柑橘パッショナート

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派手なアクションが見たくて「ザ・ファブル」を見てきました

「なんか猛烈にアクションがみたい」となった結果、先週金曜日からはじまっているV6・岡田准一氏主演映画「ザ・ファブル」を見てきました。

原作については未読の状態で、岡田さんに関してはつい先日「白い巨塔」での財前教授を演じていた印象が残る中でみてきた次第です。

www.youtube.com

予告編を見て「銃撃どんぱち」というのと岡田准一氏の特技である体を駆使したアクションというのが売りということで見てきました。

基本的に松竹のコメディテンションと自分の映画の好みとしてはあまり合わない方向にあるのは承知の上だったので「どうなるかなあ」って思っていたのですが、その雑感をパラパラと。

 

*基本ネタバレしかしていません

 

 2017年度講談社漫画賞を受賞した南勝久原作の人気コミックを岡田准一主演で実写映画化。

超人的な戦闘能力を持つ伝説の殺し屋ファブルは、育ての親であるボスから、1年間殺し屋を休業して普通の人間として生活するよう命じられる。もし誰かを殺したらボスによって処分されてしまうという厳しい条件の中、「佐藤アキラ」という偽名と、相棒ヨウコと兄妹という設定を与えられ、大阪で暮らしはじめたファブルは、生まれて初めての日常生活に悪戦苦闘。

そんな中、偶然知り合った女性ミサキがある事件に巻き込まれたことから、ファブルは再び裏社会に乗り込んでいく。相棒ヨウコを木村文乃、ボスを佐藤浩市が演じるほか、山本美月福士蒼汰柳楽優弥向井理ら豪華キャストが集結。カンヌをはじめ数々の広告祭で受賞歴を持つCM界の巨匠・江口カンが監督を務め、「20世紀少年」「GANTZ」の渡辺雄介が脚本を手がける。

(映画.comより)

 

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「普通」の人として

 

原作は漫画。現在18巻まで展開している人気シリーズです。

直近で自分がよく読む殺し屋漫画って言われると「幸せカナコの殺し屋生活」が頭をよぎるのですが、まぁ圧倒的に方向性が120%違うんだろうなて思いつつ。

sai-zen-sen.jp

ドンパチ系は好きなので気になって気になって見てきました。それはそれで幸せカナコも面白いから皆読んで欲しさがある。

幸せカナコの殺し屋生活 1 (星海社COMICS)

 

幸せカナコの殺し屋生活 1 (星海社COMICS)

幸せカナコの殺し屋生活 1 (星海社COMICS)

 

マジマジマジマジアルマジロ?? という言葉のセンス。

それはさておきファブルなんですが、前述のカナコが一般人→殺し屋になるならファブルは殺し屋→一般人に溶け込む というストーリーです。

 

”普通”とは何かを考える作品として

基本的な作品傾向としてはおもっくそ「どんぱちバイオレンスで人が死にまくるけど、最終的に人情要素もありーの”普通”に慣れていく作品」って印象でした。

岡田准一氏が主役とはいえ、どちらかというと群像劇っていう印象でした。

登場人物としては構図が三つ巴以上の組織でのバトル+個人戦も交えてくるので関係がめまぐるしく変わるかんじ。でも根本としてそもそも「いやこれどう考えてもお前が悪いだろ~~」っていう部分は勧善懲悪要素があるので、明確なストーリー仕立てになっていました。

今回の主人公”アキラ”(岡田准一氏)が普通になれないnot普通の人なので、自分にとってのスタンダードと周囲の人間のスタンダードをすり合わせていくという部分をコミカルに描いています。

「助けられたらお礼は言う」といったような根本的な人間として必要なところは出来るので、その一方でのズレている…程度の部分のものを「個性」として馴染んでいくのが面白いです。ミサキちゃんたちといった「一般的」(いわゆる”善良な人たち””殺人現場にたちあったことすらない人達”)に観点はどんなものかということが変わっていくという印象。

また、ボスの目論見としては彼を「一般」に染まってほしいという気持ち(=足を知らない間に洗ってほしい)と、殺し屋としてのトップとして見方…みたいなのを感じられました。

俳優陣の対比的描き方

まず最初にいえるのは佐藤二朗氏は佐藤二朗氏でした。安定してこう…想像していただけるだろうか、佐藤二朗氏を。あんなかんじです。

佐藤二朗佐藤浩市,そして安田顕のギャップが非常に激しい。

そういう意味では立ち位置的に妹になる木村文乃山本美月もしかりかな、と感じました。

ちょっと雰囲気的に木村文乃ちゃんはギャルというか…パリピよりの雰囲気で峰不二子ちゃんの要素もあるのかな~~って感じたのですが、いまいち「彼女がめちゃくちゃ強い」のかどうかは私には、(福士蒼汰の相棒ぶっとばす程度には力があるのは間違いないんだけれども)わからなかったのでコメディ要因要素があるのかなって感じました。

ミサキちゃん(山本美月)はひたすらヒロインというか「常識」といわれる部分を教えていきつつ、自分も驚きの不幸体質で、もうなんか見ていて「なんなの君…逆転裁判須々木マコちゃんかはたまたニボサブさんかそれとも綾里真宵ちゃんなの……」って思ったり思わなかったりするんですけど。

