あなたは突然ですがドラえもんが好きですか。
あんまりわからないっていう方もあの独特なフォルムは見覚えがあると思います。
私はドラえもんが好きです。といってもめちゃくちゃひみつ道具知ってるよってほどじゃなくて、気楽に好きぐらいなんですけれど。好きな映画はって聞かれて結構考えあぐねるわけですが「好きなドラえもん作品はどれですか?」って言われてあれもこれもこっちも好きー!って言い出しているのが私なわけです。
旧ドラえもん(大山のぶ代さん)世代なわけですが、それでも新作ドラえもんはなんだかんだ見に行って結局ボロボロ泣いたりしながら帰ってきていることに定評があります。それぞれ違って、それぞれを知っているからこその楽しめる要素がある。そう私は思っているので、どっちも大好きです。
ということで、春休みに併せてドラえもんは毎年3月に映画を作っているわけですが、今回は「宝島」をテーマにしたカリブ海のお話です。
ところで今回のポスターめっちゃかわいくないですか。古紙っぽいかんじで見ててニコニコしちゃいます。
以下ズラズラと感想を書いていきたいと思います。
ドラえもんのび太の宝島概要
「宝島を見つける!」とジャイアンたちに宣言したのび太は、ドラえもんのひみつ道具"宝探し地図"を使って宝島を探すことに。地図が指し示した場所は、なんと太平洋上に突然現れた新しい島だった・・・。ノビタオーラ号と名付けられた船で宝島に向かったのび太たちは、あと少しで島に上陸というところで海賊たちから襲われる!急にあらわれた敵に立ち向かうのび太たちだったが、戦いのドタバタの中でしずかが海賊船にさらわれてしまう!はたしてのび太たちは海賊からしずかを助けることができるのか!?そして宝島に眠る財宝に隠された秘密とは一体!?
(TOHOシネマズ公式*1より引用)
予告編はこちら。
感想
超泣いたよね。
隣にいたキッズにすごいドン引きするレベルで4回ぐらいなんか言うたびにこっち振り返ってるのに私は気づいていたよ…(笑)ごめんな…めっちゃ大号泣しててごめんな……。
ということで、今作は「宝島」がテーマになっている作品です。
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ちなみに宝島はアニメにもなっているし、冒険に憧れる少年のハートをキャッチするのにはもってこいの作品なわけです。
まさかの学研がめちゃくちゃキラキラしたイラストで出していてびっくりした。
ドラえもんだと大体歴代、オリジナルキャラクターの女の子が「ヒロイン」って感じなのですが、今作に於いてはヒロインは源静香その人であり、貫いて「野比のび太」が主人公だと感じました。
オリジナルキャラクターのフロッグとセーラはそれぞれののび太側、静香側でのジタバタするところが見られてよかったですね。
フロッグとジャイアンたちとが揉めた時といい、何かとのび太君がフォローに回っているのを見ていて、「自分には何もない」というのび太くんとハイスペックフロッグの対比があるのですがフロッグが「のび太は特技は?」って聞いた時彼は「昼寝とあやとり」といいます。それじゃあ力になれない、としょんぼりしながら。
でも、ドラえもんをある程度見ている人ならわかると思うんですけど、のび太くんって「射撃」超得意なわけですよ。ドラ・ザ・キッドと撃ち合って互角だったり、彼のその狙撃の腕前がストーリーにおける重要ポイントだった銀河超特急とか。映画におけるのび太君の腕前は重要なものです。
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しかも戦闘が待っている中で言うのに「射撃」を挙げなかったのが本当に不思議で、何でだろうと考えたんですが、この作品のテーマで「子どもにどんな風になってほしいか」というのが込められていて、そこで出てきたのが「他人の幸せを共に喜び、他人の不幸を共に悲しむことのできる人」という言葉。
そう、見てきた同世代の人おわかりですね。
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もう何、見て。超見て。マリッジブルーになった静香ちゃんとしずかちゃんのパパが送り出す名シーンです。名作すぎて泣く。
