年末年始となると、普段よりもさらに「和菓子」というものを食べたくなります。久方ぶりに実家に帰省した所「ちょっと和菓子買ってきたところだから」と御萩をもらって緑茶と一緒に楽しませてもらったり――としていたのですが……何でしょうね、和菓子って心落ち着かせる魅力がありますよね。
今回は東京・日本橋にある「鶴屋吉信」さんにお伺いしてきました。鶴屋吉信さんというと任天堂が出しているゲーム「星のカービィ」と和菓子コラボをしていることでおなじみの京都の和菓子屋さん*1。カービィとコラボしている最中もいつか食べてみたいと思い続けて結構経っているのですが、日本橋にもお店があることを存じ上げなかったのでとてもびっくりしました。勢いで買おうかすごく悩みましたが、また欲しいタイミングで購入に走りたい所。
お店では販売エリアとは別に「あんみつ」「ぜんざい」などを取り扱った甘味処と、目の前で職人による和菓子製造を見て、食して楽しむコーナーの3つがありました。和菓子を作っている姿というと、私は結構、学祭というものが好きなので東京都内の調理師学校や製菓学校の文化祭とかに行くんですが、そういうところでパフォーマンスをされているイメージがあっただけに「プロフェショナルの人の和菓子づくりを見られるのいいなぁ」ということで、友人ともども楽しんできた次第です。
鶴屋吉信さんについて
京都にお店を構える鶴屋吉信さん。お店自体は様々な百貨店でも展開しており、多分一度は目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
ロングセラーアイテムから新商品の開発、そしてコラボ商品と多岐にわたる活躍で、オンラインストアのページも非常に充実。”和菓子”の鉄板である羊羹といったものから「ぜんざい」や「あんみつ」といったものまで網羅しているお店です。
実演披露をされているのは本店と東京日本橋の2店舗のみ。本店にお伺いしたらきっとまた情緒の有る雰囲気なのだろうな――と思いつつ、百貨店が立ち並び温故知新の空気をまとった「日本橋」という場所での実演をされるというのも何だか納得してしまいます。コレド室町をはじめ、新しいものが次々と増えてきていますが、その上で「昔ながらの職人さん」が作り上げる場所でも有ると思いますので雰囲気がマッチしているなぁとつくづく感じました。
和菓子づくりを目の前で見てきました
和菓子作りを拝見できるカウンターの「菓遊茶屋」は大体6席程度。すべての席にパーテーションが設けられていて、L字型で職人さんを取り囲むような構造でした。また、和菓子職人さんが大変気軽に色んなお話をしてくれるので、何だかほっこりする雰囲気です。
選べる4つの和菓子
和菓子とお抹茶を合わせていただけるスペース、ということでしたが、なんと和菓子を選ぶことができます。丁度お正月ということもあり、新しい年を祝うお品書きも増えていました。
これはその一つ。
選べたのは「若松」「黄水仙」「寿かぶら」「ことぶき梅」の4つ。
- 若松:「若松」を表現している上生菓子。青々しい緑が綺麗ですね。
- 黄水仙:「雪中花」とも呼ばれる冬の花である水仙。水仙の開花の頃合いは1月頭友いわれているので、此方もお正月向けなのかな。黄色い水仙の花言葉は「もう一度愛してほしい」「私のもとへ帰って」だそうです。なかなかインパクトが強い。
- 寿かぶら:白と紅でそれぞれこしあんと粒あん。京野菜として有名な「聖護院かぶら」をおめでたい紅白のこなしで表現たとのこと。聖護院かぶらを……知らなくてすいません…!
- ことぶき梅:此方もお正月ならではのもの。華やかな梅で白あんがポイントになっているそうです。
ということで、友人とそれぞれ「黄水仙」「寿かぶら(紅)」を選び、いただいてきました。他にもお客さんがいらっしゃり、合計6個を同じタイミングで作らなければならない状況で、視線も集中する分プレッシャーもあったと思うのですが、なんのその。非常にスマートに解説をされた後に作業に取り掛かっていました。和菓子を作る時の器具について残念ながら知識がないので、濾すようにスムーズに出てくる上生菓子の素材たちにおお~と感嘆の声をあげてました。若葉マークすらつかない初心者で大変お恥ずかしい…(笑)
黄水仙
見た目が想像以上につやつや。どんなふうに作っているのかを覗いていたら、花びらと花本体を丸め、組み合わせ、その上で合わせていく……という形だったのですが、「ここに、3種類の生地があります。組み合わせると――こう」みたいな形でてきぱきされているのを見て「なるほどね(全然わからない)」となりました。
春に咲く濃い黄色の水仙を粒餡を焼皮で包み表現しました。
と、過去のTwitterでもオフィシャルで呟いていらっしゃったので作り方はそう変わっていないはず。焼皮はさくっとキレて、あんことの相性がとっても良い。
お抹茶に合わないわけが無かったです。美味しかったし、味わって食べるべきだなぁとほっこり、しみじみとしていました。
寿かぶら
こちらは寿かぶら。寿とつくように晴れやかな紅白カラーで好きな方が選べます。
前述したインスタグラムでも下記のようにご紹介されていました。
お正月のおせち料理の定番食材でもある、かぶ。
蕪と株をかけて、株が上がる=商売繁盛の意味がある、縁起のよいものなのだとか。
また、根菜は根が強く張るため「子孫繁栄」「根強い」という意味もこめられているのだそうです。
(上記インスタグラムより引用)
株が上がるからの商売繁盛、日本橋というオフィスも多く見られるエリアでの販売なら余計に正月明け企業が買うだろうな~と頷いていました。
食べてみると、ほろっとした甘さと、それでいて「甘すぎない」と感じる――和菓子あるあるなんですが、とても甘いはずなのに「何か甘すぎないぞ!?」と思える状態になるという……鶴屋吉信さんは「甘さ控えめ」ということを謳っているのですが先行するイメージがあったものだから凄いびっくりしました。
「大きな蕪感が否めない」と友人に言われましたが、食べ進めていると視覚的に楽しんでいるものと口に含んでいるものでバグが生じてきます。特に茎部分は「茎を食べている――のに、甘い!?」みたいな状態になりました(笑)それはそれで非常に楽しいです。お抹茶とほっとする一時、そして今年一年の商売繁盛や良い事づくしがあることを願ってまったりゆったりとした時間を頂戴しました。
また、お抹茶と和菓子を堪能した後に温かいお茶も出していただけて、心地よく”胃袋に蓋がされる”状態になりました。甘いものからしょっぱいものへ、そしてまた甘いものへという無限ループになることもなく、それでいて「まだちょっと食べれちゃうかも」という食べ過ぎを抑えてくれるという優しさ。ごちそうさまでした。
店舗概要
住所:〒103-0022 東京都中央区日本橋室町 一丁目5番5号 COREDO3 室町1階
TEL:03-3243-0551
FAX: 03-3243-0552
定休日:元日
営業時間:ショップ10:00~21:00、菓遊茶屋/茶房10:30~20:00(L.O. 19:30)