「SF映画で何が好き?」という話になると必然的に「ブレードランナー」と応えられることが多々ある。
「攻殻機動隊が好き」と言えば「ブレードランナー見た?」と聞かれることがよくあった。
しかしながら、残念なことに私は生涯でブレードランナーを見たことがなくて、ハリソン・フォードといえばどちらかと言えばハン・ソロのイメージが強かったわけで。
STARWARSは正直バカみたいなレベルで初代三作品が好きで、吹き替えも字幕も多分真面目に「お前見過ぎだよ」というレベルで見ていた。VHSは擦り切れるまで見たし、吹き替え映画という意味では多分人生で一番違和感なく見られると思う。
アナキン・スカイウォーカーの物語がはじまる前、ルーク・スカイウォーカーが主役の3部作しかなかった頃のSTARWARSがやっぱりとっても好きなので。
「あなたのSTARWARSはどこから?」と聞かれたらルークの最初から、と応えるし、「スターウォーズ、どれから人におすすめする?」と聞かれると私は多分「低予算でもやりたいこと詰め込みまくって全体的にショボく感じるかもしれないけどワクワクを詰め込みまくったEP4!」って笑顔で答えます。ディズニーランドにいってスターツアーズにいつも行きたい!って言うぐらいには好きだし、毎回毎回絶対120%酔うくせにあのアトラクションに入ってのワクワク感が大好きなのである。スターウォーズいいよね!!
ちなみに人生でめっちゃみた映画の多分次点は「天使にラブソングを」なわけだけれど。
そんなこんなで、今年ブレードランナーは続編となる2049が公開したわけで。
「見に行こうよ」と誘ってくれたのに前作を見ないのはあれかな……ということで、見に行く6時間前にアマゾンプライムで見ました、ブレードランナー。
そのままブレードランナー2049を見たのでその感想をのんびりと。
「ブレードランナー」とは
1作めは1982年に公開。
フィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』が原作だそうです。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」は読んでいませんが概要を見ると、ベースを一緒としながら色々と組み替えて作っている印象。
エイリアンでおなじみリドリー・スコットが手がけた作品です。
2019年、酸性雨が降りしきるロサンゼルス。
強靭な肉体と高い知能を併せ持ち、外見からは人間と見分けが付かないアンドロイド=「レプリカント」が5体、人間を殺して逃亡。
「解体」処分が決定したこの5体の処刑のため、警察組織に所属するレプリカント専門の賞金稼ぎ=「ブレードランナー」であるデッカード (ハリソン・フォード) が、単独追跡を開始するが…。
(Hulu│ブレードランナーが見放題!より引用)
正直1作目を見た感想としては、「ああ、仮面ライダードライブってめちゃくちゃブレードランナーの影響受けてるんだな」っていうね。
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あの、雨の中で戦うラストのデッカードvsロイのシーンは完全にハート様vs泊さんだし、そもそもの「ロイミュード撲滅」のための仮面ライダーである特状課、加えて「開発者」に対しての殺害とか。割りと見てて「めっちゃくちゃ好きで作った結果だなこれ……」とびっくりしました。オマージュとインスパイアとの間だとは思いますが、見終わった上で「もう一回仮面ライダードライブみたいな」って思ったりね。
見てて思ったのは「デッカードは人間なのかそれともレプリカントなのか」っていう疑問があって、でも嘗て彼はブレードランナーでもあって、退職しているわけで、いわゆるPSYCHO-PASSでいう執行官という立ち位置(=毒をもって毒を制す)なら、それを許してはくれないだろうなあっていうことを鑑みて色々思ってたわけです。Wikipediaあとで見たら皆同じことツッコミ入れててあーなるほどな、って納得しました。
1作めの感想としてはロイが凄い哲学的だなと。「ロイミュード」の「ロイ」は絶対この反逆レプリカントリーダーのロイから来ているのだろうなって思いました。
しかしもうとにかくこのロイという男が凄い。「人に作られた存在」でありながらそれでもやっぱり「死ぬことへの恐怖」「仲間を失っていく悲しみ」みたいなのが溢れた人で、静かに暮らしたいのにそれを許してくれない人間という立ち位置が苦しいだろうなっていう。
「想像もつかないだろうな」と吐き捨てて、壮絶なものを見てきて、自分が愛した存在であるプリスはセクサロイドだし。もうなんか色々とあーーメンタルがゴリゴリとすり鉢で削られていくよぉ!!って感じになりました。
ロイ・バッティという存在を演じたルトガー・ハウアーがすごすぎて正直ハリソン・フォードより彼のほうが印象的だったなんて言えない
後「自分は本当に人間なのか」とグラグラ自分自身が知らないからこそ悩んでいるレイチェル(ショーン・ヤング)とかもアイデンティティとして興味深いなと。時代柄仕方ないんだけど肩パッドすごいな!!(笑)
82年にこの作品を手掛けたことを思うと、スターウォーズもそうなんだけど低予算でよくここまでやったなあ、とか色々すごいと思う箇所がいっぱいあって。
それこそブレードランナーを見た後に、今回一緒に映画見に行く人が「ゴーストインザシェル」をまだ見ていなかったということでアマゾンプライムでこっちも見たんですが(私は既に見ていた)改めて見てみると「撮り方が完全に一緒じゃないか」っていうシーンがいくつも散りばめられていて、見ていて楽しかったです。
