柑橘パッショナート

インプットとアウトプットを繰り返すごちゃまぜスタイル

【スキウタ vol.04】ヒトリエ「フユノ」

持続して率先して声を大にして伝えていますが「おうち時間」をするにあたって、インターネットで活用できるものをガシガシしていきたい。

そんな気持ちから「ちょっとあなたの好きな曲教えて下さいよ!!」というスキウタやオシゴトガタリをもっと色々書いていこうと思い企画をこれからも続けていきます。気ままに、マイペースに!のんびりと!!出来る限りのちからで(笑)

「誰かと何かを話す」という意味でも聞き手としてとても楽しく思います。外出今できなくてこう…人と話をするの…好きなので…本当ありがとうございます…!

ということで、今回も元気よく、スキウタはじめたいと思います。

 

スキウタって?

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「ちょっと好きな曲聞かせてください」
  • ひたすら好きな楽曲ひとつに注視し、そこを掘り下げていく企画です。
  • 歌声の入っていないインストゥメンタル、クラシック、ジャズからミュージカルや演歌に至るまで「この歌が好きだからちょっと聞いて!!!!」とひたすら語っていくもの。
  • なんとなく聞いたあの曲も思い出深いこの曲も、エピソード盛り込むのでも何でもいいから「私の好きな歌」をひたすら聞いて話して普及するための企画です。

 

今回のゲストはアスターさん。ご丁寧に参加表明をしていただきました。ありがとうございます。

そして今回のお題はヒトリエの「フユノ」という曲。

名前を聞いたときにどんなものなのかさっぱりわからなかった「ミリしら」状態からのスタートです!

 

 

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ヒトリエ」というグループについて

このたびはご参加ありがとうございます!
今回教えてもらう曲ってどんな曲でしょうか?

今回ご紹介したい曲は、ロックバンド「ヒトリエ」の楽曲、「フユノ」です。
甘夏さんは、ヒトリエというバンドをご存知でしょうか?

www.hitorie.jp

お恥ずかしながらあまり…!ちょっとインターネットで検索をかけさせていただいたのですが、調べてびっくりしました…。
現実逃避Pの活動されていたバンドなのですね…!!
ニコニコ時代のご活躍は一部存じ上げていますが、ヒトリエになられてからは未履修なので差し支えなければざっと概要を教えていただいてもよろしいですか?

(現実逃避P=裏表ラバーズ、ローリンガール、ワールドエンド・ダンスホールなど数々のVOCALOIDを用いた楽曲を世の中に出してきた方。かつて私もボカロをニコニコ動画ピアプロで大変お世話になった身なので「あっこの方!」と調べてみて、びっくりしました。)

はい。仰られた通り、ヒトリエはボーカル&ギターのwowaka(現実逃避P)さんを中心に2011年に結成されたバンドです。
ボカロPとして活躍していたwowakaさんはもちろん、ニコニコ動画等で弾いてみたやアレンジを投稿していたメンバーで構成されています。
活動のメインはwowakaさんが作詞作曲したオリジナル曲ですが、ライブではボカロP時代に楽曲のセルフカバーも披露していました。

ボカロP時代のセルフカバー!! それはテンション上がりますね!肉声だとまた印象も変わりますし「今」と「ここに至るまで」の軌跡として結びついている感じがして素敵です!

ちなみに甘夏さんは現実逃避Pの楽曲をお聴きになったことがありますか? 

有名所であれば…!ローリンガールはそれこそ手書きMAD*1とかでも大変流行しましたのでそのへんであれば!というかんじですかね…!
2011年だとニコニコ動画が世間にも浸透して、成熟期の頃ですね…!他メンバーの方もアレンジ、弾いてみたをされていたというのが面白いですね。

「フユノ」で感じた暖かみと冷たさ

今回の楽曲もwowakaさんの作られた楽曲なんでしょうか?

そうです。今回の曲は「フユノ」という曲なのですが、YouTubeにフルMVがありますので、まずは甘夏さんの感想を伺いたく思います。

www.youtube.com

フユノ、のタイトルで冬イメージの曲なことは認識していたんですが、まずイントロがすごく綺麗なのとMVの言いようのない主人公二人の関係をイメージできる感じがめっちゃ良いですね…!
サビも聞き取りやすく、同じ言葉を繰り返す(それは、それは、とか)でうまく伝えたいような、そこで言葉でつっかえる感じにも見えました…!

