散々言ってるけど私はちはやふるの漫画のファンである。本誌を追いかけて単行本を買うくらいにはファンだしアニメのボックスを買うくらいにもファンです。
そんな私がちはやふるの上の句版を見てきました。
ちはやふる公式 (@chihaya_koshiki) | Twitter
大層ネタバレ含むけれど、映画の感想をつらつら書いていきたいと思います。
ざっくり言うと「原作(アニメも含む)は好きだけど、流れのテンポがすごく良くて映画は映画として楽しめる」という作品でした。
これを機に原作読もうと言う方。
ちょっと待って!ぜひとも映画から行ってきて!!ってくらいには「別物」という感覚でいてほしいです。
ちはやふるの上の句みてくる。原作好きだけど、それはそれ、これはこれって気持ちと、違うからいいところをたくさん見つけられたらいいな。いってきます。 pic.twitter.com/1pS0nG0Udh
— (´ε`) (@amanatsu0312) 2016年3月15日
※下の句を追加しました
ちはやふる「上の句」
「青春全部かけたって新には勝てない」という太一と「かけてからいいなさい」という原田先生の名台詞名シーンが原作でありますが、印象的なシーンとして映画でも描写されています。
ストーリーとしては本筋は同じですが「小学生編」は思い出の中、あくまでも記憶の断片として上の句には書かれています。
千早(広瀬すず)について。「お姉ちゃんがモデル」ということは冒頭で説明され、また彼女も「美人」であるとされていますが圧倒的に「かるたバカ」「貪欲」「強欲」なところが強調。
太一(野村周平)はそんな千早を幼なじみとして片思いしている(&それをうっかり坪口さんによってかなちゃんにバラされる)わけです。
で、そんな二人と幼なじみの福井にいる新(真剣佑)。この3人を主体におくのが漫画。ですが、今回に関して言うなれば太一→千早がメインです。理由は「ぶっ飛んでる千早を見ている太一」としての、視聴者としての目線だからかな。
ただ、ちはやふるのよさである「部活」「青春」があると思うので、恋愛<友情としての部分がメインです。かるた部がいかにして出来たか。これが主体。
瑞沢かるた部の物語として
この作品のメインは机くんです。
太一じゃない。千早でもない。もちろん彼らだって励んでいますが、ちはやふるにおける一番の成長枠、一番漫画でも「イケメンになりやがって」となるのは机くんなわけですが、そんな彼の物語でも有ります。
ヒョロ君と千早たちは初対面の扱いになっていたのですが、その分肉まん君との過去の話がポイントになっています。肉まんくんの扱いについてはアニメのテニス部やめますの流れが一番好きなのでぜひアニメのその話を補完がてらに見てもらいたいですね。
新についていうと、かるたをやめるタイミングが原作と違います。時系列が違うからこその演出の仕方かな~と気にならない程度でした。下の句ではぜひ新の心情にも触れて欲しいところ。
太一に関してはここ最近原作にて思っていたモヤモヤ部分(お前だけがつらいと思ってんじゃねーぞ!!!とか新と太一それぞれにそれぞれの人生があるのに太一ばかり辛い辛い不憫不憫言われるのがすごく複雑。原作者が新を「傲慢」「聖人」といったことに対して「え?」となっている今日このごろです。)が少し減っていました。
太一にとって「かるたの神様が微笑まない理由」みたいなのが描かれるのですが、どうしてなのか、何故なのか。あの心境と、それを重ねるやり取りは印象深いです。
個人的にはヒョロくん・太一・肉まんくんは夫々が似ていて違う存在としてすごく関係性を表わすの面白いと思うんですよね。
太一:かるたを始めたタイミングは3人の中で一番遅い/新にコンプレックス(勝てない)/努力するけど微笑まない(過去の因果応報という諦め)/B級/部長/皆を見ているようで、実は見ていない(あくまでも見ているのは「千早」)
ヒョロくん:かるたへの慢心はあった→千早に打ち砕かれた/B級をずっと続けていた/部長。ダメな子たちをきちんと見て、支えて、いいところを伸ばす/努力をし続けている、学校を誇りにしている。「団体戦」の戦い方をしている/周りに「勝てない」人と言われる
