TTTこと「TWENTIETH TRIANGLE TOUR」が今回2作目として登場。
2019/07/27から東京グローブ座で開演しました。
有難くも友人と初日と2日目に観劇できる幸運に恵まれたのでその感想を連ねて行きたいと思います。
※圧倒的にネタバレしておりますのでご注意ください※
TTTという「世界」
TTTとはなにか?という話からまず始まりますが、TTTとは「トニセンが行う、新しいエンタメショー」になります。
ミュージカルでも、音楽劇でもない。
「そういうジャンル」と言われるものです。独自の表現を持って独自の世界観を築いて独自に編み出していく。それが「TTT」。
前作の「戸惑いの惑星」についてはどちらかと言うとひたすら「なるほど…なるほどわからん」っていわれる、「見る側もクエッションマークが浮かび、演る側もクエッションマークが浮かぶ世界」でした。
作中の中で生きる彼は「何」なのか、作品Aの中の作品Bで、生きる人々は果たして≪誰≫なのか、どこまでが境界線なのか。
それがいまいち不明瞭で、不明瞭だからこその「どういう解釈もまたあなた次第」という内容であったと思います。
当時私は完全に「ぜんっっっっっっっっっぜんわっかんない~~なんだこりゃ~~」っていう頭のパンク具合で、それをどうにか自分の中で噛み砕いて昇華しようとしていったわけです。
その結果
まぁ十分に戸惑ってきたわけですが、円盤でもこちらが発売されました。
【メーカー特典あり】TWENTIETH TRIANGLE TOUR 戸惑いの惑星(DVD)(戸惑いの惑星オリジナルポストカード付)
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感想は「やっぱりなるほどわからない」と首を傾げながら、多角的にもう一度掘り下げていったわけです。
で、当時の戸惑いに戸惑いを重ねていたTTTが今回1.5年ぶりに戻ってきました。
本作のタイトルは「カノトイハナサガモノラ」。アナグラムで坂本、長野、井ノ原にあたります。
ということで、この感想をぼちぼちと書いていきます。
「感想」と「考察」といいつつ、色んな作品から引っ張り出してきています。
また、ネタバレへの配慮がありませんので、観劇後にお読みいただけますようお願い申し上げます。
「カノトイハナサガモノラ」という作品
最初このタイトルが発表されたとき「彼の問いは、無性者ら」と勝手に変換していました。
性と書いて「さが」と読む。
さがとはなにか。
1 生まれつきの性質。性格。また、持って生まれた運命。宿命。「愚かな人間の悲しい―」
2 いつもそうであること。ならわし。習慣。「浮世の―としてあきらめる」
3 よいところと悪いところ。特に、欠点や短所。
「―なくばよからんとのかくし詞」〈浄・嵯峨天皇〉
ただ一方でカラーリングが黄色でしかもお写真がハッピーなかんじだったから「そんな考える系ではなく、皆がごちゃっと混ざっていくタイプかな」って楽しみにしていたわけです。
キャスト、スタッフ
トニセンとこ20th Centuryの3人が主役。
上田遥、神佐澄人、西海孝、朝倉真司、堀井ケイイチ、大江康太(敬称略)が並びます。
本作の脚本・演出には御徒町凧氏。
森山直太朗氏のライブの構成や演出を手がけられているお方でもあり、V6としてはUTAO-UTAOについてのPVも手がけていらっしゃいます。
井ノ原快彦氏の「遠いところまで」なども手掛けているので何かとおなじみ。