私も甘夏さんと同じで、まずイントロに惹かれました。
ローリンガール』のイントロのような硬質さがありながら仄かな暖かみがあり、それでいて冬をそのまま音にしたような冷たさも秘めている、という矛盾した情報量の多さにクラっと来た記憶があります。
それでいて後半にかけて音が増えていき、2番のサビで感情が溢れ出すのを聴いて、気がついたらリピートしていました。

そして、少し驚きもしました。
ヒトリエの曲を聴いたのはこの曲が初めてで、それまでwowakaさんといえば”目まぐるしい早口の歌詞にテンポの早い曲調の中毒性の高い曲”のイメージがありました。
なので、この曲のように静かな(よく聴くと静かではないんですけれど)、ゆっくりとした弾むような曲調は、完全に不意を突かれたように感じました。 知っていた人の、全く知らない表情を発見したような。

正直ぱっと聞いて「これ現実逃避Pなの!?」ととても驚きました。
それこそ早口でばーっと話していく、VOCALOIDの特技というか…を生かしている印象があったので…。
”硬い、冷たい、でもどこかそこからかんじられる柔らかさ”ってすごく素敵な表現ですね。
こう、冬の地面に触れると最初はすごく冷たいけど土そのものの「生きている」感じに近いと言いますか、呼吸してるような暖かさがありますね…。
特に後半、最初の静けさ・透明さからのギャップがすごい…、対比的というか…一気にくる感じがします!

”雪が溶けたら春が来る”というふうに表現する人もいるくらいですしね!

雪が積もっても、冬がきていても地面はあたたかい感じ。

仰る通りですね。冬の地面は一見生命がなくとも、土の下で来るべき時に向けて蠢いているような。
そこから後半に向けて感情の波が溢れ出すカタルシスに聴く度に心を持っていかれてしまいます。

こう、初見から「なんなんだこれ?!」と動揺する、というよりも最初の聞いていての馴染みから心がザワザワしていき、ばーん!と一気に音が増えることで音楽の波が押し寄せてくる、みたいな感じがします…。
アスターさんとしてはこの「フユノ」について、「ここに注視してもう一度聞いて!!」みたいなところありますか?

特にここが必聴、という部分はなく、全体として好きなのですが、強いていえば私はやはり2番サビの「踊り足んないの 行かないで」というフレーズがすごく印象が強いです。

今もまだ

踊り足りないの

行かないで

ヒトリエ フユノの歌詞より引用)

「フユノ」というタイトルをどう変換するのかも含めて自由度が高い部分も確かにとってもあるのですが、MVにもある「冬」の雰囲気がすごく強いですね。
「どこが」ではなく「全体」が良いっていうのは先程おっしゃっていた通りイントロからじわじわと溢れ出てくる感じも含めて“一つの作品として”っていうことですよね…。
2番サビの「踊り足んないの 行かないで」、曲としての解釈も勿論ですが人1人の感情にも見えますしすごく良いフレーズですね。 懇願にも見えるし、抑止にも見えるし、どういう「行かないで」なのか、っていう部分がぜんぜんちがうというか…。イメージが膨らむフレーズで私もすごく素敵だと思います!

”現実逃避P"として”ヒトリエ”のwowakaさんとして

この曲から持つ、”アスターさんの意味合い”というものはどういう形のものでしょうか?

この曲を聴いた当初、人生初の片思い中で、初めて自覚した恋の感情がとにかく楽しくて、この気持ちが消えてしまわないように、と願っていました。その時の自分の感情とここの部分をリンクさせて聴いていたように思います。
ただ、ここの部分が、というよりこの曲全体が、ちょうど1年前から意味合いがガラッと変わってしまいました。

 

今はどのように意味合いを感じられますか?

