どうもこんにちは、あまなつです。
5月15日は!Jリーグの日!Jリーグおめでとう!有難う!今年もJリーグが存在していることに感謝して止みません。あいらぶJリーグ!
とここまで書いておいてまぁ触れる内容についてはA.B.C-Zの塚田僚一さんが出演された舞台「サクラパパオー」を観劇してきた感想なんですが。
「演出:中屋敷法仁」という単語にもうもれなく胸躍るというか「や、や、や、屋敷さんだーーー!!!」と大騒ぎしたのは言うまでもない。
だって2015-2016年多分めっちゃ見た人ですよ屋敷先生……。ということで、中屋敷さんというお人について触れながらのんびりまったり塚ちゃんのお芝居も含めて感想録をまとめておこうと思います。
もはや完全に勢いである。テンションについてはお察しください。
サクラパパオーの概要
サクラパパオーはウェルメイド・コメディ、として公式サイトで紹介されています。
ウェルメイド・コメディの傑作『サクラパパオー』。
そもそもですねえ、「ウェルメイド」とはなんぞやって話からなわけですよ。ホームメイドしかわからないよ。カタカナ弱いんだよ!!
芝居の専門用語とかわからないよ!オフ・ブロードウェイとかですら「オブ」なのか「オフ」なのかちょっと詰まる程度のうっかりがっかり脳だよ!!!!ということで、そういう私みたいな人が居るかもしれないのでつらつらとご紹介。
「ウェルメイド」(well-made)とは英語で「出来や構成が良い」という意味の言葉です。
(中略)
脚本や作品の構成が巧みで、物語の展開を楽しむような、論理的な印象の演劇を意味します。
例えば、登場人物が様々な事件で右往左往することで話がふくらみ、
クライマックスで一点に収束するような物語がウェルメイド・プレイです。
同ページでは三谷幸喜さんが代表例に上げられていました。ちなみに私は三谷幸喜さんだと12人の優しい日本人が好きです。
12人の優しい日本人面白いから見て欲しい。ただただ見て欲しい。
映画は「櫻の園」の中原俊監督の組み合わせなんですが、舞台はWOWOWでしか見たことがないから、いつか舞台も生で見たいんですよね。
山寺宏一さんが舞台だと出ていらっしゃって、本当三谷幸喜さんの「この人出したい」感はわかりやすくて面白いです。福田雄一さんや三谷幸喜さんの俳優の選び方はある意味すごく安定的で、「ああ」と納得しやすいのでキャストを見るとこれこの人だろ、と思うこと多いですよね。なので12人の優しい日本人も完全に当て書きされています。違いがあって面白い。
正直パルコのやつより映画のほうが私は好きです。
大本のベースである不屈の名作映画「12人の怒れる男」との対比も良いですし何より90年台頭に作られたとは思えないほどしっかりとした骨格を持っていて、非常に和やかかつ面白い。
ちなみに私は映画も見ましたが中井貴一さんと故・蜷川幸雄氏によって作られた舞台*1を見に行って「ああ、すごいなあ」と思ったのを覚えています。
なお、感激しに行ったら、自分たちの後ろに蜷川幸雄氏と蜷川実花氏がその様子を見ていたという事案がありました。何それ怖い。
話それていますね、戻します。
ということでまぁ、「ウェルメイド・コメディ」として紹介されているサクラパパオーの扱いとしては「綿密に計算されて集約された、論理的に確率されているコメディ作品」という感じでいいのかなと思います。
サクラパパオーは喜劇の名手・鈴木聡主宰の劇団「ラッパ屋」*2で初演が行われています。
2001年にパルコ・プロデュースとしても上演され、好評を博しました。
その『サクラパパオー』が、パルコ劇場が次世代を代表する新進気鋭の演出家として注目する、中屋敷法仁の手で新しい喜劇として蘇ります。
常に進化をし続ける手練れの喜劇作家と次世代を担う新しい才能、そのぶつかり合いによる化学反応が生み出す新しい『サクラパパオー』に是非ご期待下さい!
