意味で「もう状況が状況だから(歴史は歴史だから)という上でのあがき方」が見られるのがポイントです。
後兼続の狸って家康を言うエピソード好きです。伊達政宗がいなくてよかった*3(笑)
天の玄武
CV:四反田マイケル氏
そのまま「おくに」さんです。また、この人に関してはストーリーが歴史を知っていたり、状況を鑑みていくともっともっとしんどい…しんどい…となっていくのではないかと思います。どのルートでも「戦い」を嫌い続けている人で、「なぜこの世界にそんなものがあるのか」といいながらも踊り続けています。
本編で見ていくと阿国だけの物語ではなくて、いわゆる「鎮魂」の物語として色んな人がいろんな考えを持って生きようとしてきた部分のジレンマも感じられます。
良い意味で歴代のじれっ隊と呼ばれる天の玄武を担っていると思います。神子とのやりとりは姉妹のようであり、そうでなかったり、人と人として「この人はこんなにも考えて」という流れなのが伝わります。
ポイントは大和が阿国のファンな所。めっちゃ普通にファンで笑いました。そして「壇上以外は別に」っていうところ良いファンだなぁと(おっかけにはならないというか、エンターテインメントとして見ている部分が違うというか)四反田マイケルさんのお芝居の分け方がとても美しくて、阿国のスチルはどれも美しい印象です。
地の玄武
CV:安元洋貴氏
朴訥とした、地の玄武の歴代の雰囲気をしっかりと持った口数の少なめの忍。
彼に関しては家康とのやり取りが個人的にドンピシャ好きです。また、彼自身、一族のことを考えて動いている人でもあります。
言葉は厳しくても人のことを慈しめる人ですし、だからこそ登場人物と対峙したときの彼の心の揺れを支える神子がいてよかったなあとも思います。また、阿国とは足利学校の頃一緒だったということもあり、比較的他の八葉よりも友好的な印象です。彼がふっと笑うの見るたびに「笑った!!!笑ったよ!!!」ってなるというか。見てて幸せになるんだよ!!っていいたくなります。
ストーリー感想について
歴代の作品を彷彿と思い出させるキーワードがたくさんあって「ああ~~やりたい~!!」ってなる部分がいっぱいでした。百鬼夜行、神泉苑、静御前、また、白龍とはなにか、どういうものなのかということを考えると特にこの時代よりも前の1~3に対しての原点回帰部分も非常にあると思います。だからこその「神話」としての4の部分も感じられ、後世である5・6にも彼らがまた続いていくのかなと思うと「5のラスト…」といいたくなるあれっです。
コエテク絶対某人悪役にすると……思ってました…。
共通ルートが長いのが今作。5章まではつながっていて、そこからどんどん派生していきます。
この作品ではルートによって展開が大きく変わってきて未来が変わるので、神子である七緒がどういう顛末を迎えるのかが変わるからこそ「このルートの結末でよかった」と思う人もいれば「どうして…どうしてこうなってしまったんだ……!」ってなったりとかいろんな感想が出ると思います。
大体遙かシリーズはFDというべきか「別の可能性」としての未来を見せてくれる作品が出るので、このキャラクターのルートで明かされなかった展開が次の作品でもっとしっかり本題に持ってくるのでは?となったりしています。5の風花記がまさにそれでしたね。
ただ、一つの作品としてやっていてとても楽しかったです。遙かなる時空の中での作品シリーズがすごく好きだからこそ、楽しかったです。
とりあえずネスカフェと今作ではコラボしているのでふわラテうっかり買いました(笑)あまりスティックタイプ飲まないのですが、こういうダイレクトにコラボを突っ込んでくるスタイルも新しい発見として楽しいな、となりました。
大まかなストーリーの印象ですが、
青龍=龍神の神子という定義、作品シリーズにおけるメイン部分
朱雀=自分自身だけではなく、周囲、家族の話
白虎=背負っているもの掲げているもの、理念
玄武=この世界を「生きる」
ではないかなと思いました。
作品の時代が時代だけにほぼ全員が戦いの渦の中に自分から選んでいること、その上で「話し合い」ではない形で武具を持つこと。それを神子が見てまた考えて、があること。一概に否定をしない、時代に生きる人たちのあり方について見させてもらえるものでした。
力こそパワー!もまた間違いではないし話し合うからこそ生まれるものもある。戦いは戦いしか産まない中で、それでも戦いやヒトの世の中、政治に関わらない*4龍神の神子としてのあり方、みたいなものを見た気がします。
個人的には女の子たちとのコミュニケーションがもっと!あれもこれも!こっちも!ほしい!とは(朔とか、藤姫のときのように)思いましたが…そこはFDに期待したいと思います。
……で何人か攻略したいサブキャラがいるんですけれどもそのへんどうにかなりませんかねルビーパーティーさん(いつもそうなる)
原点回帰として
全体的に思ったのは過去の作品に対してのリスペクト、時系列の繋がりを意識しながら作られていることでした。
行ったことのある場所、経験したことの有る話。そのへんが「伝承」となって人の手で伝えられているのを見るとなんだかニコニコしちゃいますよね。
また、同時に思ったのは本作のキャラクターたちは全く似ていないのに根本的な部分が「どこか」似ていると思わせるのがルビーパーティーがうまいな、と感じました。
作品が違えば行動言動は異なって当たり前ですが「そういうところだぞ天の青龍」とかそういう部分。細やかなところで思い出させてくれました。
星の一族であるあやめちゃんの立ち位置は1でいう藤姫に近しい部分であり、子供が故の背伸びと苦悩も見て取れます。今まで姉妹での登場は星の一族はなくて、攻略キャラクターになること(有川将臣や有川譲などが特にわかりやすい)が近年は多かったのですが五月と同じ一族として力になってくれる部分が多くあります。このへんもこれから(FDやドラマCDなど)期待したいところ。