「黒子のバスケ」の原作が終了してからもう1年は余裕でたっているわけですが、未だになんとなく黒子のバスケという作品は今もジャンプで連載しているような錯覚に陥ります。とんだタイムトラベラーです。
ちなみに私のジャンプ全盛期は90年代後半~00年前半ぐらいです。
気持ち悪い勢いで読んでいた懐かしい思い出。
クラスの男子たちに「xxさんジャンプ買ってきてる?」って学生時代に言われて「あるよ~」と回し読みする月曜日の話題。
思い出のなかでのジャンプというと少年たちが試行錯誤して物語を編み出し、そしてDEATH NOTEにおけるこの後どうなるの…ってワクワク感が個人的には特に強かった思い出です。今もジャンプで躍動している少年たちはきっと、今の世代の子たちの心を揺らしてくれているのでしょう。そうで居てほしいな。そして私も久しぶりにジャンプ読みたくなってきたぞ。
ってことで、年を重ねてもありったけの夢をかき集め*1ていくことも、悲しみをやさしさに自分らしさを力に*2することも相変わらず求めたり頑張ったりするのが大好きな人間としては、ジャンプの三原則「努力」「友情」「勝利」を大切に、ワクワクドキドキさせてもらいたいなと思います。銀魂の寄り抜けの予告の「これはひどい」感はそれはそれで好きです。小栗旬とグラブル新八と千年に一度の神楽と割りとこれはひどいを地でいっているかんじ、うん、なんだろう、「ネタだから」を振り切っているかんじ、嫌いじゃないです。むしろ好きです。
でも実写版だと真選組の土方沖田のクオリティに震えている有様です。さすがの吉沢亮。半端ねえ。柳楽優弥マジ2次元。
盛大なるコスプレ大会と本人たちが言うのならそれに乗っかってどうなるのか楽しく見たいところです。
話が逸れているので戻しますが、そんな「実写化」があれやこれやと言われている中で、黒子のバスケが映画になっているわけです。
感想も含めて思い出を振り返ってみようと思います。
黒子のバスケとの思い出を振り返ってみる
私黒子のバスケ途中までしか記憶に無いっていうか多分限りなく透明に近いブルーのごとく「あっうっすら記憶……」って言われるレベルなのですが、まぁでも知識としてどういう関係でどういう物語で、どうやって話を積み上げていっているのかということは知っています。連載中全部を追いかけてきたわけではなく単行本で満喫でがーーっと読んだかんじ。
なのでアニメも某しろくまがカフェで某ヒョウ柄が似合う某お兄さん*3が「僕はこれからCan Doしてきます」ってビデオメッセージで言い放ってたこととか印象的。
此方がその噂のCan Do.
飯塚昌明氏の楽曲については本当ネオロマンス時代大変お世話になりまくっているのでやっぱ好きだわ~ってなるお方の1人なんですが、Can Doの爽やかさいいですよね。谷山さんにとってもあっているし、見れば見るほど谷山さん若返ってきているな~と昔の04年ネオロマンスライブSummerのパンフレットを見ながら死にそうになる今日このごろ。時代すぎる。えっCan Doって2012年…嘘だろ…。
アニメで爆発的に人気が出て、黒子のバスケ事件だったっけかな、なんか色々ありましたよね。放課後の魔術師……じゃなくて、何かすごい中二病ネームだったのは覚えています。調べてみたら「喪服の死神」だった。
警視庁では「広域にわたる少年漫画関連箇所を対象とした威力業務妨害事件」という名前だったということが明記されていますが、通称は「黒子のバスケ脅迫事件」だそうです。
具体的にどんなニュースだったかは調べれば即出てきますけれど、取り敢えず簡易的にまとめられているWikipediaのリンクから。
知らない人は知らないだろうしゲームアニメといった2次元に関心がない人にとってみれば「へえ」ぐらいなんだと思いますが、当時2次元界隈ではえっっっっっらい騒動になりました。普通の夕方から夜のニュースにもかけられましたしね。当時ジャンルにいなかった自分からすると「黒バスはなんかいつも学級会している上に今回こんなことにまでなってて大変だなあ」でした。学級会ずっとしている印象でした。