ということで、ラッパ屋以外にも2001年にも上演されたパルコ劇場の「サクラパパオー*3」。
この作品は朝の連続テレビ小説「瞳」*4とか「あすか」*5を担当された鈴木聡さんが作られて、沢山の人達の手を渡り、今回満を持して屋敷先生、そして塚ちゃんというコンビで上演される運びとなりました。
あらすじ
田原俊夫と婚約者の岡部今日子が競馬場へデートを楽しもうとしていたところに正体不明の女性・ヘレンが現れる。俊夫とヘレンの関係を疑う今日子。しかしヘレンの目的は外務省勤務の的場博美だった。的場は、ヘレンに貢いだ公金800万円を取り戻すために競馬場へ来ていた。同じくヘレンに翻弄された中年男の井崎修や亡き夫の影響で競馬場に通う菅原幸子、優柔不断なサラリーマン・横山一郎、得体の知れない予想や・柴田達。ひょんなことからさまざまな事情を抱えた8人が出会い、夜の競馬場で交錯する。
(公式サイトより引用)
これ、過去の公演のホームページ見ていると脚本が同じながらも視点がみんな違うんですよね。93年、95年、01年の舞台のホームページでは的場が主役のように描かれていたり、ヘレンにスポットが当たっていたり。
違いを見ていると面白いですね。
この作品を彩る人たち
主演はA.B.C-Z塚田僚一さん。金髪筋肉塚ちゃんです、という持ちネタを持ちつつも今回は金髪を封印。黒髪…というか暗めの茶髪?に戻されています。大分雰囲気が違って見えます。
また、今作で完全復帰となる中島亜里沙さんがヘレン役。
「雨と夢のあとに」や「薄桜鬼」で雪村千鶴を演じた黒川智花さん、伊藤正之さん、広岡由里子さん、この「サクラパパオー」ではおなじみの木村靖司さん、永島敬三さん、市川しんぺーさん、永島敬三さん、そしてラーメンズでおなじみ片桐仁さん。
片桐さんに関しては学生時代非常に友人たちと楽しませて頂いた思い出があります。青春の思い出です。なつかしや。
それぞれがどんな役を演じているのかというと公式サイトで漫画にて紹介されていました。
サクラパパオー|PARCO STAGE こちらをご参考までに御覧ください。
しかし配役にさすがの柿喰う客の永島さんが入っている当たり中屋敷さんとの連携が取れているんだろうなあとか思います。
また、今作についてのコメントは業界各所から応援メッセージを頂いています*6。
東宝演劇部所属の「アニー」を今しがたまでやっていた山田さんは「それに加えてあの“キュートな笑顔”と“天然”ですからねえ。きっと今回の『サクラパパオー』は史上最強の『サクラパパオー』になることでしょう。」と語っています。
また、塚田さん出演の「ボクの穴、彼の穴。」翻案、脚本、演出を手がけたノゾエ征爾さんは過去に塚田さんと役作りでの際の内容について語っています。
金髪筋肉塚ちゃんです?それはそうなのだろう。だけどそこに、カッコでこう付け足したい。(役者としてもすごいです!)。役者塚田僚一のこの先が、楽しみでなりません。
塚田さんのお人柄について、こうやって褒めて頂けているのは非常に頭が下がりますね。また、ご本人が積み上げてきた軌跡の中の一つなのだと改めて痛感している次第です。
また、女優の岡江久美子さん、作家の角田光代さんはこの「サクラパパオー」という作品に対し非常に愛が深く、だからこそ舞台を楽しみにされているのが伝わってくる応援メッセージでした。
役者のファンにとっても、作品のファンにとっても「新しいもの」として作り出される”サクラパパオー”が、今作になるわけですね。
鈴木聡さんについて
この作品を作り上げた張本人。喜劇といえばこの方、と言われているそうです。
どんな方なんだろう、って思っていたのですが、この告知ムービーを見る限り大変明るくて頭の回転スピードがめまぐるしいタイプの方なのだろうと思います。
で、調べてみたらこの方、ホンダのステップワゴンのキャッチフレーズ「こどもといっしょにどこいこう。」を作られた方でした。
知らない方は是非調べてみてください。オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダをあれで覚えた人はきっとすごく多いでしょう。私もだ。