のび太君はバカにされまくったり、本当何もできない人だけどそういう「優しい」人であるということは視聴者我々はとっくに知っているし、だからこそ学校の、皆のマドンナである静香ちゃんは出来杉でも金持ちのスネ夫でもなく力持ちのジャイアンでもなく「野比のび太」を選んだのだと未だに思います。優しさだけじゃ腹は膨れないけれど、それでも静香ちゃんは彼を選んだ。その理由のカケラがいっぱいこの作品にはあったと思います。
フロッグとジャイアンたちの真ん中に立って、「この状況をなんとかしよう」といい、泳げないのに静香ちゃんを助けるためだけに必死に海の中しがみついてもがいていた(この時ドラえもんの道具が使われていたかもしれないけれど、私は流れに「うっのび太君優しい」とめっちゃ泣いてました)り、自分のことより「静香ちゃん」のことを考えて必死にもがいて頑張っているところはまさに正主人公だなって思います。
「漢を見せろ」とジャイアンがスネ夫に言うところや、彼らが奮起してここは任せろっていう超死亡フラグを立たせながらも敵から突破口を開かせるところは見てて「うううドラえもん友情最高かよ」ってまた泣いていた。キッズごめん振り返らないで。
フロッグとシルバーのやり取りにも感情移入できるし、ドラえもんが死にかけたときも「なんとかしなきゃ」で「僕がいかなきゃ」という勇気を持っているのび太くんなわけです。もうどうやってものび太君ハッフルパフに見せかけたグリフィンドール*2行き確定でしょ…静香ちゃんレイブンクローとグリフィンドールめちゃくちゃ悩ませられるやつだ……。
この作品の主人公は間違いなく「野比のび太」であったと思いますし、ヒロインは「源静香」だけれど、静香ちゃんは守られるだけじゃなくて自分も何とかしなくちゃってなるし、でも10歳の女の子だから不安で眠れないところだってあるわけで、実に等身大で、ジャイアンとスネ夫の友情も含めて一つにつながっていくところがすごく好きです。
親子愛が今回は強く描写されていましたが、セーラちゃんの板挟み状態や、フロッグの「分かっているけどわかりたくない」というジレンマも含めて「はーーー好き」っていう一言。後なぞなぞは全力でいくつかわからないのがありました。
また声優面でいうと長澤まさみさん、大泉洋さんはあまり違和感がなかったです。サバンナ高橋はどこにいたんですかってレベルで馴染んでいました。
大泉洋さんはそれこそ「こうしなければならない」という概念を凝り固まらせてしまった状態と、まだ妻が行きていた時とのお芝居の違いが見られて「思えばこの人レイトン教授じゃないか……」とすごく納得しました。改めて芝居が上手。
長澤まさみちゃんも違和感なくすとーんっとフィオナをやっていて、ふわふわ優しい気持ちになれました。
「これ南海大冒険じゃないの?」と思った当初
キービジュアルを見て思ったあなた、そうでしょう。私も最初全力で思いましたとも。
だって南海大冒険*3とドラえもんのキャプテン帽一緒じゃないですか!!(笑)
南海大冒険については藤子・F・不二雄氏が亡くなられた後の1年目にて作られた作品。ちなみに同時上映は「帰ってきたドラえもん」でもれなく連れて行った親御さんがガチで泣いたというあれでそれ。当時のドラえもんは3本立てで、短編2本と長編があった仕様です。ちなみに過去作短編には「おばあちゃんの思い出」とか「のび太の結婚前夜」とか割りと本気で親世代を泣かせにきていた。子どもも泣くけどそれ以上に親がマジ泣くレベルの良短編だらけでした。今でも見直すたびに大号泣待ったなし。
それはさておくとして、南海大冒険についてです。
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ドラえもんとしては19作目で「大長編」というカテゴリでは18作目だそうな。
ストーリーとしては、45巻収録の短編『南海の大冒険』、同じく41巻収録『無人島の大怪物』がモデルになっているそうです。
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てんとう虫コミックでも出ていますよろしく!