そんな思い出から数年後。ジャンルそのものも落ち着いて連載も無事に終了して、しかも終わり方が大変綺麗に終わっているなかで、エクストラゲームと称した続編…といっていいのかな、を描き、今回二作目の映画(1回目は総集編みたいなもん)を満を持して持ってきたわけです。
友人曰く「エクストラゲームは映画化やっぱり視野にいれて作ったんだと思う」ということでした。
ということで、わかりやすく私の見る前の知識としては
- 一応黒子のバスケはわかる(一応読んだ)
- でも突出してファンというわけではない、おぼろげ知識いっぱい
- エクストラゲームは読んでいない
- キャラも言えるやつと言えないやつ多い
こんな感じでした。
黒子のバスケ映画について
あらすじ
誠凛高校バスケ部に入部した黒子テツヤと火神大我。抜群のセンスを持つ火神に対し、黒子は誰もが驚くほど影が薄い存在だった。
だが、黒子は強豪・帝光中学で「キセキの世代」と呼ばれた5人の天才と共に戦う“幻の6人目(シックスマン)”として活躍していた。
“影”と“光”の名コンビとなった二人が主戦力となり、誠凛バスケ部はウインターカップ出場を果たす。そして「キセキの世代」との激戦の末、ついに全国制覇を成し遂げた。
黒子たちは2年生となり、夏が終わるころ、アメリカから注目のストリートバスケットボールチーム「Jabberwock(ジャバウォック)」が来日した。しかし親善試合で彼らが見せたのは、圧倒的な実力で日本チームをねじ伏せ、日本のバスケを嘲笑う姿だった。
その態度に激怒したリコの父・景虎は黒子と火神、そして「キセキの世代」を集め、Jabberwockにリベンジマッチを宣言する! 今回限りの最強ドリームチーム「VORPAL SWORDS(ヴォーパル・ソーズ)」、ここに集結!!
(公式ホームページより引用)
(あれ夏だったんだ……)と解説を見て気づくレベルでちょっと申し訳ない。そういや冒頭暑そうだった。
こちらが予告編。よう動くよ!
感想
大変よい作品だった、と思います。原作の続編漫画を読んでいないという部分も強いと思いますが、私は知識0の段階から話を見られたという幸運で見たので「えっそうくるの」という驚きがいっぱいありました。
もともと原作がある作品というのは「原作ファン」のために作られている部分も往々にしてあると思うのですが、一方で彼らの原作にある関係+補足がたくさん随所にあったと思います。
”キセキ”という少年たちの成長について
原作では戦った中で明らかに描写が少なかった赤司とか、紫原の考え方とか精神的な成長が試合の描写の中でしっかりと描かれており印象深いなと思ったところが各所にありました。ただただこいつらがキセキで超強いんだぜ!っていうものではなく試合をヘて、これまでを経て経験、体験、思う所、身体能力の伸びみたいなものを感じさせるものが多面的に有りました。
よくオタクの、それこそ彼らの関係を歪曲して楽しんでいる人(いわゆる腐女子)な友人たちと話をするのですが、作品における媚びっていうのは一番「違うそうじゃない」になるんだろうなと思っています。それはそれでファンサービスとしてなるのかもしれませんが、作品においての距離感、関係性での「そ れ だ ー !」があったのは大きいです。
緑間と高尾が編み出したこと。けれど高尾はあくまでも実力でいったらキセキには劣るという事実、その上で、「あの時から外さないと信じている」と緑間がはいうわけですが、それはまた「お前にだって言える」というのを赤司に対して考えている描写がありました。
高尾もまたサブの控えとして見ながら「複雑」というところもあって、実に人間臭いです。そりゃあ自分の相棒といえる相手が自分と一緒に作り出したものを他の人間と成功させてたら嬉しい反面自分が悔しいっていうのがあるでしょう。お前の活かすのは俺のパスなのに、ってやつですね。そういうのよくスポーツの世界では聞くし、見るし、わかるからこそ色々考えてしまいます。黒子、青峰、火神にも言えることですけれど、そういう関係を編み出しているのも興味深い。