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UTAO-UTAOは私自身が好きな曲なのとあのPVめっちゃ好きだからみんな見てくれ~!!ってかんじなんですけど。
まぁとにかく「前回のものとは多分違う」というなかでの手探りの中で、そもそもTTTというチャレンジを見るために足を運びました。
グッズ類
今回のグッズは3種類。それぞれがそれぞれのメンバーによる考案(どこまでかはわからないですが)になっています。
- 坂本君:サマーブランケット
非常に肌触りがいい。サラッサラしている。グローブ座の中の空調はしごく当然ながら涼しい通り越してちょっと肌寒い仕様なのでその場で使える感じがする - 長野君:扇子
坂本君との最古のシンメ強い。こんなところでも北風と太陽かなっていう作りでシンメ引っ張ってくるの強い。
紺色の涼し気なデザインなのが良いですね。長野君ファンの友人から「長野くん紺色が好きだから嬉しい」とのこと。 - 井ノ原君:いのちゃんまん
「いのちゃんまん」とは井ノ原くんの描くあの独特なキャラクターなわけですが…前作TTTではマグカップだったのですが、満を持しての「ぬいぐるみ」です。
ぬ、ぬいだ~~!!っていうのにすごくびっくりしました。
昨今インスタグラム等で「ぬい撮り」が流行しているのも踏まえて井ノ原君そうきたか…と何やら嬉しくなりました。背中にはジッパーがあり、あけると「こんにちは」という文字と、いのちゃんまんコイン。すごくこう…ブラックユーモアセンスあふれる作りになっています。
【ネタバレ】舞台の感想
まず本作に関して言えることは登場人物は「サカモト」「ナガノ」「イノハラ」とそれぞれがそれぞれの名前と類した類のもので「≒自分」なのかなと感じました。
戸惑いの惑星では「自分はいつから自分?」というような問いかけではありましたが、本作ではするっと始まっていったかんじ。
ひたすら同じ「場所」で同じように「歌い」「踊り」続ける彼らと、彼らのフォローをするバンド、そしてこの場所を管理する”オーナー”とのやり取りが主となります。
初見感想「ハイブリッド・ジャニーズエンタメ。TTTというジャンル」
正直「お芝居」というよりも”笑いあり、歌あり、踊りあり”の所謂ジャニーズエンターテインメントといわれるものが凝縮されているのではないかと思いました。
トニセンの彼らが好きであれば「かわいいなあ」と思うわちゃわちゃしているやり取りがあったり、踊りが「普段では見ないタイプの踊り」が見られるのは特徴的だと思います。
物語としては「同じ場所」「同じ状況」を何度も繰り返し、繰り返し、繰り返していく「ループもの」なのかなと感じました。
近いものでいえば「リトルバスターズ」「時をかける少女」さらにいえば「シュタインズ・ゲート」など。
どの拍子で、どうやってこの無限ループから抜け出そうとするのか。という話にも近い感じを受けました。
そのへんは「涼宮ハルヒの憂鬱」におけるエンドレスエイト*1っぽいというか。
(ちなみにアニメでは「8週連続で、ほぼ同じ話を放送する」ということをしてました。鬼か)
私はこのへんの「ループもの」に関していうと火の鳥(手塚治虫)もそうですし、自分のめっちゃ好きな作品に「Fate/hollow ataraxia」*2や「遙かなる時空の中で4」*3このへんを好きだからこそ見てて思うところはたくさんありました。
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私の最推し最強の人類バゼット・フラガ・マクレミッツですよろしく!!!