スティーヴンソンの小説「宝島」を読んで宝探しに憧れたのび太は、ドラえもんのひみつ道具「宝さがし地図」で宝島の在処を一回で突き止め、海への冒険に出発する。
いつものみんなも加わって冒険を楽しんでいたのも束の間、突然時空に異変が起き、のび太たちは17世紀のカリブ海へ転移。海賊の戦いに巻き込まれ、のび太はドラえもんたちとはぐれ、ドラえもんはポケットを失う。
ピンク色のイルカ「ルフィン」に助けられたのび太は無人島へ流れ着き、島で1人で暮していた少年ジャックと知り合う。一方ドラえもんたちは海賊キャプテン・キッドに助けられ、のび太を助けるために共に宝島のトモス島を目指すが、そこは謎の生物に満ちた未知の島だった。
もうすでに冒頭一行目が”宝島”って言ってるじゃないかと言われそうですね。そうです、大本のお話としての「宝島に憧れる」という部分はこの作品と「南海大大冒険」は一致しています。
ただ、大筋のテーマとして持ってきているものが違うので、ぜひ「のび太の宝島」を見た人にも南海大冒険を見てほしいしなんだったらついでに帰ってきたドラえもん見て(STAND BY ME ドラえもんの大元になったストーリーです)ほしいですしね。見てくれ。
で、まぁじゃあ「実際中身似てるの?」って言われるとそうでもないです。
南海大冒険では「ルフィン」と仲良くなって、また、ルフィンの友達の海賊少年「ジャック」と仲良くなるわけですが、南海大冒険ではのび太君パートは概ね「道具に頼らない」流れです。主人公はどっちかっていうとドラえもんたちな印象(のび太君南海大冒険だと海に流れ皆と分かれて行動している)ですが、今作ではどっちかっていうと「ドラビアンナイト」のごとくしずかちゃんを助けに行くコンセプトも踏まえているので、どちらかというと「モチーフ同じだけど違う形で作ったらこうなりました」って感じ。メーカーは一緒、みたいな。
昔見たものを親(自分)が子供と同じように思い出しながら楽しむ、っていうのが今回のモチーフ「宝島」に合わせたと思っていたのですが、そもそもそれってドラえもんにも言えることなんなよなって見終えてしみじみしています。
しかしあれだ、それにしたってドラえもんの敵は「ノアの箱舟」大好きだな!!(笑)って思いました。アニマル惑星は未来人らしき存在が動物たちノアの方舟にのせていったし、雲の王国もノア計画でああだこうだしてるし、その辺踏まえると「選民を残してここを捨てる」というのは、藤子・F・不二雄氏がずっと考えて提唱し続けていた地球との共存問題に対して「見ないふりをするな」っていう警告にも思えました。
新ドラ映画が描く「親と子ども」
過去に「ドラえもんのび太の日本誕生」記事を書きましたが、当時私は「リメイクじゃなくてオリジナルで感動させてくれよ!」と大分腹たちながら見に行ってあっさり掌クルーってしながら「うっうっドラえもんやっぱ好き……」という状態で帰ってきたわけですが。
其の頃から思ったのは「新ドラえもん」の描写として「親子」というものをとても以前より重視しているように感じます。
当時のブログは此方。ブログ始めたてなのに日本誕生好きすぎて熱量が割りと気持ち悪い(笑)
ということで、今作ではポイントとして「しずかちゃんが攫われる」「皆で克服する」「映画オリジナルキャラクターと乗り切る」というものにプラスして、日本誕生を見て思った「親と子の視点」の話も入ったと思います。日本誕生は「のび太のママ」でしたが今作においては「のび太のパパ」でした。
のび太のパパは「宝島」をすでに過去に熟読しています。その上で息子が同じように夢中になっているのを見て「同意」したい部分と「止めなければならない大人」の視点の部分が重なるわけで、それを見ていると、どことなく南海大冒険で見ていた自分を重ねている気がしました。「過去同じように夢を持ってワクワクした」っていう表現はスタンド・バイ・ミードラえもんやポケモンでいうとオリジンの際のCMのやり方と一緒で「あーそのやり方は世代ダイレクトアタック…!」と顔を覆いたくなるぐらいツボなわけですが(わかりやすい)、其の上で今回の描写は日本誕生より薄くはありました。その分オリジナルキャラクター・フロッグとセーラとシルバーに照らし合わせられるわけですが。
親と子、特に同性同士というのは不思議なもので父親というのは「越えるべき壁」と描写されることが多いです。
今作のフロッグもまた、のび太と同じく親と揉めて飛び出してきている少年なわけです。ハイスペック&チートのような整備士として力を持つフロッグを「凄い」と尊敬しリスペクトするのび太との対比は興味深かったです。
前述したとおりの「優しい人になってほしい」という言葉を思い出しのび太くんを見たシルバーの描写で子どもたちは「優しい人になって欲しい」の「優しい人」の代表格が野比のび太であるということに気づいたかな、気づいてたらいいな。
お前は弱虫なんかじゃない。
ずっと誰にも負けない強さを持っていたじゃないか。
優しさって強さを。俺はお前から教わったんだぜ相棒!