例えば黄瀬が笠松先輩に託される所。そしてあの黄瀬が必死になるところもしかりで。
例えば紫原が学内での距離感を踏まえた上で、自分よりも大きな相手にぶつかるということ、どこか一瞬気づかない中で力を抜いていた部分がなくなるところ。
例えば青峰と黄瀬の関係に桃井が泣く所。あそこ本当青峰さんと黄瀬くんは桃井さんに今までさーせんしたってしとこうなって思ってたから良かった。ありゃ諏訪部さんも「ぐっときた」ってコメントするわ。わかるわかる。
例えば赤司もまた成長過程にあるところ、あっただの二重人格だと思っていたけれどそこに意味があるんだと思わせたところ。2つが融合することによってさらなる進化をしていくところも興味深く良かったです。
誰かじゃなくて自分たちが、まだ上へいける、こいつらに負けたくない。自分にも負けたくない。そういうのがにじみ出ているというのはとても、闘争心むき出しのギラギラ感というのは、本当に良いなと思います。
ジャバウォックについて
ストバス=チャラいという印象が今もなおありますが、まぁなんていうかいい具合に必要悪だったと思います。
っていうかナッシュさんグリリバかい(知識なしで飛び込んだから台詞第一声でびっくりした)
ちなみにライバル?敵?のナッシュさんはよい具合にゲスだなーと思ったけどひたすら小馬鹿にしつつ実力あるゆえに見下仕切ってて、彼には彼の人生がありそれは相容れないもの、それがどうした!!!っていうのはとてもよかった。
— あまなつ (@amanatsu0312) 2017年3月28日
幻想水滸伝2におけるルカ様っぽさというか、絶対に勝てない絶望感があったりだとか、まぁ勿論ルカ様にも背景があって色々しんどいことを積み重ねてひん曲がってるどころかねじ伏せている部分があるんですが。
ナッシュやジャバウォックにも多分きっと背景があるんだと思います。
ただ、それを描かないということへの重要性、必要性を私は感じました。あくまでも悪役は潔い悪役でいる。無いわけじゃないのかもしれない。少なからずナッシュに関しては「これしきのこと」「今までのこと」をフラッシュバックするシーンが数秒に渡ってありました。
が。
そんなこたぁ自分を正当化するだけのものであって、キセキが「あいつも大変だったんだな」と同情するわけでもなく、完膚なきまでにお互いに叩き潰す!っていう感情をむき出しにしてスポーツをする、というのはとても良いと思うのです。それはそれっていうか、結局試合を経て結果を出したものが正義というのはあると思うし、プロフェッショナルを目指すという意味では、目の前に突きつけられる現実なのだと思います。その上で、僕たちは負けない、というのが少年漫画ゆえの美しさ、かっこよさなのだと思います。
カリスマ的な悪。ナッシュはそれがあるような、イイヨイイヨ良いゲスだよ!!って思う人でした。まぁ近寄りたくないタイプですけどね!!(笑)
”光の中に完結する物語”
遊戯王の最終回タイトルじゃねーか!!!とツッコミ入れられそうですね。アークファイブ最終回についてはまぁ後日改めてまた書きます。なんだうんお疲れ様でした新シリーズ楽しみです。そういえばあれも小野賢章くんだった。色々感慨深い。
「黒子のバスケ」というタイトルにある通りこの作品はW主人公であり、けれども主に立つのは「黒子テツヤ」という少年です。
けれど彼は「影」として「光」にある火神君とのコンビです。火神君のアメリカ留学の件に関しては原作にない部分だったらしく映画で最初に公開された時見に行っていた友人曰く「もうあそこから息を呑む閲覧者と鼻をすする音待ったなし」でした。正直知らなかった私でも「えっまじで」って驚いたしホロリと来る部分があった。原作でなぞるだけじゃなくて補完すること、映画いくことの驚きみたいなものがありました。