なので、物語の流れが「自分たちがトラベラーである」ということを歌っている「Traveler」が最初にくる。
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これって今「自分たちがここにいる」「どこであってどこででもない」「このさきに向かっている」「ここではないどこか?」という部分の問いにも類しているように感じました。
冒頭では「ここはどこか」という描写がなく、ただ3人がいて、歌って、話をしている。
「Glory」、「WISHES~I'll be there~」この辺を聞いていくうちに段々この世界のこの物語は”曲の歌詞に注視し、組み立てて言葉をやり取りしていって作っているのだろうか?”と思うようになりました。
決定打は「会って話を」。言葉なんかいらなくない?というナガノの言葉からの、それでも「会って話を」という選択肢は聞いてて「今まで」を振り返った上でこの選択肢かあ、っても思いました。
また、そこから「ナガノ」「サカモト」「イノハラ」の個別に焦点を当て彼らが「どうして今そこにいるのか」という問いが出てきて、それが非常に興味深かったです。
「キメ顔をしたくてしているわけではない。頼まれたわけではない、意思でもない。”使命”」というナガノの言葉がすごく突き刺さっていました。
なんとなくの生活の中で人は取捨選択をしていくわけですが、その中で無意識下で選んでいるもの。そして、生まれながらにして「何かをしなくてはならない」という不可思議な衝動は実に誰にもあることなのかなと思います。
このブログを「書きたいから書いている」と言ってしまえばそれっきりだけど、じゃあなぜ「書きたい」のか。「その行き場のない感情を吐露したい!」どうして?自分が楽しいから。そうやって紐付けていくと「じゃあなんで自分が楽しいのか」ってなっていくわけです。「自分が楽しいと思うことをすることで自分の中で気持ちが昇華される。自分が”楽しい”と思わなくてはならない」というか。
ソロでは「Stranger than paradise」「コバルトブルー」「遠いところまで」と、最近聞く機会がなかったそれぞれの名曲が聞ける、ファンとしては嬉しい形になりました。
コバルトブルーでは坂本昌行さんのタップを拝見することができ、また加えて真っ白なスーツが似合うダンディズムをあらためて見られたこと嬉しく思います。タップを踏みながら、行き場のないやり場のない憤りを感じながらぶつけていくことしかできない「若々しさ」と「苦々しさ」を織り交ぜになっているところは歳を重ねたからこその懺悔にも似たような形でした。
作中の「言葉はあくまでも言葉にすぎない」というキーワードは「受け取り手」によって感じ方はそれぞれ、っていう言葉を思い出しました。
同じシナリオ、同じ言葉を一言一句変えず、けれどもそれを「誰が」「どう受け取って」「また誰に伝えるか」ということを考えます。
伝えたいことを伝えようとしてまったく自分の意志とは異なるものを拾い上げてしまう、ということは本当によくある話です。
SNSで視覚的にぱっと見たものに対してリプを送ったとき「ここだけの話、お前クソリプ送ってるで*4」っていう内容を送る人もいる。それは相手側に自分の言いたいことが伝わっていないからっていうのと「相手にとっては自分の意見などぶっちゃけどっちでも良くて、自分の言いたいことをいうためだけに言っている(壁打ちに近い)」っていうのもさもありなんなんですよ。
もちろんこれって人によって違うかも知れないけれど、インターネットにおける「隙さえあれば自分語り」っていうのをしてくる人っていうのはどうしてもいて、たくさんRTされたりとか、話題になったりするとその大本に「えっ…あっ…はい…」みたいなのはついてくることはあります。
まぁじゃあイノハラが口にした「ラーメンだチャーハンだって言ってたらお腹すいちゃうじゃん」はクソリプかって言われるとまぁクソリプって言ってしまえばそれっきりになっちゃうんですが、そこから派生して「伝えたいことが相手に伝わらず別の形を為してしまう」っていうのの答えになっているのは面白いなって思いました。
ことばは、あくまでもことば。
「私」は、あくまでも「私」にとっての「私」。他の人がいった「私」は=私じゃなくて、「誰か」にとっての私。
言葉はあくまでも「言葉」というものに過ぎず、それを「どう使うか」「誰が使うか」「どう伝えるか」というようにも感じます。
作中で本作の繰り返される「ソウル・ターミナル」。
これを気づけたナガノというのは有る種3人の中で最も「一番ふわふわしている」とか「よく言われるんですよ」の下りに繋がっているからこその部分でもあるのかなと(サングラスだけではないのかなあ…なんて思ったり)
ジャニーさんもいったことがある場所。なんらかの理由で集まった3つの魂はなにかに縁があり、そして繋がっていく。過去も未来も今も全部あって、ごたごたになっている場所。
つまり「亜空間」「無重力状態」になっているわけですが、それってつまり神域にも類した場所ですよね。死者の国でもなく、生者でもなく、「魂」としてある。
これが作品の煽り文句である「手を取り合えば無重力」という言葉に繋がるのかなあ…って感じました。
魂が集う場所というと「リメンバー・ミー」「BLEACH」なども思いますが、それもやっぱりあくまでも「死者の世界」なのでちょっと違って、そうなると何かっていうとFate/haにでてくる「天の逆月」になるわけですが……。
なんかそれを思うとオーナーは「アヴェンジャー」であり「バゼット」の弱さも含めた存在みたいに見えてきて、うわ~しんど~ってなってました。
”壁にする”=存在自体をなくす?