っていうね、素晴らしいセリフが「遊戯王」って漫画の中にあるんですけれどね。非力で無力で弱虫でゲームしかできない武藤遊戯君が自分を依代にして最強になっちゃう闇遊戯というもう一人の人格を宿し、その「闇遊戯」を本来のいる場所に見送るときに闇遊戯から言われた言葉なのですが、「優しさ」で人は包み込まれる。このことを野比のび太君にも言えると思いますし、頑なだった心を柔らかくしてあげられる、柔らかい心っていうのを持っていたのは「野比のび太」だったからできたことだと思います。
フロッグはスペックがある。ジャイアンだってパワーがある。スネ夫だって色んな考えができる、未来の道具を持ったドラえもんだっている。
でも、静香ちゃんを助けるのは、彼らを繋いでいくのは野比のび太じゃなきゃだめなんだろうなって思います。
今回の作品で伝えたかったことはとてもシンプルなことだと思いますし、ある意味で「王道」「ワンパターン」という部分も否めません。けれど、「ワンパターンや王道とは、大切だからこそつなげている」部分でもあると思います。
あっでもシルバーさんに関しては絶対的にタイムパトロール何してんの?って思ったのは内緒だ。
ただ、「宝物以上の宝物」というキャッチフレーズに対して青い鳥のごとくずっと側にあったものが大切なものだということに気づく、という話として好きだなと思いました。
「家族」であったり「友達」であったり。近くて、遠くて、大事。もう居なくなってしまったフィオナのぶんまで歩いて行く、いきていこうってなるのはきれいでしたし、二人の思い出の場所に彼女の墓があるのうっっかり泣きました。
気になったポイント
本当これは超蛇足に蛇足なんですけどね。
フランスパン焼成後すぐ手づかみにしたマリアさんお手て大丈夫かなっていうことをどうしてもいいたくてですね。
だって180度強の窯焼きしてるわけじゃないですか。絶対素手で持ったらやばいって。セーラちゃん止めて差し上げて。
後焼いてすぐのパンペルデュって絶対もったいない……前の日に一杯作っておいてスライスしてフレンチ液にひたしておいたほうが絶対いいって……っていう食べ物好きとしてつい思ってしまったのは内緒です。でも見終わって第一声「あ~~~美味しいフレンチトースト食べたいよ~~~」でした。フレンチトーストはいいぞ!!!美味しいぞ!!冷蔵庫で1日フレンチ液で浸したバゲットをこんがり焼くのおすすめです…。
それと、シルバーが杖をついていた理由がちょっとわからなかった。引きこもってた状態だから足を悪くしたというあの、いわゆるブリキの迷宮*4的なあれでそれなのかなとか。
その辺の細やかな「???」ていうのが気になったかなあ。
今回の主題歌のお話
こっちは予告編でもすごく個性的な部分が出ていましたね。
「4次元」「2次元」「出来過ぎあの子」「落ちこぼれた君」もというキーワードはもうあのドラえもん見たことあるとニヤニヤしますよね。明らかにあいつとあいつとこの話だなっていうね。
しかもこの曲、間奏で「ぼくドラえもん」を使っていると聞きます。*5
もうあの……あの…間奏聞いたときに「あったまてっかーてーかー!」って大山さんの声が聞こえてきて私死ぬかと思った。思い出補正なの承知の上なのですが、やっぱり大好きな曲なんですよね、「ぼくドラえもん」。
テレ朝のニュース番組で「僕ぐらいの世代のアニメを見てた人が、親御さんになって一緒にみにいって、ドラえもんはずっと持続していくからこそ、共有できて、そんな人達が思い出したりできたら」ということをお話されているのを見てドラえもん皆見よう……って結論に至りました(笑)
ちなみにジャズ編曲もされていたりします*6でもやっぱり原曲を最初に聞いてほしいな。
なんでiTunesにないのかわからない……。子どもにも大人にも今の作品も昔の作品も、「架け橋」になってもらえたらいいなって思える曲でした。ドラえもんはいいぞ。
そしてもうひとつの主題歌の「ここにいないあなたへ」もとても良かったです。
こう、聞いていて静香ちゃんでありドラえもんであり、「ドラえもん」という曲が普段使われている楽曲として違和感ないのに対して「ここにいないあなたへ」は短編であり長編であり「映画」のドラえもんの曲にとてもマッチしているな、と思いました。インタビューも含めて面白かったのでぜひ読んでほしい*7。
今回の作品は本当に「昔のドラえもんの雰囲気」を持ち合わせながら「今のドラえもんの良さ」を持った作品だと思います。
思い出しながら、いろんなことを感じながら、めっちゃ泣きました。取り敢えず隣のキッズ本当ごめんね……びっくりしたよねごめんね……ところで君さっきエグゼイドでも席近かったね…(笑)