ちょうど一年前、2019年4月5日、wowakaさんが亡くなってしまいました。 それからは、もうそれ以外の意味では聞こえなくなってしまったんです。

(当時とても大きなニュースになっていたのをよく覚えています。今でもどこか逝去されたことが現実感がなく、少しふわふわしているというか…当時米津玄師さんのブログを見て「本当に逝ってしまったのか…」とちょっと非現実というか、受け止めきれないまま1年が経っているなと感じるばかりです)

lineblog.me

 

wowakaさんがどういったメッセージを込めていたのかはわかりませんし、ニコニコ動画のボカロ曲をこちらが好き勝手に解釈していた時代と変わらないと思います。
こっちは勝手に「行かないで」と思う気持ちを込めて曲を聴きますし、もしかしたら全然関係ない失恋の曲とかだったのかもしれない。それは誰にも分からないです。 そういう風に自分で好きに気持ちが込められるのがwowakaさんの歌詞の好きなところでもありますし。
ただ、wowakaさんが亡くなった時に、ネットの大勢の人が、「ヒトリエのボーカルのwowakaさん」ではなく、「現実逃避P」が亡くなったことを悲しんでいました。「ローリンガールめっちゃ聴いてた!」のような感じで。
ヒトリエのファンとしては、ヒトリエのリーダーが亡くなったことを悲しんで欲しい気持ちが少しだけありました。
そして、もっと時間があればそうなれるはずだったんです。少しづつライブの規模も大きくなって、タイアップも決まって、ボカロP時代のあの早口の一見わかりにくい中毒性のある曲だけではなくて、多彩な感情表現豊かな楽曲がいっぱいあって。
ちなみに、まどマギの杏子さやかのエンディング曲を作詞作曲したのもwowakaさんです。 

and I'm home

and I'm home

  • provided courtesy of iTunes

(and I'm homeはまどマギの第9話の未放送EDですね…この曲めちゃくちゃしんどいけどめちゃくちゃ救済でもあるというすごいこう…いいようのないあれなんですよね…)

本当の気持ちと向き合えますか?

(私の推しキャラさやかちゃん。しんどい。とてもしんどい)

 

そんなことを考えながら、この「フユノ」を聴いていて、もっと人に話しておけば良かったなあ、と思いました。ただ「行かないで」って言うだけじゃなくて、色んなところで布教するなり、語るなりしておけば、現状が変わらなかったとしても、私の気持ちがもっと残念以外の感情になったかもしれないなあ、と。
という気持ちで、甘夏さんにご連絡させて頂いた次第です。

あくまでも「受け取ったあなたのものが“意見”“感想”で構わない」というところがまさにVOCALOID時代に持っていらっしゃったものと変わらないスタンスというのが興味深いですね。「答えがない」からこそ楽しめる、こうじゃないかああじゃないかと答えのない答えを探す旅にもちょっと似ていて、私はすごく素敵だなと思います。
逝去されたときに話題に挙げられていたのはどちらかというと「現実逃避P」としてのお名前としてお見かけすることが多かったように感じます。私自身もまたしかりなのですが…(そしてお亡くなりになったことを情報の一つとしてうっかり流していたので、「もういらっしゃらないのだなぁ」とほろ苦く感じます…)

アスターさんはもともと「ヒトリエ」のファンでもいらっしゃるからこその悔しさがあると思います。だからこそ「ヒトリエ」の名前ももっともっとたくさんの人に広まって欲しい、知ってほしい。「現実逃避P時代」だけではなく「今も動き続けている」からこその美しさがあるから、逝去という形ではなく「アーティスト」として知ってもらいたかった…という思いがあるようにお見受けします。
そしてまどマギのあの二人のエンディング、そうだったんですね…!まさにアニメ業界をはじめとした音楽業界にどんどんもっともっと大きくなっていくタイミングだったのだと思うと切ない限りです。

(本当唐突に人っていうのはいなくなるんだなと痛感しました。とてもしんどい。数年前の飛行機事故で亡くなってしまったサッカーチーム「シャペコエンセ」がありました。あのときのドキュメンタリーを見直して思うところがたくさんあります。そして、私が「実際に見てきたサッカー選手」の1人でいうなら松田直樹選手だって本当にあっさりと、さらりと、本当に旋風のように逝ってしまったことを思い出します。真田雅則元選手だって、これからだった。たくさんの道があった。その中で、我々は本当にただただ見送っていくことしかできていないし、それが寂しく、切ないなぁと思うばかりです…)

言いようのない空虚感と「そこだけじゃなくて、今の彼がやってきたこと、動き続けようとしていたこと」を知ってほしいという気持ちにすごく賛同しますし、だからこそお声がけいただけてとても嬉しいです。

