ウィリアム・シェイクスピアを皆さんご存知でしょうか。ついでに作品はご存知でしょうか。
「オセロ」「リア王」「リチャード三世」「真夏の夜の夢」「ロミオとジュリエット」上げていけばキリがないですね。
じゃあ実際ストーリーは分かりますでしょうか。わかるわかる。そりゃすごい!
実際に見られた方は?って聞くと舞台が好きな人はやっぱり多く「分かるよ」っていってくれると思うのですが、あいにくと私はそんなに見た回数は少ないです。
いつぞやに「ヴェニスの商人」を見たのを鮮明に覚えているぐらいですが。そういえば2011年にD-BOYSがヴェニスの商人をやってたりしましたね。
古典に触れる機会ってあんまりないんですよね。実際。でもってじゃあ訳されているものを読むかと聞かれたら何とも言えない。ドラマCDで聴いたことがあるものがいくつかあるぐらいの私にとっては「独特の世界観」「独特の言い回し」の世界そのものの象徴がウィリアム・シェイクスピアなわけです。
現在はジャニーズ事務所のものになっていますが、「東京グローブ座」は作られた当時、シェイクスピアのグローブ座をイメージして作られており、実際演目もシェイクスピアのものが多かったと聞きます。私がヴェニスの商人をなんでか見に行ったのもそのときでした。ちなみになんでいったのか未だに覚えていないですが多分父親が「ER」というアメリカドラマが好きでそのカーター先生を演じていたのが平田広明さんだったからだと思います。カーター先生はいいぞ。
グリーン先生も好きだけどね!ということでそんな話から派生して、せっかくなので「シェイクスピア作品」に触れる機会が今回「朗読劇」であったので友人と共に行ってきました。のんびりその感想を書いていきたいと思います。
「朗読劇×オーケストラ」
最初に聞いたときに「蜜蜂と遠雷」を彷彿と思い出しました。
演出家が変われば表現も変わる、台本が変われば内容も違って当たり前。
演じる人が違えばやることも自ずと変わっていく。その当たり前に当たり前なことではありますが、「いかに表現するのか」という興味がありました。
初回は「星の王子さま」だったそうで。こちらもセリフは引用されやすいですし、多くの人に影響を与えている作品ではありますが「実際問題中身は知らない」ということは多く、そういう意味でも触れやすい機会だったんだろうなあと思います。
ちなみに箱根に星の王子さまミュージアム*1があってそこのご飯が私は好きです(笑)TBSがやっていることに驚いた。箱根駅伝の影響で絶対やっているとしたら日テレだろうなという先入観があったので……。
とにかく、蜜蜂と遠雷では「オーケストラ」主体のものになっていたので「リーディングオーケストラ」というよりも「オーケストラ×リーディング」みたいなかんじだったわけです。まぁBunkamuraオーチャードホールでやるので、音楽を「聴く」ということを主体にしたかったという意図を汲めばそうなのかなあと思ったりするわけですけれど。
しかも今回についても「歌がある」という話があったので「エッ歌うの」ととっても驚きました。蜜蜂と遠雷では内面+その作品における歌を併せたというようなものを感じましたが、果たしてどうなるのか。ドキドキの中にいました。
「ハムレット」という作品について
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ*2」「弱き者よ、汝の名は女*3」という名言と登場人物にオフィーリアという女がいて、彼女が入水し花とともにちっていくというびっくりするぐらいのうっすい知識でした。
ちなみにオフィーリアをちゃんと知ったのはポップンミュージックです(笑)
ちょっと「ハムレット」について調べたらドラマCDになっていてびっくりしました。モモグレがしかも作ってる辺りちょっと気になる。ハムレットが石田彰さんでホレイショーが櫻井孝宏さんなんですね。
まぁそれはさておき、作品についてざーっと見てて思い出したのは、そういえば「ライオンキング」のモチーフは「ハムレット」だと言っているのを聞いた覚えがあります。どう見てもジャングル大帝じゃん…って思っちゃうけど。*4
また、調べていったらハムレットというか、「ああ、そうだよね、シェイクスピアと言えば蜷川幸雄だよね」っていう結論に至り、誰がやったのかなあと調べたら藤原竜也君がやっていました。
この時のオフィーリア誰なのかなあと思って見ていたら元folderで、つい先日コンサートのゲストで登壇されていた満島ひかりちゃんでした。うっわマジかー!!と思わずルパンレンジャーのルパンレッドみたいなことを口にしそうになった。
しかも見ている限りだとレアティーズ役が満島真之介さんのようで「ええー…ええー…?!」って衝撃でした。なにこれ見てみたいとおもったら 円盤になっている。さすがホリプロ。
なお野村萬斎氏とかもハムレットをやっているらしい。後は誰がやっているかなあと調べたら市村正親さんとか。そういえば聞いたことがあるぞ!と目から鱗。