オーナー「壁にしちまうよ!!」という言葉があるのですが、これってどういう意味なのか考えてみました。
1 建物の外周の部分。また、部屋などを仕切るもの。木舞 (こまい) を芯に練った土を塗ったり、板を張ったり、石・煉瓦 (れんが) を積んだりして作る。
2 前進を阻むもの。進展の妨げとなるもの。障害。「記録の壁を破る」「開発が壁にぶつかる」
3 登山用語で、直立する岩壁。
4 《壁を「塗る」に「寝 (ぬ) る」を掛けて》夢のこと。
「まどろまぬ―にも人を見つるかな正 (まさ) しからなむ春の夜の夢」〈後撰・恋一〉
5 《白壁に似ているところから》豆腐をいう女房詞。おかべ。
今さっと調べてみたときに出てきたのがこのへん。
「言葉はあくまでも言葉にすぎない」ということを言っているなかですが、作中見ていて思ったのは「この軸の物語で何度も何度も同じ場所をループしているなかでの”曲”のことを覚えている」という認識で、彼らが全く記憶が0であることは「舞台が始まって終わるまで」の流れではないのかなあという印象だったのですが…。
壁にする=夢にする=消す になるのかなと。
「夢」の部分ではイノハラが”夢”はどちらも夢で厳密にいうとどちらだろうという問いかけを投げかけているので、自分の中では「夢=泡沫のように消えてしまう不安定要素を孕んだ自分が”見るもの”」という解釈をしています。目指すものも、眠るときに見るものも、どちらも霞を手に取るように難しい部分もあるからこそ「同じように見えるのかな」という。まぁこれも前述した「お前にとっての、夢」になるんですよね。愛もそう、夢もそう。
そういえばイノハラが空を飛んだときに、フライングのフッキングを坂本くんたちがさくっとやって、その用意ができたときにポン、とわかるように背中を叩いているのがすごく見てて印象深かったです。安全性の意味も込みでこういったものは絶対やらなくてはいけないというのを以前ジャガーズのコント+A.B.C-Zの方々が話しているのを聞いたことがあるのですが(河合くんがめちゃくちゃ速いと聞いた)、改めて近くで、「遠いところまで」というゆったりとした曲を歌いながらやるという難しさ、舞台の中での「違和感を失わせる」ということをどうやってやるのか……っていうのを坂本君の様子を伺いながら感じるばかりでした。
後空を飛び、夢を与える人となってまたさらに「遠いところまで」いこうとする井ノ原さんを見ていると無条件に「きれいな景色を見ると泣けてくる」に近いものを感じていたものです。ぐっときた。
幼い頃の彼と、今の彼のやり取りというのは「自己肯定」という意味で「不惑」に出てくるパートを猛烈に思い出します。
求めてた未来とは違う
偶然の幸せを手にしている
不満なんかないけれど でも ああ
求めてたものとは違うけれど偶然の幸せを手に入れた「不惑」 が盛り込まれた前作。
そして今作。
で、それらを踏まえた上での「いつまでいるの?」の問い。
トライアングルで次元を歪ませる。
トライアングル…トライアングルと聞いてうっっ……「良い子はみんなご褒美がもらえる」…!!とつい直近に色々考察していたものを思い出しました。
▽良い子はみんなご褒美がもらえる感想より「トライアングル」について綴ったもの
まさかこんなところでここが繋がるとは思わなかったので自分の中でびっくりしました。
「トライアングルなんて誰でもできる」けれど、「いることで変わる」ものがあり、またそれが本作で言えばTTTの象徴たるロゴがトライアングルでもあるというのが重要性がさらにあがっている気がします。だって、TTTって「TWENTIETH TRIANGLE TOUR」ですしね。
「トライアングルを選んだ意味」
「トライアングルである理由」
「トライアングルという象徴」
を考えながら「トライアングルはトライアングルでしかない」という解釈。また、かき鳴らすことで「すべてが少しずつ変わる」ということ。響き合うことで相互変化を与えてきた彼らそのものを象徴しているようにも見えました。
