柑橘パッショナート

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「ラストレシピ-麒麟の舌を持つ男-」を見てきた

ブレードランナーをみた上で予告編がちょうど流れており、「そういえば原作途中まで読んだ気がするぞ」と思いたち、次の日ご飯が大好きな友人を誘って行ってきました。

ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~

 

嵐・二宮和也主演の「ラストレシピ-麒麟の舌を持つ男-」。

前情報は映画雑誌でパラっと読んだぐらいでした。

元々ご飯の映画というと「深夜食堂」とか「かもめ食堂」とか、後は「大統領の料理人」「武士の献立」「南極料理人」「レミーのおいしいレストラン」「シェフ 三ツ星フードトラックはじめました」あたりが好きなんですが。

特に最後の「シェフ」は取り敢えずもうなんか皆見て…と上映されたとき言いまくってグリルドチーズサンドイッチ食べたいとジタバタしていたんですけど。

まさか自分の推しが今年に入って映画を見たらしく自分と同じことを言い出すとは思わなかった。*1

いいよね・・・シェフ!いいよね…。


映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』 予告編 2015年2月28日(土)公開

超面白いよ!!!円盤買っちゃうくらいに好き!!

 

ということでまぁ要するに ごはんって いいよね 。

という気持ちでのんびり見てきた感想をつらつらと書き連ねたいと思います。ご飯ドラマは「孤独のグルメ」や「将棋めし」ではやってきてるから良いんだけどごはん映画も、ごはんの小説もいいよって話。

麒麟の舌を持つ男”とは

 原作は田中経一。

この本を手に取ったときに紹介されていたのは料理の鉄人」プロデューサーが描く小説。でした。

麒麟の舌を持つ男

麒麟の舌を持つ男

 

 料理の鉄人と聞いたら黙っているわけにはいかないっていうか手に取らないわけがなかった。 

 

料理の鉄人について

料理の鉄人だよ!?!!ロンドン世代ホイホイすぎるだろ!!ってことで、まぁあの、正直TVチャンピオンと並んで自分がごはんというものを潜在的に「すき!」ってなったきっかけの番組です。

テーマ曲に映画「バックドラフト」のテーマを使用しているわけですが、私にとってはバックドラフトっていうよりも「料理の鉄人」のテーマのほうが印象強かったりする。

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鹿賀丈史さんの「私の記憶が確かならば~」っていうフレーズから始まるんですけど!!!超好きなんですよ!!

CM提供に関しても「私の記憶が確かならば、この番組は日産自動車の提供でお送りします」っていってたり、すごいこってるな~って今でこそ振り返って思います。

 

アイアンシェフ」として玉木宏さんが後々やったわけですが、個人的なイメージはやっぱり鹿賀丈史さんですね。あの芝居がかった、オーバーすぎるぐらいの演じ方が好き。そして服部幸應さん、岸朝子さんと錚々たるメンバーが審査員に並ばれていました。岸朝子さんに関しては「美味しゅうございます」というあの一言が聞きたかったんだよなあとホクホクと。アイアンシェフになってからはV6・長野博さんもゲストで出ていたりもしましたね。

あのコメント力、さすがジャニーズ事務所きっての食いしん坊・長野博だ!!

 

というか、この田中経一さん後々調べたら城島茂リーダーがやってた「愛のエプロン」も関わっていたのですね。知らなかった。

料理の鉄人」と言われると石鍋さんもなんですけど私にとってはフレンチの坂井シェフ、中華の陳建一シェフ、和食の道場六三郎シェフの3大シェフのイメージ。終わってから「自分だったらこういうのをする」と食材に対してコメントしているのも印象的でした。

ここまで書いていてドン引きされそうですけど、とにかく「料理の鉄人」って番組が私はとっても好きだった、という話です。なお原作は読みきってないなんて言えない。

話の骨バッキバキに折り過ぎなので話戻しますね。

 

ラストレシピについて

www.last-recipe.jp

あらすじ

戦争で失われた、伝説の[料理全席]―。

激動の1930年代、満州に渡った天皇の料理番・山形直太朗が考案した究極の美味112品によるフルコース[大日本帝国食菜全席]。

歴史の闇に消えたレシピの謎を追い、メニューの完全再現に挑むのは、絶対味覚=“麒麟の舌”を持つ料理人・佐々木充。

彼はこれまで、愛を知らずに生きてきた。もう一人の“麒麟の舌”を持つ男の生涯を知るまでは…。

かつて世界を料理で変えようとした料理人が、自らの命をかけてレシピに隠した秘密とは?伝説のメニュー、最後の一皿=(ラストレシピ)が再現されるとき、70年の時を繋ぐ【壮大な愛】が明らかになる。

(TOHOシネマズ公式*2より引用)

 これだけ見ると「何やねんこれ」って印象がうけないこともない(笑)

「一度食べたものを忘れない」「何と何と何で、どうやって出来ているのか」=”麒麟の舌”(絶対味覚)を持つ佐々木は、「最後の料理」として依頼人が最後に食べたいものを再現するということを生業にしている男です。