肉まん君/かるたをやって、そして負けている/実力があるのに新にいつも阻まれて、2位であることを強調される/先生からの期待に応えられない自分が辛くて重くて離れる/「2位が一番つらい」というセリフが誰より似合う人/団体戦のために誰かを犠牲にすることを仕方ないとなれる人
まぁざっくりこんな感じですが。まぁ共通しているのは「コンプレックス」を誰かしら抱いているよって話。
新もまた、物理的に離れている千早と太一の関係が心配だったり、嫉妬したりしているわけですが…今回の映画だとあんまりそれが出てこない印象。だから肉まんくん、ヒョロくんの良さが見たい方はアニメと漫画を見てください。
映画の引きとかカメラワークとか音楽とか、すごくはっとするような部分がたくさんありました。色使いがカノ嘘と同じくとてもはえますね。Perfumeの「FLASH」がマッチしています。
見終わった直後の感想
(1)ストーリーはあくまでも高校生編。太一が千早を見つけるところからスタート。極力関わろうとしない当初の太一 (2)太一と千早と新の3人の構図については示唆されているけども「過去の幼馴染」でかるたチームを作っていた、という曖昧な形で観れる感じ#映画ちはやふる感想
— 甘夏:ネタバレアカウント (@machikadowalk) 2016年3月15日
(3)太一→千早は当初から。初恋こじらせてるのがはっきりしてる。千早の心情は漫画より少し薄め。(4)新の立ち位置の変化。例の一件含めて時間軸にズレがある。
— 甘夏:ネタバレアカウント (@machikadowalk) 2016年3月15日
(6)部活、競技かるたものとして映画は特化している。真の主役は机くんさん。(7)肉まん君の新に勝てなかった思い出含めて映画だと苦く出ている (8)須藤さんとのやりとりが印象的。ヒョロ君はモブ扱いだけど(過去に千早たちとやったことはカットされてる)いい役柄だった
— 甘夏:ネタバレアカウント (@machikadowalk) 2016年3月15日
(9)女帝との最初の壁はなく、わりと友好的。(10)映画ちはやふるは映画ちはやふるとして、漫画の原作を見てない方が100%楽しめる。いいカメラワークだなあ、音楽いいなあと思った。マッケンの新がとてもハマリ役。
— 甘夏:ネタバレアカウント (@machikadowalk) 2016年3月15日
ちはや後編には詩暢ちゃんがついに出てきますが松岡茉優ちゃんがとても個人的にハマっているとおもうのでこれから楽しみ。
京都言葉をはんなり使うところをみたいですね。
惜しいところは「ちはやふる」は古典である百人一首を取り扱うからこそ早口で何を言っているか分からなくなりがちなので、そこはしっかりケアして欲しかったかな。時々かなちゃんと千早が早口すぎて「ん?」となってしまったのが残念。
下の句編では千早がなぜこんなにかるたを好きになったのか、かるたをやる意味は何か?みたいなところを中心にやると言っているので楽しみ。
野村くんたち幼なじみ二人についていうと、太一はイケメン設定なんですが「イケメンであること」をそこまで強調していないのでどんなにきらびやかでコミュ力高くてスポーツも出来て学年首位だろうと、普通な部分があるってのが印象薄かったかな。「学年一位の太一」と「そんな太一に机にかじりついてでも負けた机くん」の関係が辛くてでも好きだったのと「畳で努力し続ける奴がいい」の言葉に繋がっていくので、あのシーンは太一の見せ場だったから複雑ではあります。まぁ団体戦だから、他のメンバーの見せ場にもしたかったんでしょうが。肉まんくんの一回転取りの、何故そこまで必死になるのかってのも見たかったな!(笑)2位ゆえの苦しみ切ない。
一番驚いたのは新のマッケンの福井弁。完璧だった。
そして取り方がしなやかで、美しい。荒々しいんじゃなくて水のようなの。
もともと海外で育っている方なのでだいぶハードル高いな~と思ったんですが、そんなことはなく、綺麗に使われていました。仮面ライダードライブの映画からまったく印象を変えていて、実に楽しかったです。
ということでアニメもよろしく!!!