”アインホウ ガトウリツニ トウモ”
最後の挨拶で「ずっといいたかった言葉」を思い出したイノハラのことば。
そしてこの言葉を聞いてオーナーは体をかがませて感傷に浸るというシーンになります。
この言葉にどんな意味があるのか。「ことばはことばにしかすぎない」という中で、あえてのアナグラムにしてきた理由。
カノトイハナサガモノラという作品と同じくアナグラムにしていくと「いつも本当にありがとう」になるわけですけれど、これは私の受けた「言葉」だから、違うのかも知れないなあ、でも結局”相手に伝えたかった言葉が伝わらない”なかでの”響き合った結果”での、この言葉になったのだとしたらただ単に”ありがとう”にしなかったという意味もうなずけます。
この「言葉であって言葉ではない」ものが、天の逆月*5にたどり着き「続けられていた世界の終結」をきめ、世界への帰路への鍵だったのかなあ…なんていうふうに考えるわけです。だから「お世話になりました」「そろそろ行くよ」に繋がるのかな、とも。でもそれを言い出すとあの段階で言葉は既に決まっていた、というようにも捉えられて、じゃあそれはなんだったのかってなると「愛なんだ」なのかなとも考えられます。
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最後は「きっとここから愛なんだ、できる何かが愛なんだ」というあのフレーズと同じように、はじめることこそがすべての「愛」になる、という解釈で繋がっていって外の世界、魂を飛び出していって、魂が集ってまた「新しいステージ(現世)」へと突き進んでいっている映像を見て終わった、という印象です。
カノトイハナサガモノラ
その後にデビューしたときに近い蛍光イエローのお衣装でカノトイハナサガモノラを歌ってくれるのを見てとても…とてもこの曲覚えやすい!とびっくりしました。振り付けもこみでコンサートでやれたらいいなあって思う。
イメージ的には長谷川アーリアジャスールのかの有名なチャント的な。こう……こう…メロディラインがすごい頭に残るかんじ。
非常に楽しくて覚えやすかったし「カノトイハナサガモノラ」という作品が「ジャニーズエンタメ」であり、「演劇」でもなく「音楽劇」でもなく「ミュージカル」でもなく「TTT」という、どこにも属さないものの象徴にも感じられました。
良いところもあれば気になるところもある
私は基本彼らのことが好きな中でファンをしているので、身内感での軽口のマイナス寄りないじりはあまり好きではなくて、そういう意味で「パブリックイメージ」がある上での仕方ないながらもイノハラが雑に扱われているのは見てて改めてちょっとしんどさがありました。
「作品の中」のキャラクターでありながらも、外側の「アイドルとして見ることの多い彼ら」に近いからなのでしょうか。ただ、それもやっぱり含めてみると「彼ら自身が日頃から作っているもの」「組み立てているもの」をさらに落とし込んでいった結果のTTT2なのかなとも感じました。
井ノ原さんが好きだからこそ多分この辺は口の中に骨が引っかかったような気持ちになっているのかもしれないな、とも思いつつ。
同じ意味で言えば、「コバルトブルー」の冒頭である「ジョン・レノン~」のくだりを弄り倒すのはコバルトブルーが曲としてすごく好きだからこそ、「そこまで言わなくてもいいんじゃないか…」としょんぼりしてしまう部分もありました。
歌っている人に、またその歌っている人と同じグループの人に自分の好きな曲を芝居の中ででもマイナスに言われると結構傷つくんだぞ!!と!!(笑)
ただ、「お芝居だから」と割り切りきれなくてモヤッとしてしまうのは、おそらくは御徒町さんの手のひらの上で踊っている結果なのかなとも感じます。