これから「フユノ」を触れるあなたへ

この曲だけで見ても、同時にヒトリエというアーティストとして見てもの魅力がそれぞれにあると思います。だからこそ「知らないあなたへ」のラブレターとして、最後にお言葉頂戴してもいいでしょうか。

「フユノ」はオタクであればどこかで掴まえた、感じたことのあるエモーショナルな何かを感じ取って頂けると思うので、まずMVだけ見て頂きたいです。
それから、公式チャンネルに上がっている他の曲の動画も見て、今のwowakaさんがどんな曲を作っていたか、知って頂けたらと思います。
オタクは概念を形にした楽曲が好きだと思うので、絶対「フユノ」は刺さると思います!!よろしくお願いします。
もう更新のないコンテンツにハマるのは…と懸念される方もいらっしゃるかもしれませんが、大丈夫です。まだライブもツアーも予定されていますし、今度ベストアルバムが発売されます!ベストには「フユノ」を含む各種必聴の名曲が勢揃いしている上、「アンノウン・マザーグース」や「ローリンガール」といった懐かしい楽曲のセルフカバーも収録!ボカロP時代に追いかけていた人にも是非おすすめしたいです。
どちらもコロナで延期になったのですが…
あとは、推しが三次元にいる人も油断してはいけないということですね…推しは!突然死にます!!
特に若くして推しが死んだ場合、「まだ終わるはずじゃなかったのに、これからも続いていくはずだったのに」という見ることができるはずだった未来が消えた空虚感にしばらく支配されます。
サッカー選手もそうですよね。これからもっと活躍できるはずだったのに、活躍し続けて行くはずだったのに、というやり場のない気持ち。
推しが死ぬのは受け入れるのに3年はかかると言いますが、3次元の推しは3年どころではないです。
皆さんにも、常に推しが明日にも死ぬかもしれないという気持ちを持って、推し事をして頂きたいです。その方が後悔が少ない、はず。

(おのれ新型コロナウイルス・・!!!)

楽曲に触れて

この曲の第一印象は「きれいなイントロだな~」でした。
本当に、繊細なタッチと入りやすい空気感。
MVが凄くきれいなんですよね。曲調にあう絶対零度の透明感がある。水が凍っただけの「氷」に近い印象を受けました。
Aメロからサビへの転調の段階で繰り返すように「あなた」や「それは」。
この部分がすごくつっかえているようで「その言葉を伝えるには」という見方も出来るなと思いました。
一方でサビの1回目の柔らかさというか、トゲトゲしてなさというか…まろやかさみたいなもの、そして間奏のステップのようなかんじがすっごい綺麗なんですよね。
弾むような、でも一方絵静かに動いていくところも良い。

「この一曲からどこを読み取るのか」が自由だと思うのでそれこそアスターさんのように「この恋が終わってほしくない」の「行かないで」にも解釈できるし、一つ一つの音を拾い集めての跳ねるような、けれど決して「明るすぎない」部分からほんのすこしのほろ苦さを感じるのも良い。
個人的には雪が吹雪いているのからしん、と少しやんだ次の日の朝みたいなかんじの印象を受けました。強さとしなやかさ、柔らかさ。大地。色んなものを交えて「今日」になっていく。だから「(季節の移ろい、変化を)いかないで」や「踊り足りないの」というフレーズで思い出させました。
誰かの「ことば」「感情」として見ても良い、概念的な「どんな一面もまた正解」であるというのから彼らのバンドや、wowakaさんを思っても良い。

その上で曲を作った方がもういない、というのが何だかとても不思議な気持ちです。
曲は残る。功績も残る。でも、称賛したいのにその人はいない。宮沢賢治等もしかりですが、誰かが語り継ぐことで、誰かが言葉に残すことで心にとどまっていくのかな、とも感じます。

三次元の推しも、二次元の推しも、ある日突然ぱたりといなくなることがあります。
それは昨今の感染症だけではなくて、たとえば交通事故だったり、たとえば天災だったり、たとえば持病だったり。本当にいろんな形で、人の運命というのはわからないものです。だからこそ、「推したい」という気持ちを大切にしていけたら良いですよね。

素敵な楽曲、そしてエピソードありがとうございました!!

 

フユノ

フユノ

  • provided courtesy of iTunes

 

 

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amanatsu0312.hateblo.jp

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*1:MVをベースに他のキャラで作ってみたり、逆にファンによるMV作成などもあった

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