ご飯ものの小説を読むのが好きなのですが、先日Kindleで可愛らしいビジュアルに目を引かれて2冊ほど本を購入しました。
それがこちら。喜多みどり著の「弁当屋さんのおもてなし」シリーズ。
角川文庫から発刊しているシリーズです。
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Kindleはモノクロなので、表紙をちゃんと見たのは実は初。
あらすじ
「あなたの食べたいもの、なんでもお作りします」
恋人に二股をかけられ、傷心状態のまま北海道・札幌市へ転勤したOLの千春。
仕事帰りに彼女はふと、路地裏にひっそり佇む『くま弁』へ立ち寄る。
そこで内なる願いを叶える「魔法のお弁当」の作り手・ユウと出会った千春は、凍った心が解けていくのを感じて——? ..
登場人物は「千春」、そしてお弁当を作っている職人「ユウ」、さらにお弁当屋さんの常連さん、オーナーさん…初見さんに本当に様々な人達がやってきます。
そして外してはいけないのが「おいしいお弁当」がぎゅっと詰まっている物語。これが「弁当屋のおもてなし」です。
北海道を舞台にした物語
この小説は北海道札幌市を舞台に物語は進んでいきます。
いわゆる「内地」に住んでいる人間からすると知らなかった「そうなんだ」がたくさんあって(いくら朝ごはんに食べているの羨ましいの極み)、いろんな風景をイメージで再現していけるあたりがほっこりしました。
お腹も、心も、あったまる
よくもわるくも、皆とてもあったかい。それがこの弁当屋のおもてなしという作品における傾向だと思います。皆良いところも悪いところもあるのが人間ですが、それをできるだけポジティブなところとして描いています。
千春は基本的に引っ込み思案というか、どちらかというと控えめです。それが「海薫るほっけフライと思い出ソース」には特に出てきます。千春自身は1巻で自分自身のことに触れたぶぶんは出てきますが、2巻の「姫竹花籠弁当」では、彼女の友人が彼女のことを表現していてあたたかみと同時に「この友人なんなん???????は???お前んなかではそうなんだろう、お前の中ではな」と物語の人間とは言えそれを言われたら無神経の極みで「こいつ好きになれんわ」って冷ややかな目で私は見ていたのですが(千春も案の定怒っていたわけで)、そのへんをうまく回収しながら「雪解け」のように人間関係を描くのは素敵だなと思いました。まぁでも彼女はリアルにいたら絶対関わり合いたいとは思えなかったけど(本音)
なんというか、「良いやつ」「憎めないやつ」っていうのは皆居て、その中での距離感っていうのが少しずつ人によって違うからこそのあったかさ、みたいなものを感じます。「くま弁」というお弁当屋さんと関わることで、少しずつ自分たちの中にあったわだかまり、モヤモヤが解けていく。その瞬間を読むのがとても素敵だなと思いました。
とりあえず1,2巻だけを読んだだけですが、「まちのお弁当屋さん」というものに対して余り遭遇することがなくチェーン店が多い中で、こういうお店があったらいいなぁ……とほっと優しい気持ちになりました。
NHKとかでご当地ドラマができそうな形の作品な印象なので実写化するなら誰かなぁとかぼんやり考えながら読める、そんな作品です。登場人物のイラストはなく、そのぶん「ごはん」に対しての表紙の描き方がとっても可愛らしい&食べたく成るもので、読んでてお腹が空きました(笑)
追記・シリーズ通して読みました
最終的に全話読ませていただきました。現在第2シーズンということで、その後の二人が描かれているのですが……いや本当になんというか心温まるというか「少女漫画」のような空気と同時に地に足ついたかんじとの同居でお腹が空く、人と人のコミュニケーションってあったかいな、と思えるばかりです。
第2シーズンも非常に面白いので是非お気軽に……みんな手にとってもらいたい……です。
また、最近ではコミカライズもされました。こちらの漫画もすごい原作の雰囲気にあっていて、一気にあったまる気持ちになります。是非あわせてどうぞ!!!!
アニメ化でもドラマ化でもいいからやってくれ……角川さん頼む……何ならレシピブックとか出して……!!!!!!!!!(笑)