最近Kindleで漫画を読むことが増えて「何か面白いのないかな~~」と探していたら偶然出会い、結果、一気に読み終わりました。
斉木久美子先生による「どう見ても宝塚歌劇団だけど名前は違う、架空の現代日本の劇団を目指す学生たちを描いた物語」です。
端的に言うと「めちゃくちゃ楽しくて読み込んでしまった」ので、その感想になります。

「かげきしょうじょ!!」ってどんな話?
実際にあるものを漫画にするのってそれはそれこれはこれでとても権利の関係上難しいというのはGIANT KILLINGというどう見てもJリーグ、どう見てもJリーグチームな作品で学んだのですが*1此方も同じで「宝塚歌劇団」に近しいイメージです。メインになるのは「そこに至る」までに励む学生たちの物語。
大正時代に創設され、未婚の女性だけで作り上げる美しく華やかな舞台で
世代を超えて人々の心を魅了する「紅華歌劇団」。その人材を育成する「紅華歌劇音楽学校」に、
高い倍率をくぐり抜け入学してきた第100期生たち。“オスカル様”に憧れる、178cmの長身を持った天真爛漫な少女、渡辺さらさ。
夢も友達も、すべてに無関心な元・国民的アイドル、奈良田 愛。
何もかもがバラバラな彼女たちの、希望と葛藤に満ちた音楽学校生活が今、幕を開ける──!!
(アニメ公式あらすじより)
「東大より倍率が高い」ということでおなじみの世界。ちなみにめちゃくちゃ余談ですが学友の一人が音楽学校を受けて合格し、その後転校(という言い回しでいいのだろうか)していった記憶があるので宝塚という世界の難しさと厳しさはふんわりと知っています。
作品名の「かげきしょうじょ」は「歌劇少女」と「過激少女」とかけているのかなぁとかちょっと思いました。華撃もありうるかな…??*2
知っているけれど知らない世界として
先日、オシゴトガタリという「ファンに聞く!”あなたなりの楽しみ方””あなたがどんなふうに推しが好きなのかを教えてもらう”」という企画で宝塚歌劇団のお話を聞きました。
なので、おおよその世界観はふわっとではあるものの知っていたのですが音楽学校の世界についてそういえばニュースで見る機会ぐらいしか触れてなかったのでお話を見ていくにつれて「こうなのか」という学びがあったり、もちろん現実とコミックスという次元の違いだからこその描かれ方の違いもすごく感じました。
個性豊かなキャラクター
まず言わずともがなの主人公。主人公は「渡辺さらさ」と「奈良田愛」の二人。光と闇、動と静ともいわんばかりの正反対の二人です。やっぱりペアっていいですよね!!!!!ハイキュー!!も、黒子のバスケもランウェイで笑ってもそうなんですが正反対な二人だからこその「それぞれの目指す先」「それぞれが行きたい所」がだんだん見えてくるところが良いなぁと感じます。
さらさがスターダムに駆け上がっていくのだとしたら愛は道を変えたがゆえの「見え方が変わっていく」の成長物語であるように感じます。
さらさの生い立ちを見ていくと「男しか上がれない場所」に夢見て、絶望して、そこから紅華に救われてという人間です。どちらかというとイタコタイプ。北島マヤ系ですね。天真爛漫でまっすぐ、お芝居も憑依型という時点で「マヤだ~~!!!」って思う部分も節々から伺えます。また、属性で言えば「光」タイプであれながら拭いきれないオタク感(うっかり「エヴァ」の話とか、どうみてもゴジラとか)もありつつ、15歳という少女と青年の転換期の間にあることでの様子が伺いしれます。
愛はどちらかというと一歩引いて、客観視出来るタイプ。彼女も彼女で様々な人生を背負っています。どうみても48人なアイドルグループの中の上のほうにいながら、それを投げて紅華に至るまでに物語は「投げやり」感と一方でのベースになっているからこその確立が見えます。
また、この二人の成長過程のなかでもちろん予科生と呼ばれる生徒さんたち、本科生と呼ばれる生徒さんたちもそれぞれに出てきて「自分が目指したい先」「こうありたい」というのを形作っているのが伺えます。その機微の一つひとつが非常に良いです。
色んな所から窺えるパロ部分
根本的な部分は宝塚歌劇団のやっていることを凄く研究されて作られているなぁと感じました。
また、さらさのベースになっている「オスカル様になりたい」というのは言わずともがな宝塚といえばベルサイユのばら!というイメージが強いこともありきっかけとして良いなぁとも感じます。
(主役がオスカル編とアントワネット編とあるぐらいには人気なイメージ)
オスカルというのはまさに男装の麗人で、女性でありながら男性として生きて、その中でアントワネット、フェルゼン、そして最愛の幼馴染アンドレとともに生きていった女性です。だからこそのさらさの背丈(178cm)での相手役(アンドレ)とのバランスの難しさなど、諸々の描かれ方がすごく面白いです。
恵まれた体格でありながら「恵まれすぎている」部分の難しさというか…姫役と男役の間に関しては彼女の先輩が悩んできた道としても描かれていて、すごく心にきます。
だからこそユニセックス、ジェンダーレスな「真ん中」にいるような愛がどちらもやってみようとしている姿勢も面白いですね。
ためらわずに「オスカル様」という名前をあげつつ、さらさに渡されるバラが「本当は紫がよかったんだけど赤いバラ」っていうのが絶妙にガラスの仮面~!!!!!してて楽しいです。
暁也くん*3が「桜小路くん」と呼ばれたりと、少女漫画という世界の諸先輩たちの色鮮やかな世界を引き出しつつ美しく描いているのが特徴的でした。(桜小路くん立ち位置まぁまぁあれだけど)
青臭さとスポ根と
この作品、すごくスポ根要素が強いんですよね。
優雅でたおやかでありながら、絶妙に「努力」「努力」の上に培っていく教養とか、美しさが作られていく過程に近いです。
もともとアイドルグループにいた愛ちゃんは「これから作られていく過程」としてのそこそこを演じてきて、だからこそ「プロフェッショナル」としての立ち位置になるまでの美しさを求める予科生の成長も見ごたえがあります。
また、彼女たちは100期生で、だからこその【記念】という立ち位置と、先輩たち、後輩たちの距離の図り方というのも見ていて良いなぁと思います。
どこから手を付けよう
漫画を読む場合は本編の「かげきしょうじょ!!」からではなく「かげきしょうじょエピソード0」から読むのがおすすめです。私はうっかり本編から進んだので「どういう関係!?」とすごくびっくりしたものです(笑)
このさらさの服がオスカル様をめちゃくちゃ意識しているのがすごく良いですよね!!!!!!!!!!!!好き!!!!!!!
とかいってたらこの作品、2021年にアニメ化するそうです。
本当に昨日、一昨日の勢いで読み始めただけに何も知らなくてめちゃくちゃびっくりしました。
キャストもまだ未発表ですが、アニメと漫画ならではの違いを見せつつ素敵な作品になってほしいですね!ところで11巻はやく出て…!!!!!(笑)