ということでうっかり先日グレイテスト・ショーマンを見てきました。
あっちこっちで話題になっているので具体的に私が語らなくてもええやろと思ったんですが、せっかくなのでのんびり感想を。それにしてもミュージカル映画日本で放映される可能性が増えてきて本当に嬉しいです。
ステージで見る楽しさ、映像で見る楽しさ、それぞれにそれぞれの形があってウキウキしますね。
あらすじ
19世紀半ばのアメリカ、P.T.バーナム(ヒュー・ジャックマン)は幼なじみの妻チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)を幸せにしようと挑戦と失敗を繰り返してきたが、オンリーワンの個性を持つ人々を集めたショーをヒットさせ、成功をつかむ。
しかし、バーナムの型破りなショーには根強い反対派も多く、裕福になっても社会に認めてもらえない状況に頭を悩ませていた。
そんななか、若き相棒フィリップ(ザック・エフロン)の協力により、イギリスのヴィクトリア女王に謁見するチャンスを得る。
バーナムはレティ(キアラ・セトル)たちパフォーマーを連れて女王に謁見し、そこで美貌のオペラ歌手ジェニー・リンド(レベッカ・ファーガソン)と出会う。
彼女のアメリカ公演を成功させれば、一流のプロモーターとして世間から一目置かれる存在になると考えたバーナムは、ジェニーのアメリカ・ツアーに全精力を注ぎ込むため、団長の座をフィリップに譲る。
フィリップは一座の花形アン(ゼンデイヤ)との障害の多い恋に悩みながらも、ショーを成功させようと奮闘する。しかし、彼らの行く手には、これまで築き上げてきたものをすべて失うかもしれない波乱が待ち受けていた……。
(Movie Walkerより引用)
キャスト・スタッフ
キャストには「レ・ミゼラブル」のヒュー・ジャックマン、「ハイスクールミュージカル」のザック・エフロンを始めとしたキャストが集まり、マイケル・グレイシーが監督を努めます。初監督とのことですが、大掛かりなこのプロジェクトを担当するってすごいことですね。
また、楽曲はラ・ラ・ランドの二人が再び担当。
感想
ヒュー・ジャックマンのにじみ出る人柄でカバー
いやもう第一声「これバーナムさんが悪いやんけ」でした。私元の話を微塵も知らない、基礎知識0で見た上で見たんですが興業家としては、中途半端に投げてる状態じゃん……いや仕方ないとは思うけどそういうことでは…?!と思ったりしたわけですけれど。
でもなんだかそれを感じさせない不思議な魅力があって、じゃあそれはなんだろうと思ったらヒュー・ジャックマンの顔、表現からにじみ出る「いい人オーラ」なんですよね。
ジャンバルジャンをやったからなのかなあ。他の作品でも外道やったりしているんですけど、それでもこのバーナム氏を全然悪いように見えなかったんですよね。迷走している人だなあっていう印象というか。
P・T・バーナム氏はサーカスを生み出した人ということですが、サーカスでダレン・シャンを思い出しました(笑)サーカスというのは狭くて広い世界です。深い深い闇のイメージがありますが、どこかしらほの暗いかんじがこの作品においてもどこかしらあって、けれど、主題歌である楽曲にも「光の中へ」という訳があります。
そのギャップが非常に面白いな、と思いました。
また、バーナム氏の「仕立て屋」から「成功者」になったことに対して周囲が良い顔をしないからこそ焦り、どうにかして成功させていきたい、成功しなくちゃっていう使命感にどんどん片方に傾倒していくのは見ていて目をそらしたくなるものがありました。痛い痛いそれすごい分かる痛い。
短所を長所にするということ
この作品の一番の分かれ目となっている「This Is Me」がめっちゃかっこいい。
作品における「サーカス」の団員である彼らが上層階級での挨拶を他の誰でもない「団長」に拒絶されて扉がしまった向こう側から自分たちのいる「サーカス」へと歩いていくときに流す、「髭女」であるレティが先陣を切るのがカッコイイですね。
The Greatest Showman - This Is Me [Official Lyric Video]
この曲に対して、この過程に対して思うのは「偏見」はいつまでもなくならない、どうやっても回復しない何かがあったとしても「自分は自分」であることへの肯定してくれた光の生き方を知ってしまった以上戻らないっていうね、とてもポジティブですよね。
どこかLoser Likes Me(Gleeの名曲)と同じ空気感を感じますが、This Is Meは生まれながらもったハンディ、そして生き恥と言われていた自分たちを「自分たちは自分たちだ」と肯定へと向かうものなのでとても好きです。