正直ゴースト・イン・ザ・シェルは普段字幕派だけど吹き替えで見てほしい。それにしたってスカーレット・ヨハンソンは大変佇まいが美しかった。トグサくんのちょいちょい出る普通感が好きです。後圧倒的バトーの安心感。
ブレードランナー2049
監督は「メッセージ」などを手掛けたドゥニ・ビルヌーブ氏。リドリー・スコットは「製作総指揮」という立ち位置らしいです。
あらすじ
2049年、地球は更に荒廃が進んでいたが、ウォレス社が台頭し、食の飢饉問題を解決。その後、倒産したタイレル社をウォレス社が買収、その製造権を得た同社がレプリカントをより改良を重ねていた。
反逆するレプリカントを狩る存在「ブレードランナー」。そのブレードランナーとなっている最新型レプリカント・Kは、旧式レプリカントを「解任(殺害)」する職務を全うしている。その一方で家ではウォレス社製のホログラフィーである恋人ジョイと過ごす日々を送っていた。
しかし捜査中、反逆レプリカントのサッパー・モートンを「解任」した際、木の根元に箱が埋まっているのを見つける。中には遺骨があり、分析の結果帝王切開の合併症で死亡した女性レプリカントのものであることが判明。
レプリカントの妊娠は不可能であるとされており、Kの上司となるジョシ警部補はその事実を公表されて起きるであろう社会的混乱を考え、Kに事件の証拠をすべて破壊し、生まれた子供を始末するように命令する。
ざっくり感想
見ながら体感時間がめっちゃくちゃ長いなって思いました。
時間を見たら162分でそりゃあ長いわけだわ……と納得。
「自分とは何か?」「自分はどこからきたのか」「本当は人間なんじゃないか」というKのぐるぐるとした考えと同じように作中でも何度も反復横跳びしています。
今作のヒロイン、ジョイについてですがホログラムだけどシンクロしてプログラミングされているけれど恋する姿はなんていうかマクロスプラスのシャロン・アップルで、初音ミクっぽいなあと思いました(笑)ジョイのモデルになっている女の人は今後出番あるんでしょうかね。
なんかこう、取り敢えずいいたいのはスターウォーズといいハリソン・フォード大変な目に会いすぎ案件……!火の中突き落とされたと思ったら今作では水攻めかあとか。
見た印象としては登場人物多すぎて「お前誰だったっけ!」ってなるのが多くて。特にレジスタンスのトップのおばさまとか。彼女たちの存在意義がちょっと薄いかなあと思いました。今作の肝になる存在ではありますが……。レジスタンスとして彼女たちがKを招き入れるためのことだったんだとは思うんですけど!でも!なんか!こう!さぁ!!と。
後今作の敵側であるラヴの言葉「最上の天使」とかKに対する執着とか色々と見えないというかわからないというか……いやレプリカントとして秘書としてなんですけれども。
全体を見て「これ1つで終わらせるつもり無い上に風呂敷広げっぱなし」という点がどうにも引っかかりました。何部作にするのか最初から銘打ってやればいいのに、それなら。とも。ウォレス社の社長の意図もよくわからないなあ、良いものを、利用できる更にクオリティの高いものをっていう開発者としての意図意向なのかなあ。
しかし前日譚の『ブレードランナー ブラックアウト2022』、『2036: ネクサス・ドーン』 、『2048: ノーウェア・トゥ・ラン』 の3つを見ていないので大停電のこととか、放射線がどうとかっていうところを知らなくて「何事!?」ってなりました。
なんでデッカードはあの状況にいて平気だったんだろうとか不思議なんですが、あのわんこはレプリカントという認識で良いのかなとかなんかこうぐるぐるしてて。
Kが「知らなかったのは自分だけ」というのが もう本当不憫で。自分を必要としてくれる存在を探していて、感情なんて不要のはずの彼らに芽生えていく心というもので。
ボカロの世界で見たことあるそれ*1
時間長いのにわからない部分が多いのとK本当どんまい…ってなったわけですが次回作の扱いとしては「所詮レプリカントに過ぎなかった《人間もどき》の感情の起伏」なのかなあとか。
すっごい元も子もない話なんですがアンドロイドの生殖ってどうなってんだろうというSFという考えも気になって。
色々とナンダッテーがいっぱいでした。
大停電他時系列を知ってたらまた見方が変わったんだろうか。
とにかく言えるのはブレードランナー2049を見る前に前作見ておいてよかったーあああっぶねえっていう。多分初めてのブレードランナーが今作だと本気で意味不明というか「???」ってなったと思うんですよね……いや見ておいて本当良かった。
ライアン・ゴズリングはララランド以来なんですが改めて良い俳優さんだなと。アクションもだけど目で語るところ好き。
好き嫌い・是非でいうと前作が好きな人ほど「えー」ってなるのかもしれないなあとか。
インパクトの問題とか、「この作品、お金かけていっぱいしていいよ」って言うのとやろうとしていることを尺の中に詰め込んでこの一作でっていうのとならやっぱ違うのかなとか、いやでも最初のブレードランナーも逃避行で終わるから「きれいに終わった」といっていいのかどうなのか、続編ありきだったのかどうなのか…とか色んな意見が飛び交うだろうな、とは見ながら思いました。
うまくまとめられないけど、色んなSFへ影響を与えた映画としてブレードランナーという映画を見て置いてよかったなと思いました。日本ネタいっぱいあったのも興味深かったしね!
*1:トラボルタP「ココロ」