「面白いのか」「面白くないのか」という境界線にまず入りますが、これを「何」と取るかでその評価というのは異なってしかるべきだと思います。
いわゆる「舞台」「まったく彼らのことに対して”名前”と”顔”などを認識したくらいのふわっとした感覚」でみると、多分いわゆる「ファンに向けた」作品だと思うのですこし疎外感を感じてしまうかもしれないと思いました。
一方で「新しいことを試みようとする」ことと、「今までのやってきたこと蓄積したことを昇華させる」という意味での組み合わせだと「実際に生でこういうのをみられた。過去にこういうことをしているのを今の年齢でやるとこうなっているのがすごく新鮮だった」という得るものもたくさんあったかなと。
本当に「どこかふわふわしていて、掴みどころのない世界」というのがふさわしい作品であったかなと感じました。だからこそ、人によって見方が視点でどんなふうにも見られます。多角的に見られる作品にも取れるのがこの作品で、趣味嗜好は人それぞれで、かつ「個人的なものだからね」という言葉に尽きるんじゃないかな、と。
二度目の観劇で「繰り返しは需要がある」に気付かされる
私は幸いにも、初日と2日目という舞台観劇となりました。
そして気付かされる「繰り返しにはね、需要があるんだよ」のオーナーの言葉で”実感!”となぜ彼女が言っていたのか。
それはこの作品そのものがすべての「ループ」になっているのではないかと気付かされたからです。
すべてが終わり、映像が流され、そして三人が衣装を変えてやってくる。そこからはもう切り離された「サカモトナガノイノハラ」ではなく「坂本昌行」「長野博」「井ノ原快彦」であるかのように。
けれど、話される言葉の内容は一言一句、全てがまったく同じで。それこそ「この場所で話すこと」「一段と盛り上がりましたね!…今日?」の流れも。
「多ステ」(何度も繰り返し来る、リピーター)した人に伝わるなんともいえなさ感。最後に顔を覗かせるバンドメンバーたち、オーナーの冒頭と同じ「で、いつまでここにいんのよ」という言葉。
それってつまり、この作品の中でループをしているように見せかけて、本編まるっとで1つになり、これを「舞台」として繰り返すという実際に起きているものを都度記憶を消して「やっている」という流れにした作りになっていました。
見終わったときに「ええ……ええ…そういう…」と友人たちとなんか意味わからないくらいゾワゾワして、「ハッピーエンド、ハートフルと見せかけておいてそんなことはなかったぜ…?」「このループを抜け出すのは千秋楽なわけで…」という言いようのない気持ちになっていました。
だからこそ、できれば感覚をおかず連続で見てもらいたいしできれば私の感想ブログなんかよりも実体験を持って見てもらえたらと感じるばかりです。
この作品のハートフルでハッピーと見せかけた終わり方に対して、でも全部回り回って結局記憶を0に戻されて繰り返し舞台のふりだしに戻っている(でも1周目は気づかない)というのは、なかなか…なかなかループものがスキな人間としては「このループ脱出したエンディングどこ…?!」って思いました(笑)
天の逆月とか根源となった龍神とか後未来でまってる的な何かの脱出方法が…どこかにないの…?!後半内容変わるとかは?!ないよね!!そうだよね!!分かってるけど!!みたいなそんな気持ちでいっぱいです。
1回目を見るときと2回めみるときで印象がだいぶ違った、そんな作品でした。
TTT2という作品において感じることは「今まで考えたことがなかったもの、したことがなかったものをしよう」という部分と「今までしたからこそのできることを盛り込もう」がドッキングした作品で、ストーリーも確かにあるけれども、そういった「いろんなパフォーマンス」を盛り込んで、盛り込んで、そして作り上げた作品というように受けました。
ワークショップでどんなディスカッションをしたのか、どんなふうに考えていったのか、というのはぜひプログラムに書いてあるお話を読んでほしいんですが、想像以上に色んなこと練り込んであるなあという印象を今振り返りながらしみじみとしているばかりです。