後はV6的な意味では「ほっとけない魔女たち*7」で三宅健さんがお世話になっていますね。あれはあれとして非常にコミカルで群像劇として楽しめました。
中屋敷先生について
今回の演出を担当されたのは柿喰う客*8でおなじみ中屋敷法仁先生。先生って呼んでるのはついつい私が勝手に呼んでるだけです。通称「屋敷さん*9」。
私は彼の演出する芝居については多分割りと見ているほうです。柿喰う客でいえば稲葉友くんが出たときにうっかり見に行ったし、朗読劇でいえば「僕ヶ原*10」にいったりとかしています。
っていうか中屋敷さん84年生まれ?!え?!すっげ若くない?!!と震えています。びびったびっくりした。
最近だと「黒子のバスケ」通称黒ステ、「ハイキュー!!」通称ハイステが有名ですね。ちなみに黒子のバスケは中の人(いわゆる声優)である小野賢章くんがそのまま黒子っちをやっているのが話題になりましたね。
ハイキュー!!については本当「人にやさしく」とかでおなじみ子役と言えばの須賀健太くんが主演なわけですが、えっこんな大きくなって…という衝撃。とんだ親戚の人みたいな気分にさせれました。が、めっちゃいい舞台だった。また見たい。及川さん実在した。
屋敷さんの舞台について面白いのはあんまりセットをガンガン使うタイプの演出をしないのが特徴的です。少なからず見に行ったものどれもこれも、あんまりセットに頼らず、役者をガンガン見せる人、という印象です。
それもそのはずで、屋敷さんという人は、基本的に「俳優の芝居」を見たいお人です。いつかのイベントで屋敷さんはなぜ演出家になったかという問いかけに対して「僕が俳優を一番近くでみたいから演出家になった」ということをコメントしています。
門外不出、「今月の宮下雄也」でのトークショーで同じく演出家・脚本家の御笠ノ忠次さん*11とかと話しているのを見て「本当毎回このお兄さんは面白いな」としみじみしたものです。そもそもあのトークショーイベントが大分斜め上っていうか「こりゃ表に出せないね!!!そうですね!!!」ってなるからしょうがない。気になる人はぜひともイベント行ってみてもらいたい。大分ぶっちゃけすぎてて「セーフなわけがない」ってハラハラします。
なお、御笠ノさんは話しているの見たらすげえ尖っててそういうところめっちゃ好きです。
屋敷さんのここがすごいぞメモに戻りますが、
って感じです。
なので「中屋敷さんが演出家だってよ~」と言われたときに私はまぁ橋本君のファンのくせに「やったー!!いくいくー!!!」とウチくるのノリで返事していました。しょうがない。舞台はそれはそれでこれはこれだ。
ということで、そんな屋敷さんですが、演出家としては割りとSです。ドSです。一つ一つにコンセプトを持ってどういう意図で、どういう考えで作っていくのかパズルみたいに組み立てていくので、割りと頭の中の脳みそ見てみたいタイプのお人。
――稽古が始まって8日目ですが。片桐 8日目で台本置いて通し稽古って...ねえ?
全員 あははは!
片桐 狂気の沙汰ですよ。今、カーテンコールまでやりましたからね! (演出の中屋敷さんは)なんか狙ってるんじゃないかと思うんですよ、僕は。普通ではやらせません、みたいな。
中島 怖いですね(笑)。
塚田 開幕の頃には違うものになってるかも...。
狂気の沙汰と言われる始末!!!(笑)
でも「優しい」「面白い」と言われることが多い屋敷先生です。
というか実際超優しいんですけどね。お話してること聞いていると。でも絶対稽古場では「皆をびっくりさせてやろう」みたいなのがTwitterとかでにじみ出てるのでこの人Sだな、って思いました(笑
――中屋敷さんの演出はどうですか?
黒川 すごく的確でわかりやすいですし、やさしく教えてくださるので。もっともっとがんばろって向上心を盛り上げてくださる方です。
中島 お稽古場の雰囲気もよくて。
黒川 いいですよね。
中島 コメディだし脚本が面白いっていうのもあって、笑いが絶えないです。(同上)
顔合わせの現場は特に分かりやすいですね。お人柄が出ています。
めっちゃ和やか!めっちゃ穏やか!っていうかあれ……?