「料理はスキル(技術)」として見ている人が、同じように「依頼」を受けてフルコースに挑戦する中でいろいろなことを掘り下げ秘密を知っていく……というようなストーリーです。

 

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キャスト・スタッフ

監督 滝田洋二郎
出演 二宮和也綾野剛笈田ヨシ西島秀俊、宮﨑あおい、西畑大吾竹野内豊

 

滝田洋二郎というと、壬生義士伝(2003年)、バッテリー(2007年)、おくりびと(2008年)、天地明察(2012)年あたりが有名でしょうか。壬生義士伝中井貴一による「おもさげながんす」がめっちゃ好きなんですよね。渡辺謙より先に中井貴一の映画を見ているのと、加えて堺雅人沖田総司が印象的だった記憶があります。

天地明察岡田准一+宮﨑あおいタッグでしたね。こちらは原作既読状態で行ったので「前妻いるからこその台詞が光るのに何でさ……」とギリギリした思い出があります(笑)エンタメ映画感がましたなあとか。そういえばこれにも中井貴一出ていましたね。私冲方丁の「光圀伝」を中井貴一にやってほしくてじんわり待ってるんですがね、どうなんでしょう。

 

二宮くんの映画作品というと「母と暮せば」が有名所ですが、私は「硫黄島からの手紙」が印象的です。もうあれそんな昔になるの……中村獅童がはまり役だったなと思います。父親たちの星条旗とセットでみて「あーーしんどいんじゃーー」と五体投地してゴロンゴロンしたのを覚えている。父親たちの星条旗でケーキの星条旗掲げるところに真っ赤なベリーソースかけるシーン本当トラウマである。

二宮くんのご両親が「料理家」というのを知り、「拝啓、父上様」というドラマを思い出しました。何気にあのドラマも料亭がテーマの物語でしたね。見てたのを思い出します。黒木メイサの務めているケーキ屋さんどこだよ……と今あらためて見てるんですけど、神楽坂にあるケーキ屋さんって言われて思い出すのル・ポミエとかなんですが、思い返せばあれ「前略、おふくろ様」のオマージュしまくっててりんご落とすシーンとかもあるからこう…こう…やっぱル・ポミエなのかなあとか。もうそんなことを思い出すばかりです。

 

ということでこのタッグで挑む今作だったわけですが。

 

感想

長い。体感時間がすごく長く感じました。

ストーリー展開としては満州と現代と行き来している感じでいわゆる「永遠の0」と同じような撮り方だったと思います。永遠の0よりも現代のパートが多いイメージかな。

なので実質主役は「二宮和也」だけではなく満州パートを担った「西島秀俊」も主演であって間違いはないかなと思いました。どっちかというと全体のパートを開いていると西島さんのほうが印象にストーリー上残るかんじがします。

 

原作を読んでいたといっても途中脱落組なのでストーリー把握してるようでしてない状態だったんですがある意味良かったなと思います。原作知らなかったからこそ展開を楽しめたかな、という印象。

途中で「まぁ絶対この子そうだろうな」と思ったのがその通りに動いたので(笑)でしょうね!!ってかんじ。金田一でいうと犯人がわかった状態で見てしまうと考える要素が半減されてしまうので、見るなら原作見なくてもいいんじゃないかなと思いました。勿論見た上での読んだことで「省いた内容」を知ることができるので良いと思いますが。

 

ただ、話が長い割に「ここそんなサクッとでいいのかなあ」と思う部分もありました。最後の佐々木に対して壮大な計画をうごめいたときに「えーーーその場で勢いでトントンで決まっていくのーー!?」っていう驚きというか。もう少し、なんていうか、なんか、なかったのかなあと。登場人物が多いから仕方ないのかもしれないのですが、もう少し幼馴染の料理人(綾野剛)に対してなんかなかったのかなと。

 

「かな」が誰やねん!!!って思いました。原作に出番あるとは思うんだけど「かなが園長ここ継いでるんだ」って言われても「そもそもかなはWho are you」ってなっちゃったのが残念かなあ。

 

ただ、綾野剛と二宮くんが中華料理店でグダグダ話をしているのはとても普通で、「ありきたり」な光景として良いなと思いました。借金こさえて大変な目にあってるけれど、ちゃんと義理は通すところとか「血も涙もない」「愛情もない」といいつつ、幼馴染に対しての親愛はあるじゃん、という部分がよかったかな。

 

満州パートに於いては料理に対して必死こいて作ろうとしている部分が印象的で、普通に鮎の春巻き美味しそうだしあれもこれも食べたいぞ……ってなりました。宮﨑あおいさんのほのぼのとした喋り方は「この人本当に昭和の女やらせるの上手いな」って思いました。そういう役柄多い印象です。