ちはやふる(アニメ公式サイト)
TVアニメ「ちはやふる」 (@chihaya_anime) | Twitter
アニメの何がいいって「神様じゃなくて、友達でいたいよ」という名言を新がいったところ。原作が千早だけどアニメで新がいうことで「最強/人間味がない」「聖人」と言われたり扱われている彼が人間なんだよあくまでも「大事な幼なじみたちとの思い出を支えにある存在なんだよ」っていうのがちゃんと分かる部分なわけで。
これからちはやふるという展開を「すべて」見る方におすすめしたいのは 映画見る→アニメみる→原作を追いかける が一番いいと思います。
アニメの作りこみにスタッフの愛を感じました。ぜひよろしくお願いします。主題歌とEDそれぞれいいです。ぜひぜひ。
YOUTHFULという主題歌の今はちはやふる思い~からのいつかまた会えるだろうの流れは3人を示唆していてとてもいい。おすすめ。
ということで、ネタバレ全開でしたけど映画としてのクオリティがとても高かったと思います。
青春ドラマとして見て欲しいかな。國村隼さんの原田先生は少し線が細いですがその分意思がすごく強く見える。「知的な熊」と言われた雰囲気とはまた違いますが、ぜひともこちらも見て欲しいかな。原田先生のかるたをやるシーンも見てみたいものです。
最初映画決まったときに「いつかやるとは思っていた」という気持ちと同時に「NHKで連ドラでやってほしかった」というものが交錯していましたが丁寧に作ってくれたので後編も期待したいところです。
……ところで友達が終わってから机君の役者さんが福山潤さんに似ている(声も身なりも)というせいでたいへん笑いました(笑)
ちはやふる「下の句」
デザインをみて分かる「綿谷新」「若宮詩暢」の登場。
上の句ではあまり描写されてこなかった二人です。
「全国大会に向かっての彼ら」のお話でもあります。
感想
あの、大変個人的に言いにくいのですが、個人的には「上の句」が割と丁寧にコンパクトだっただけに下の句は「あれっ」っていう驚きがありました。
なんというか「部活」に打ち込む”瑞沢高校かるた部”の物語ではなく、千早と太一と新の物語にしている分、千早が「部活を疎かにしている」というシーンになっていていて、綾瀬千早という登場人物の猪突猛進一つのことにしか集中できない部分の「マイナスの部分」が非常に強く描かれている部分をピックアップしたなあと思いましtあ。
この辺は解釈違いなので仕方ないとは思いつつ、千早・新・太一の関係としても「かるた部設立」から、新が「かるたが好きだ」ってなるまでの流れと、「千早と太一にそれでも会いたかった」というあの夕焼けチャリンコのシーンが(物理上無理とは知っていても)好きだったので「あああ……あああ…そうなの…そのまま別れちゃうの……」という口のあたりに残る、なんともいえなさ。
後は若宮詩暢ちゃんという「絶対的に勝てないクイーン」がどんな存在なのか、またそこにおける綿谷新との関係がなんというか「恋愛っぽさ」が少し滲んでいて、個人的には「千早」と「詩暢」という二人の対比は「ライバル」として「友達」としての関係で、スノー丸のTシャツとダディベアの下りは「変な趣味……」という二人だからこその”あんたか”は少し、こう、「あれ?」となりました。
ただ、全く全てがマイナスっていうわけではなく、例えば肉まんくんが「頼れ」と真島に言うのは「一つの作品」として見るぶんにはいいと思うのです。また、コメディとしての「出たよ綾瀬の貪欲」っていう部分は好きです。
吹奏楽部とのやり取りは「ちはやふる」における「他人のことを気づかえるようになった」ところなので好きなんですがこう…校歌じゃないんだ…とか一方で各部活の人たちがコメントを書いてくれるところは好きなので、そういった「ちょこちょこ入っているオリジナル要素」とのバランスを少し併せてもらいたかったかなと。須藤さんの下りとか、あれ…?と思う箇所が無きにしろあらずで、クイーンが左利きだったことに気づく流れに対して個人的にはあまり「そうなるよねえ」っていう部分ではないというか。
千早は「周りを巻き込む貪欲さ」だけれど周りをみなさすぎるわけではないので、其の点に置いて、ちょっと解釈違いが置きているのが残念でした(笑)
後新と太一の関係と、千早と新、太一と新の関係で「知っているけれど言わない」太一なら、そこを掘り下げないと「どういう状況なのか分からない」のと「新が携帯使えないの太一知ってるのになんで教えないの?」ってなってしまう。そこがちょっと見てて「うーん」という部分でも有りました。
全体を通して見ると上の句の出来が言い分だけ「惜しい」と評価せざるを得ないのですが、「とっかかり」としてここからはじめるのであればそれはそれで、まぁいいのかなと思います。
「あれが、ちはやふるです」とかなちゃんがいったセリフは作品に対しての表現として分かりやすいですし。
「続編」(名人も出るらしい)が決まっているので、ある意味で「ここまでやる」っていうことを下の句は詰め込みまくったんだろうな、って印象です。
後「富士崎高校」と作中に出てくる強豪校の名前が出てきたのはとても嬉しかったです。
ところでアニメ3期決まったんですけど!!!!!!!!!ちはやふるアニメ3期めっちゃくちゃ楽しみです!!!!!!!!!!
結び
2018年3月に封切られました。