ピンクパンサーがいない!?!!!!!
嘘だろ承太郎……嘘だと言ってよバーニィ……といろいろ震えたんですが、ちょっとそのへんどうなのか聞きたい…どういうことなの屋敷さん…この数年間でピンクパンサーとお別れしちゃったの…とふるえています。
でもコメントの「世の中人間の力でどうこう出来ないものもある」っていうのは思わず吹き出しました。かけてもかけても当たらない。ギャンブラーあるあるですね。
思わずそこから続けて思い出したのはえびチャンズーの「義務じゃない教育」*13。
3G「Gentle、Gap、もうひとつは?」って聞かれたときに机をバーン!と叩いてですね。超自信満々に言っていた人がいましてね。
その答えが、「ギャンブル!!!!!」でして。
まぁ誰がいったって、A.B.C-Zの赤なフロントマン・橋本良亮くんなわけですけど。
そんな彼の姿が頭をよぎりました。
あの時の橋本君、超ドヤ顔で言ってましたね。やだよぉそんな男に求める3か条!!!(笑)*14
感想
そもそもホームページめっちゃ凝っている
最初に見た時「なにこれすごい」でした。ホームページの装丁がとても、競馬です……。
下馬評も含めて、競馬新聞を意識しており、あらすじのフォントから始まりーの俳優一覧についても説明が面白い。レースの馬の紹介ってこういう風になっているんだーと普段まったく読まないからこそ新鮮で、「へええ」って思いました(笑)
短評でいえば塚田僚一さんは「疾風怒濤*15」。……男・長谷川健太*16?日本語で言うと激しい、ってかんじなのかな。でも勢いがあるという意味では塚田さんによくよく似合っていますね。
競馬場を舞台にした群像劇
中屋敷さんのお芝居久しぶりに見にきた!塚田くん+中屋敷さんって時点でそわそわするわけですが( ˘ω˘)たのしみだー! pic.twitter.com/Cm5N30UEcE
— あまなつ (@amanatsu0312) 2017年5月14日
お芝居の中でこれはどれに枠組みされるのかと言われると「コメディ」は間違いないのですが、それじゃあどういうコメディかと言われると、座長が塚田さんとはいえ、群像劇である印象でした。
誰かが「主人公」というよりも「皆が主人公」である印象。それこそ12人の優しい日本人みたいなね。ぐるぐる目まぐるしく立ち位置と同じように変わっていく。
また、元々が「小劇場」からのスタートであることを鈴木さんは話しており*17、興味深いです。
小劇場からパルコへ、そして今回の国際フォーラムへ。次から次へと人の手で大きくなっていくその様は面白いですね。
「リアリティ」と「ファンタジー」の共存
この作品は「割りとよくありそうな」人々の物語でありながら、どこか「あり得ない」を組み合わせたダメ人間の集合体のような物語です。ヘレンみたいな魔性の女はいるかもしれないしいないかもしれないけれど、競馬というものに対して嫌悪感(ギャンブルが嫌いな女の人)は絶対いるし、逆に競馬という泡沫の世界を愛しているヒトもいる。
そういういろんなものを組み合わせて「すこしふしぎ(S・F)*18」が成り立っているような印象です。藤子・F・不二雄先生の世界かな?(笑)
中屋敷 僕は常々、競馬と演劇は似ているなと思っていて。この俳優さんが出ているならどんな小さな役でも観に行こうと追いかける気持ちって、勝ち馬だけじゃなく好きな馬を応援したくなる気持ちと似てるなと思うんです。あとライブのものに夢を託すとか、人生観を投影するのも似ている。だから今回も、競馬場のあの熱狂を、キャスト1人ひとりが巻き起こせたらいいなって思っていて
(同ページより)
言ってしまえば競馬も、舞台というのもの水物なんだよなあと思います。
屋敷さんの指摘するように「舞台にいく」用途なんて人それぞれぜんぜん違うわけですよ。
俳優が好き/舞台そのものが好き/演出家が好き/ストーリーが好き。そんなん人によって違って当たり前で、シュレディンガーの猫じゃないけど、「見てみないと分からない」「やってみなくちゃわからない」という意味では競馬ともちょっと似ているのかもしれないですね。