シェイクスピア俳優と名高い英国の俳優・ケネス・ブラナーも監督兼自分で主演されたことがあるようです。 彼に関して言えば先日「オリエント急行殺人事件」に出ていらっしゃいましたね。
作品あらすじ
上記で「ライオンキングが影響を受けた作品」ということを伝えたのでめっちゃわかりやすいと思うんですけど、改めてご紹介。
その後、王の弟クローディアスは王妃と結婚し、跡を継いでデンマーク王の座に就いた。
父王の死と父王の死去から2月も満たない間に再婚する母とでショックを受ける王子ハムレットは、父の亡霊が夜な城壁に現れるという話を聞く。
いてもたっても居られず、自らも確かめるに行くと、父の亡霊は、実は父の死は現王・クローディアスによるものと知り、復讐を決意する。
復讐を誓ったハムレットは狂気を装い続け、虎視眈々と復讐の機会を狙っていたが……。
というお話です。
キャスト/スタッフ
オフィーリア:小原莉子
父王(亡霊):遊佐浩二
イメージカット→[ビジュアル公開①]亡霊
ホレイショー:小野友樹
イメージカット→[ビジュアル公開②]ホレイショー
レアティーズ:置鮎龍太郎
イメージカット→[ビジュアル公開③]レアティーズ
指揮:辻博之
演奏:オフィーリア・フィルハーモニー
舞台演出:山口将太朗
感想
初心者に優しいハムレットの世界
はじめての人にもわかりやすい「ハムレット」であったと思います。
「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」「弱き者よ、汝の名は女」といった名言は違う形で表現されていましたが、質の良い音楽をBGMに繰り広げられる朗読劇は見ていて非常に見ごたえが有りました。
キャストが誰が何をやるのかちゃんと把握しなくて言っていたので改めて登壇者を見て「絶対この弟王って遊佐さんだろ」って思ってました。もしくは父王とオフィーリアの兄のキャストは逆かな、とかね。そんなことはなかった。
作品についてはとてもお話が長いのを100分にまとめる&歌も歌うという面も踏まえて結構さっくりカットされていました。なので「詳しく知りたい人はがっつり小説ないしは舞台を見たり読んだり触れてみよう」という意味合いで、初心者に優しいなと感じました。逆に本編をしっかりと知っていて深く深く入り込みたいという人にはもうちょっと掘り下げて欲しい、もうちょっと余韻が欲しい、駆け足&総集編感があるという主張を持たれるかもな、という印象を受けました。
個人的にはTHE初心者なので、「なるほどなー」ってなったわけですが、たしかにスピーディーに物事を進んでいくため、心の変化が「早っ」と驚きました(笑)
ハムレットの最初の「これは悲劇だ」という語りから始まるお芝居ですが、少年時代のハムレットとオフィーリアの出会いを経て、父王の死去後亡霊との対話、狂ったふりをしオフィーリアを拒絶し彼女が死去、そしてレアティーズとの決闘から自らの死という流れです。
オーケストラと朗読劇のバランス
音楽は実際チャイコフスキーの「ハムレット」から使っている音楽なのでしょうか。音楽に疎いから「そうなのかなー」って思う部分がいくつかあったかんじですが。
個人的にはオーケストラと朗読劇のバランスがちょうどよかったと思います。
朗読劇をベースにしながら、見せ場という見せ場できちんとオーケストラが奏でる部分を「聴く」ことができるという意味合いでも非常に良かったと思います。
一発勝負の難しさ・やり甲斐
今回は1公演しかないものだからこそ、全員”一発勝負”なわけです。演者、オーケストラ、指揮者、演出、照明……すべての人が一発だからこそ、緊張感が非常にひしひしと伝わってきました。
オーケストラの失敗・成功について、私は専門外の人間なのでわかりませんが、朗読劇に関しては小原さんが朗読中に詰まった時の表情がさっと青くなったこと、またそこから手が震えていたところが印象的でした。絶望の中にいるオフィーリアのシーンだったからこそ余計に「失敗」だったからなのか「芝居」だったのかはわかりませんが心を突くものになっていて結果的に記憶に残りました。
沢城くんが普段どのような活動をされているのかは正直遊戯王ぐらいしか存じ上げなかったのですが、声のトーンが心地よく、圧のある芝居がいいなと感じました。A3で万里さんを演じているよと聞いてちょっとどんな作品なのか気になった程度には気になりました(笑)少年時代の爽やかなものと、父王によるすがりたい気持ちと、復讐心に揺れるところとのギャップが良かったです。
地の文が今回の作品は多かったので「今自分はこんなにも絶望している」「今自分は頭は冷静だが狂ったふりをしている」というセリフとの温度差を演じるというのは難しいだろうな~とのんきに思ったり。
後の語り部となるホレイショーの小野友樹さんは爽やかな満足非常に爽やかでした。先日キュウレンジャーで登壇されてチャラッチャラぷりを発揮しているバランスとは違うのが改めて「声優ってすごいな」ってしみじみ。総合的な出番は主演の二人にくらべても少ない方ですが、一つ一つのセリフを丁寧に読まれている印象でした。