「原作読めばいいよね」じゃなくて、「映画いって知る発見」みたいなのがあって、ただなぞるだけじゃないものって良いなあとしみじみと。
で、まぁ「光の中に完結する物語」という銘打ちをしたのは、火神君は光なわけです。彼らは表裏一体で、火神君はオスカルなわけですよ。黒子はアンドレ。ええ、ベルサイユのばらです。
お互いがお互いを引き立てる。光は強ければ強いほど影もまた大きくなり、彼らは相互補完の中に関係性が作られていきます。
作中で、「ぼくは君の影だ」という台詞が出てきます。作品ファンにとっては思い入れが強い台詞だと思います。そして同時に、「君の影だった」になる流れを見るわけです。
今作の映画に関して言えば「高校生」と言う限られた部活バスケから一歩踏み出す人間たちの描写でも有るわけです。いつかはバスケをやめてしまう、ボールを置く日が来る。受験、就活、いろんな事が待っていて、キラキラ輝いている、瞬間的な「今」を生き抜いている彼らを見るからこその美しさがあるのかもしれない(だからこそ不変的に甲子園とか、高校サッカーとか、そういうものに突出したファンがいるのだとも思います)(プロに興味ないけれど高校野球は好き!って人、結構いますしね)。
その上で「バスケを続けていればまた会える」という言葉を口にしているということは彼らはバスケを続けていく意思を固めているということです。NBAとのコラボをしているというのもあるかもしれませんが、そこで「未来」を夢見ることが出来て、終わりはまだ見えないという明るさがあるのだと思います。
どうやって見てもいい。どう捉えてもいい。けれど、彼らは「バスケットボール」というものと寄り添って行きていくのだと思いました。それが就職しても続けていく実業団かもしれないし、プロリーグかもしれないし、趣味かもしれないけれど、どんな形でも明確にいえるのは「バスケを続ける」ということであるのかなと思いました。
黒子の選択はどうかはわかりませんが、それでも黒子は火神の影であり、影「だった」として、ここからまた「黒子のバスケ」としての新たなステージに立ったんだなと思いました。
火神が違うステージに進んでステップを踏む、それはまた、黒子のステージが変化することも示されていて、黒子テツヤがどういうバスケットボーラーとしての人生を歩むのかというのも楽しみだなと思いました。
と、同時に思い出したのは表題の遊戯王の武藤遊戯のモノローグ。
これは特別なファラオの物語ではない
誰にでも物語はある
それは光の中に完結する物語だ
そして僕の物語は始まったばかりなんだ
この流れからOVERLAPを聞くともれなく私は大号泣出来る人間なのですが(Kimeruさんありがとうございました)そういうことなんだよなあああ、そうなんだよおおってなる何でも結びつけたくなるオタク脳です。
ここから始まる、また進み出す彼らの物語に祝福を。良い意味での「トゥービーコンティニュー」なのだろうと思いました。
黒子のバスケみてきた。近年みたアニメ映画の中で多分一番よいアニメ映画だったと思った pic.twitter.com/j1yz3yMXNZ
— あまなつ (@amanatsu0312) 2017年3月28日
いやあ本当に骨格がしっかりしていて、ストーリーとして良い少年漫画で、成長過程もちゃんと描かれていて、ふわっとした「大ファン!」という人間じゃなくても楽しめた映画だったと思います。ぜんぜん行く予定が無い中で友達の「缶バッジがほしいんだよ」という言葉にじゃあ手伝うわ…といってみて正解でした。見て良かった。
個人的にそういえばいいなあと思ったのはEDのカットイン。かっこいい。アメコミっぽいかんじのカット割りすごい好きなのでワクワクしました。
後個人的に好きなBGMは圧倒的赤司様のテーマ。何あの勝てない感じ。あの絶対観。とても好きです。
試合シーンで好きなのは青峰が二人…!ってなる黄瀬のところも演出が好きです。良いですね。ワクワクしますね。