これはサッカーとかもそうですけど、やっぱり「その場にいるという臨場感」っていうのってとんでもなく爆発的効果を持つ何かが絶対あると思うので、そういう人々が熱狂する瞬間、みたいなのはこの作品の中に入っていると思います。
その中に、僅かに入るファンタジーは「スターライト」だからこその、僅かな夢、だと思うのですよね。一夜限りの夢、一夜一代に夢見頃、なんてもいいますしね。
お花の話
黄色いお花がいっぱい!でるさたさんの2次元オタクがよくやるお花の送り方みたいなデザインとてもわかる…やるやる………ってなったから好感度高い pic.twitter.com/6zN3d1I3Ah
— あまなつ (@amanatsu0312) 2017年5月14日
うっかりお花を見ちゃうんですが、さすがのえびチャンズーとデルサタさん。お花の色合いがばっちりです。ちなみに五関くんも同じ日に朗読劇がありましたが、あちらはブルーが主体で「メンバーカラーちゃんと把握しているのいいよなあ」としみじみと。
稲垣吾郎くんから鈴木聡さん、片桐仁さんへのお花もありました。
登場人物で思うこと
片桐さんと屋敷先生の対談でも言っていたとおり*19、この作品に於ける登場人物は軒並みダメ人間です。
「こんなやついねえよ」って思いつつ、「いや、いてほしい」と思ってしまう。「こんな展開ありえない!」と思いながらも、「ありえてほしい」と思ってしまいます。
(同上リンクから)
その中で、どうやって彼らは躍動し、どう考えているのか…っていうのはあんまり描写されないんですよね。
「いつもこうなんだ」っていったり、弱気だったり強気だったり、浮気したり、愛人だったり、人形町のモナカ「うさぎや」って言ってましたけど東京でも名だたるどら焼きのあのうさぎや*20なのかなあ。上野のうさぎやさんが好きです。
まぁそれはそれとして。パンフレットで中屋敷さんはこの舞台に対してシェイクスピアと同じく「人を許す」物語として称しています。実際その通りですし、しっちゃかめっちゃか動き回るけれど彼らはいたって真面目で、それはどこかシリアスな笑い*21にも通ずるものが有る。人生はクローズアップしたら悲劇、ロングショットでみたら喜劇ってチャップリンもいってるわけですけど、まさに的場は悲劇と喜劇を積み重ねているなと思いました。
まぁちなみにチャップリンは”Life can be wonderful if you’re not afraid of it. All it takes is courage, imagination… and a little dough."*22なんて言葉も残していますね。
これ、改めて見てみるとちょっと本作にも関わって言えることだと思います(笑)
だから8人がそれぞれの色んな形で出会い、別れ、また日常の中に帰していくところはどこか面白い。
競馬場っていうのは【大人のテーマパーク】っていう言葉がありますが、そういう意味でも夢の国、泡沫なんですよね。勝つか負けるか、は勿論大事なんですけどそれだけじゃなくて、その場所に「いる」ことに意味があるというか。これは本当にライブとか、コンサートとか、試合とか、いろんなものにもつながっていると思います。
結局彼らの現状として的場さんはお金を返したけれどヘレンとの関係はつながっていて「こいつ…またやるぞ…」っていうダメ人間みあるし、今日子ちゃんは「大穴かもね!」っていって田原くんのこと許しちゃってるけどいつ田原くんがもっとダメになるかもしれない。
ヘレンと幸子さんは仲良くなってるけど、旦那が死んだこと、愛人だったことは消えないし。さらに言えばあのサラリーマンのおいちゃんが予想屋に4万9900円ぶん取られた事実、負けたことも変わらない。
それでも彼らは「一瞬」を見に来るんですよねえ。その一瞬の、馬が走るキラキラを求める。
それって、私達が何かに夢を重ねることにも似ているなって思います。まさにトゥーンタウンパーティーですね。Cartoon Herosかな。Aquaかな。