そういえば「あさが来た」ぶりに西畑大吾くんとの共演ですね。西島秀俊さんと宮﨑あおいさんというと「純情きらり」じゃん!とかNHK朝の連続テレビ小説好きとしては色々思ったり(笑)懐かしい。

満州側の人たちのキラキラからの絶望に叩き落されるまでの過程がいいなと思いました。竹野内豊の嫌な感じはあのなんていうかシン・ゴジラのような虎視眈々さも孕みながらの最後の自決パート含めて。

「助手」をになった西畑君と 兼松さんがいいなと思いました。兼松くんの喋り方からそれまで存じ上げなかった分ガチでそっちの俳優さん持ってきたのかなとか思ったんですが違った…と驚いた。パッチギ!にも出ていたりと色んな作品にでているお方なのだなあと。楊さんが「この土地は元々は私達の」というところのパートで「理想論」という風に語る部分が印象的でした。

 また、西畑大吾くんの演技力に正直「すげえ」と思いました。勿論パート的にとてもわかり易いというのもあるのですが、ソレ以上に、爛々として「料理が好き」というだけの男の子が監視役となり、色んなことを見ている部分を押し殺しているところが印象的なのと直さんとの最後の話のシーンの慟哭。非常にいい役を当ててもらったしそれに見合ったお芝居をされていると思いました。

そういえば西畑くんは「ごちそうさん」でも料理人を志した男の子でしたね。カツオくん超好きな役柄でした。というか、あれで見慣れてしまっていて少年倶楽部で見て「ああそうかこの子アイドルなんだっけ」という気持ちと「髪の毛が……現代っ子だ……」となるのが自分の中でかちっとはまらず不思議な気持ちになっていたのですが、アイドルとしても非常にキラキラしているだけにすごいなあと思います。

お芝居もさることながらアイドルも目指していく、すごい方だと思います。お笑いスター誕生もうっかり見に行ったんですが、あれもあれでちゃんと面白い話になっていたのが印象的。映画好きの友だちに「大丈夫だから!!!見ても大丈夫だから!!」とビビってたのを窘められて恐る恐るいったものん、見に行って良かったです(笑)

 

料理人としての考え方の話

「料理はスキル」という佐々木の考えについてですが、私は間違っているとは思いません。というか、料理なんて千差万別で、だからお店がいっぱい立ち並ぶんですよね。

「職人」になりたくて料理人を選んだのか。

「料理」がしたくて、なったのか。

「自営業」をしたくてこの道を選んだのか。

いろんなベクトルがあると思います。

料理人だからといって心が優しいわけないと思うし、厨房では怒号が飛び交っているなんていうのはよく聞く話だし。「腕がたつからといっていいオーナーであるか」というのはまた別なんですよね。佐々木が店を潰してしまったのもそれと同じだと思います。

 

知り合いの料理人に「結局料理人なんてねえ、思い出の味に勝てないんですよ(笑)」と言われたことがあります。「誰かのために、を思って作った料理ってその段階で補正がかかるから」と言っていまして。それは「誰か」が「誰か」のために送ったもの、また、受け取り側も受け取った上での流れだからこそというか。

そういう「誰かのために」という意味では今目下やっている「さくらの親子丼」*3とか、後は先日NHKで再放送していた「NHKスペシャル ばっちゃん~子どもたちが立ち直る居場所~」*4とかは彼らなりの、誰かに何かを伝えたいの結果の証なんだろうと思っています。

 

まぁ料理って「摂取」するだけならそれだけでもよくて、「美味しい」と感じるのって味覚だけなのかと言われたらそうでもなくて、雰囲気とか、一緒に食べる人とか、いろんなものが組み合わさっての「美味しい」なんじゃないかなあと、最近常々思うわけです。

 

しかし見終わってからどうしても「ビフカツサンド」「オムライス」「鮎の春巻き」あたりが食べたくなりました。かき氷も美味しそうでしたけれど。監修でどの料理人の方が入っているんだろうと思ったんですが、エンドロールで創作料理が出るのはその辺すごく料理の鉄人感。

「料理は常に進化し続ける」と言っていた言葉のとおり、下を育てていく中で彼らは切磋琢磨し合うのだろうなと思います。道場六三郎さんたちが切り開いた道を後輩たちが追いかけて、追い越して、また新しいものを作って。そうやって「料理」って生れていくのだろうなと。

職人の人たちは斬新なアイデアと先人たちのルセットを持って色々組み込んで、アレンジを加えて、トラディショナルと最新技術を組み合わせていっているんだろうなあと頭が下がるばかりです。温故知新、ですね。

 

改めて「食べることは生きること」っていう言葉を彷彿と思い出しました。

*1:橋本良亮君がまさかのシェフを見てグリルドチーズサンドにハマっていたのは流石に「なん……お、おう…!」とびっくりした。

*2:ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~ || TOHOシネマズ

*3:東海テレビによる真矢みき主演のドラマ

*4:NHKスペシャル ばっちゃん~子どもたちが立ち直る居場所~ | NHK名作選(動画他)

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