遊佐さんはそのホレイショーよりも出番が少ない亡霊ですが、父王としての亡霊と、ゆらゆらと不安定な姿が印象に残りました。言葉一つでハムレットの世界を揺らし、崩してしまうきっかけになるわけですが…それでも自分がエゴで、どこかで復讐して欲しい気持ちと、いろんなものが孕んでいるのだろう……と見ながら遊佐さんのお衣装が真っ白であることも相まって「うわ、なんかさらっと消えちゃいそう」ってどこか感じたり。
小原さんのお芝居はキラキラとした可愛げのある少女からの始まりで「どうしようこれで100分私耐えきれるだろうか…」と非常に心配になりましたが、杞憂に終わりました。オフィーリアの感じたことは違うのかな…?というWikipedia知識を照らし合わせながら見ていたのですが、今作では限りなく「事故」に近い形の死去でした。
水を飲みながら、花と一緒に散っていくなかで、意識がぼうっとしていく下りのお芝居が好きです。
置鮎さんに関してはつい先日ネオロマのイベントに行き、会場で鬼祭のCM流れてて「お館様…」とぼんやり感じていただけに、今回のお芝居で「ああ妹のこと大事な上に父親も妹も実際彼に殺されたらそりゃあ復讐したくなるよな」っていう気持ちになりました。愛憎を孕んだ目でハムレットと葬列で遭遇するところのお芝居が個人的には印象的。いいぞー殴ってやれ殴ってやれーと内心思ったのは内緒だ。
また、沢城君と小原さんはソロ曲とデュエットがあり、バランスを持つのが大変だなと思いました。お歌に関しては声のトーンで併せて感情を持たせて歌うということの難しさを改めて感じ入るばかりです。
ふたりとも声優さんとしてのお仕事が中心の中でこうやってお歌を歌うということは非常に大変なことでしょうし、そこでも楽譜を読み、併せて練習をしていくというのは難しいことだろうなと思いました。お二人とも、歌が得意なのか苦手なのかはわかりませんが、オーチャードホールという響く場所でお歌を歌われた、挑戦をしていくということにすごいなーっていう語彙力のなさを発揮したいところ。
また、キャラデザをぐり。氏がやっているのですが、私はキャラデザを見なくても頭の中のイメージをして見ることが出来て楽しかったです。
朗読劇の良いところは自分の中で伝わってくる声を頼りに構築していくことができることだと思います。彼らの表情をトレースして、再現して、作り込んでいく。頭のなかで躍動していくハムレットのことを思うとなんともまぁ「ああ、しんどいな」って思ったり。
でもそれを正しいとは思いませんし、キービジュアルとかデザインがあるのでせっかくだから……と彼らが躍動する姿をこのイラストに併せてイメージするのもありだと思いますし、それぞれにそれぞれに形があると思います。
古典に触れようとする機会を得られるというのはとても良いことだと思いますし、聞いてて改めて「ちょっと原作見てみるかな」とか「ちょっと掘り下げた形で見てみようかな」とかができるというのは幸せなことであると考えます。これを機会に本屋に走るのもありだし、Amazonで藤原竜也主演の、市村正親主演の、野村萬斎主演のハムレットを購入することもできる。いやあいい時代ですね!(笑)
今回の機会をくれたこと幸運に思います。ありがとうございます。
ちはムレットとプチ打ち上げ。真面目に反省会なんぞしつつ、熱い夜。主演、立派に努めあげたよ千春!課題はカーテンコールのレディーファーストの促し方だよ…<●><●> pic.twitter.com/lQW7i4Zf3g
— 小野友樹 (@onoyuki19840622) 2018年2月17日
朗読劇『ハムレット』
— 沢城千春😙🇯🇵 (@sawasawa12) 2018年2月17日
公演無事に終了😚‼️
ご来場下さった方々ありがとうございました!芝居を始めてこんなに喋ったのは初めてでした(笑)
貴重な経験をさせて頂きました。
ありがとうございました😭‼️
全てに感謝です。ありがとうございました。 pic.twitter.com/glDkqrGnlh
お芝居に対して「こんなに喋ったのは初めて」ということを仰っていましたがそれだけセリフ量も膨大だったと思います。お疲れ様でした!
*1:TBS「星の王子さまミュージアム 箱根サン=テグジュペリ」
*2:To be, or not to be
*3:Frailty, thy name is woman.
*4:「ライオン・キング ジャングル大帝」で検索すると出て来る盗作騒動の話。私はジャングル大帝レオをアニメで知識をなんとなく知っている側ですが最初シンバの色が白だったとか、1994年7月13日の『ロサンゼルス・タイムズ』は、企画時の『ライオン・キング』のタイトルが「King of the Jungle」だったと報道したこととか「アッチャー」って思ってます。最終的に虫プロ側が「手塚本人がディズニー好きだったしな…」って言っているので終息したらしいですが。ちなみにこれに関して宮﨑駿氏がぶちギレしたってのを見たんですけどナディアとかもどうなんですかね…とか思ったり。取り敢えず個人的にこの話については「終わったこと」だけど、「知っておいてほしいこと」だと思っています。限りなく黒に近いグレーって感じ。