また、友人とこれはどういう意味だろう。いや言葉には意味なんてないのさっていうことを繰り返していたのですが。
パンフレット、最後の最後に「グローブ座」に入る3人の写真で終わってるんですよね。
「言葉には意味なんてない」なら「写真に意味はあるのか」「姿には意味があるのか」という話になってくるわけです。グローブ座に再び入るならそれはやっぱりループで、舞台の冒頭、彼らがすっ…と入ってくる流れ、そして客席を伝って外に出る流れ。それらも全部該当するんじゃないだろうか?とも。
「見る側」も何度も足を運び何度も見て「うわ~~」ってなるように、演者・スタッフもまた何度も「繰り返す」。プログラムにもそれが示唆されているのかな…とか思ったらうわ~~~~(語彙力の崩壊)
新大久保でタピオカを飲む話
最後に「ジャニーさんは新大久保でタピオカ飲んでるかも」と言っていたり*6、トニセンがTVに出てタピオカミルクティーのお話をしているのを見てもう何年も前、岡田さんが「タピオカミルクティー買いに行った」というお話を思い出し、こう……「ブームもまた、巡り巡って戻ってくる」というのを思い出していました(笑)
『余談』パンフレットの撮影場所
パンフレットの内容については全体的にビジュアルがとってもいいな~って印象でした。
が、何よりびっくりしたのは撮影場所が「これ多分どう見てもこの近辺では…?」ってことでした。
なぜわかったかというと舞台にいくに辺り、新大久保の外側から歩いたり高田馬場側から歩いていたので「あれ?これさっき見たような?」っていうのがあり…まぁ実際せっかく何でとグーグルマップで調べてみたら「やっぱり!」がたくさんでした。
公式のパンフレットの内容をアップするわけにはいかないのですが、「せっかくだし聖地巡礼しよ」ということで、いってみました。誰と、いのちゃんまんと。
(1)長野くんの撮影場所/坂道
海城中学校・高等学校と戸山小学校への道。新大久保からグローブ座にいく道からガードレールをくぐったすぐそこです。
私の技術ではこんななんというか、寂しいかんじになりますがプロの人が撮影するととたんにおしゃれになるんだなあと思うばかりです。
(2)長野君の撮影場所/公園
グローブ座のすぐ横、”西戸山公園野球場”の近くにある公園です。
目印はカラフルな鉄棒。グローブ座の入り口を高田馬場方面に真っすぐ歩いてればたどり着きました。
なぜあんなにアンニュイかつスタイリッシュなうんていを軽やかにやっていたのかはよく私にはわからないけれどあの写真の長野くんが好きです(笑)
目印になったカラフル鉄棒。学生さんがバスケの練習してました。憩いの場っぽい。
(3)トニセンみんなで
「西戸山公園野球場」の一部の公園。長野くんの撮影場所の近くでグローブ座とも近かったです。
(5)プログラムの中にあった場所
特に誰かが撮影に伝ってたわけじゃないけどおっきく表記がされていたので目印に探してみました。
(6)井ノ原くんの撮影場所
「南台商店街」とあったので調べてみました。大きな弾幕があったので特定しやすかったです。中野富士見町駅付近にあるらしい。
見覚えがある!!!この景色!!!!
わかる…わかるぞ…!!!目印は和菓子の「ありん堂」さん。ちょっとグローブ座からは遠いので今度足を運んでみたいと思います。
お店の人を見守っていた場所。
なんだかんだをぐるぐるとまわっているお芝居でした。
*1:ずっと8月の夏休みを続ける。
*2:Fate/stay nightのファンディスク。聖杯戦争にて語られることのなかった登場人物バゼット・フラガ・マクレミッツと、彼女のサーヴァント・アヴェンジャーをめぐる物語。
*3:日本神話をテーマにしたゲーム。この時の龍神はお前ってやつはって気持ちになる。
*5:日々を繰り返し続ける原因がある場所