どの楽曲も個人的にお気に入りなのですが主題となっている、CMでも散々聞いている曲と、このThis Is Meは聴き応えがあって非常に好きです。また、ヒュー・ジャックマンとザック・エフロンのタップをしている楽曲もおすすめ。
ただ、どちらかというと「音楽」として聞くものなのか「視覚的なものを踏まえた上で見たほうが良いのか」と聞かれれば後者です。ミュージカル映画なので、というのもあると思うのですが表現の仕方もコミコミで、できれば映像、ないしは舞台の上でみたいです。
ハンディキャップに関しては非常にデリケートな問題であることは今も変わりません。
バーナム氏のサーカスのやり方はいわゆる日本で言えば「見世物小屋」という風にいうのかもしれません。でも、個人的には作中にあった「オンリーワンの個性」「ユニーク」という表現がとてもとても好きです。
皆違って皆良い。そして皆同じ部分が絶対ある。という二律背反を孕んでいて、バーナム効果とよばれる「何かしら共通項が人にはある」という彼の言葉を考えた上でこの作品を踏まえているとなんだか色々思うところがあります。
「嗤う」と「嘲笑う」「笑う」はそれぞれ意味合いが違います。
レティはじめとしたサーカスの団員たちの考えを見ていると、彼らは暗闇の中から見つけた一筋の光のために必死に生きています。「本当の家族」という意味は「血を分けたからと言って愛をもらえるわけではない」からなのだろうけれど。
一方で異形は異形同士で集まればいいんだよっていう主張に関しては私はノーだと思うし、それを「表現の場」としてサーカスを生きがいとして、誰かを笑わせるために歩いている姿について「明るい」「眩しい」「輝いている」という表現が似合うと思います。
そう言う意味ではディズニーの「ノートルダムの鐘」もそうだなと思います。原作はめっちゃ暗いですけれど。
それでも彼らはバーナムを信じて、団長がフィリップとしてやっているときも「彼は何も言わずにきてそして帰るんですねーええ、ええ、そーですかー」っていうののやり取りも含めても、それでもどっかで信頼をしているのが切ないし、好き。
好きなシーンの話
前述したThis Is Meのところもめっちゃくちゃ好きです。オペラ歌手のジェニー・リンドのソロシーン。ひたすら心震える歌い方するから「うっわ……うっわ……これステージで聞きたいなあ」って思いました。
ジェニー・リンドのお話というとかの作曲家メンデルスゾーンとかともお話があるらしいのですが*1、孤児であるひとりのジェニー・リンドが救われたのもこの作品ではバーナムで、でも同時に突き落としたのもバーナムです。作中で歌のシーンが歌い方は同じでも、表現が違うところで「ああ……あああ精神的にしんどいなあ」って気持ちになります。でもそれがいい。
また、アンとのフィリップのロマンスのジレンマも好きです。フィリップの表情のザックがすごくいいし、アンのゼンデイヤが言いたい言えない言わないのぐるぐる感とか、手をつなぐのに離す流れとかね。しんどい。
作品として好きか?
正直アラは否めません。「なんでだよ!!!」というツッコミもあります。わかるわかる、そういうところ本当どうなん?っていうのあります。
まぁでも音楽がいいし、個人的には見やすくていいエンタメだったと思います。この「作品の中」ではハッピーエンドだし、バーナムからフィリップに帽子が渡される過程がとても見てて「代替わり」っていう表現の仕方がいいなあと。
また、ハンディを持った人たちに対する配慮も文末表記されていますし、ある種の人間賛歌として前に進む勇気、光の中で自分が間違えてもまた立ち上がるための道を「皆」で見つけるという表現は見ていて楽しかったです。
終わってから映画館で3人友達といったらそれぞれサントラ買ってるし後ろの人もサントラ買ってるし、そりゃあ歌売れるわ…ってウンウンとうなずきながら、またザック・エフロンのミュージカル聞きたいな~って思いました。
なんかニュースでヒュー・ジャックマンが舞台化の話があるらしいよっていうのを口にしていましたが、
本当になるんだとしたらステージの上でみたいなあ。映像で見ての迫力と舞台の上での迫力はまた違うだろうからこそ、どんな風にどう演出してどう形作っていくのだろうと興味があります。
まぁあれですよこの作品において見終えて第一声「LIFE IS BEAUTIFUL…鮮やかなシーン焼付…」っていうみうらさんとこのだいちくんのお歌でした。自分ぶれない。
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