逆転裁判 アクリルキーホルダー 綾里真宵

災難が続きまくるでおなじみの真宵ちゃんがこちら。

対比という意味では福士蒼汰(ファブルを倒したい殺し屋)と岡田准一(ファブル)も対比的に描かれており、全体的にこう、対比として全員なにかしらがあるなって感じました。柳楽優弥向井理とかもそういう意味ではそうだな~とか。

ヤクザのトップ、殺し屋のトップ、そしてデザイン会社のトップ、としての3つ巴(普通じゃない、普通じゃない、普通…?の組み合わせとしても ここを見るとすごい面白い)

 

内容として

もともとどちゃくそ派手なアクションを見たくて行ったのと、コメディ要素が強そうだったからっていうのがあったんですけれども、どちらかというと笑い要素は控えめというかぶつ切りの中にたまに突っ込んでくるってかんじでした。

回転寿司で突然プリンが突っ込まれてきて思わず反応するに近い感じかな。

宮川大輔氏のジャッカル富岡というギャグを見ているとすごい…こう……なんだろう……なぜこの人が売れるんだろうっていうものでも誰かにとってはすごいツボなんだろうなっっていう話を思い出しました。

コメディシーンとしては余り自分にとってはヒットしなかったタイプの笑いでしたが、そうじゃない人もいたと思います(ファブルが猫舌としての彼の反応とかですごいゲラゲラ笑われている人もいたので)

 

アクションシーンについては昨今の中ではだいぶ派手にやっているしアクションに力がはいっている作品として集中できたと思います。

ファブルが覆面をした状態でのやり取りになるので良くも悪くも特記せざるを得ない”岡田准一”というアイドルの一面(彼は俳優として評価されたいであろう部分も大いにあると思う一方で、どうしてもその部分を取り除くのが難しいのも個人的にはわかる)がだいぶ削がれているように感じられました。

戦闘シーンとしてはまぁドンパチ派手な音がする(銃撃戦)っていうのもあるのですがカメラワークがちょっと切り替えが激しすぎて、長回しのワンカメバトルもうちょいほしいっていうのと人が多すぎて戦国無双みたいなことになってる~~~っていうのがネックでした。

【PS4】戦国無双4 DX

 

【PS4】戦国無双4 DX

【PS4】戦国無双4 DX

 

 

人がいることは悪いことではないのですが、冒頭での「誰をどう倒すか」という目線があってそういうバトルをしてすごくスピード感を持っていただけに、後半での中だるみ感とドンパチすればいいでしょっていうのはちょっと個人的にはもったいないなって思いました。体術、銃撃、どっちも派手にお金をかけているし、「ジャッキー・チェンかよ…」と言わせるぐらいのアクションもしているからこそ、折角だからもっと他のシーンでも見たかったかな、っていう気持ちがあります。

ストーリーとしてはすごく描きたかったことが多かったのだろうな、という気持ちとぎゅっとコンパクトにねじ込んでいったのだろうな(隠し撮りの部分があまりにもさっくりしていたので、この人まだなにかあるのかなと思った)思いつつ、非常に一本筋でわかりやすくしようとしているのかなっていう印象です。

個人的には砂川(向井理)がただのキレやすい若者(?)になっているのが残念だったのでもうちょい彼の部分も欲しかったし、コジマ(柳楽優弥)に対しての考え方も「兄貴」は描写として描く一方で彼はただの頭がぶち抜けていっちゃってズレにズレまくり、最終的に暴走のはてで・・・っていう小物っぷりが憐れとしてしっかり描く分何とも言えない気持ちに。

いやあの柳楽くんは実にいいお芝居だったと思います。彼ら二人は肌の白さや同じチンピラでも「インテリヤクザ(ぽい)」のと「鉄砲玉、触ったらやべえやつ(ぽい)」っていう意味ですごく見ててわかりやすかったです。もうちょいインテリヤクザ感があったら嬉しかったな、とか。

 

福士蒼汰くんと岡田さんのアクションについては終始福士蒼汰氏の役柄が楽しそうに笑っていて、やりあっているときでも語尾に「~♪」ってついてきそうなタイプで、見ていていい対比だなと思いました。福士蒼汰くんも岡田准一さんと同様体を鍛えている印象のある俳優さんだったのですが筋肉の付け方がそれぞれに違うので、しなやかに動く福士蒼汰と、推し進めていくブルドーザータイプの岡田さんみたいなかんじで、見ていてこう…ライトが暗いのが惜しまれるな~っていう気持ちがありつつ。特撮ヒーローでよく見るドンパチ合戦っていうのはやっぱりワクワクしますね(笑)

 

感想としては「もうちょっと、もう一声なんか欲しかったかな」っていう部分があるのが惜しまれるかな。じゃあその「もう一声」がなにかって言われると難しいんですが…。楽しい、楽しいからこそ大満足には至りきれなかったのが自分の中で残念だな~っていう。多分それは私が今作の笑いのツボが相性として合わなかったからなのでしょうが…。そういう意味では「惜しいな」って思う作品でした。

しかし予告編でほぼ全部話の内容が見えてしまっているので、ある意味で王道、ある意味でわかりやすい、そんな作品でも有りました。

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