名曲なので皆さん聞いてくれ。私はこれを聞くたびに遊戯王のペガサス編を思い出すんだ某MAD*23のせいで。
演出としてはステージを役者が本当に飛び回り、行き来し、ある意味ですごく「中屋敷さんらしい」なあという印象。
幸子さんが「ぼーっとしてる!」「間抜け男!」とやり取りするところとか。動きとか。そういうこまごました所での笑いの落とし方というか、が脚本に既にあるとしたらそこに色づけていく流れが面白かったし、柿喰う客でよくみるような雰囲気もあって、楽しかったです。塚ちゃんは相変わらずアクロバットだし、黒川智花ちゃんのブチギレ芸もとても良かった。
しかし一番印象に残ったのは永島敬三*24さん。柿喰う客に所属されている俳優さんなのですが、中屋敷さんいわく「他の人が言うと、くどくなってしまう台詞も永島敬三くんが言うとすんなり流れる「無味無臭さ」が売り」*25とおっしゃる通り、本当にイヤミがなくて、すんなりとはいってくるかたでした。
また、実況という正直一番大変なセリフ量を、まったく噛むことなく、すんなりと、かつ役としてやられるのがたただたすごいとしかいいようがなく圧倒されました。
舞台として上段に立てるのは実況である永島さんだけで、下段には8人が動き回っている中で、みんなおそらくメインに目を向けるのは8人であるべきなのですが、私はついつい永島さんを見たりしていたのですが、それがすごい。あ、この人なじませるお声でなじむように芝居して、でもすっごい浸透していく、っていう。もうなんかお茶漬けみたいな人だなと思いました(説明下手)
聞き取りやすいし、流石に落語を趣味にあげられているだけなことはあるなと思いました。
初座長による大盤振る舞い!
(ありがとう座長…!!) pic.twitter.com/oFDdc9Pbfk
— 中屋敷法仁【5/16サクラパパオー仙台】 (@nkyshk) 2017年5月13日
叙々苑のカルビ弁当じゃないですかと速攻で特定されるあたりジャニーズファンすごい。
塚ちゃんと言えばお肉大好きマンなので、その辺も含めてなるほどなってなるのと後輩に焼肉弁当おごったトークは少年倶楽部とかでもお話されていたので、そのへんも含めてなんだかほっこりしました。さすがの塚田僚一。
「家賃大丈夫ですか?」って聞かれたりするけれど、そういう意味でも気配り屋さんなんだろうなあ。今月のお家賃大丈夫ですかってファンに言われるアイドルってすごい。
ファンからも後輩からも心配される当たりマジ塚田僚一塚田僚一。だがそれがいい。
そういえば公式で出ている缶バッジめっちゃポップで可愛かったです。パンフレットの装丁も凝っていたし、すごい読み込みたくなるような内容でした。
舞台アドリブについて
どこからどこまでがアドリブか今回初見なのでまーーーーったくわからなかったんですが、取り敢えず最後のご挨拶のときに皆が皆して「塚田僚一です!!」って塚ちゃんごっこしているのが非常に可愛かったです。
女性陣が足あげようとする可愛さ。体柔らかいって羨ましい話ですね。
男性陣のハナからやらねえよ!!感。和やかでとてもいいですね。
彼らにとってとてもいい舞台であったなら何よりだし、見ていて泡沫の夢だからこそもっともっと「踊る阿呆に見る阿呆、同じアホなら踊らなきゃ損損」ってなってくれるぐらいの大騒ぎに最後の大千秋楽にはなっていてくれたらいいな、と思います。
好きなセリフについて
色々良いセリフだったな、と思う部分はあるんですが、印象に残ったのは「ボンレスハムレット」ってネーミングセンス。そのネーミングセンス嫌いじゃない。早打ちロミオもいい。銀魂でおなじみ競馬馬「ジャスタウェイ」*26かな?ってぐらい嫌いじゃない。
でも一番好きなのは、やっぱり「桜散って、春来る」かな。じんわりきました。
そういえばレースの名前で面白いものと言われると笠松記念?のときのFC岐阜だらけネタが大好きです。
意外と冠レース名って色々やってるみたいですね。競艇の方ではさや姉のデビューお祝いの名付けとかもありましたし、そういう意味でも面白い(笑)
名言といえば「田原くんが友達夜中に連れてきてもお布団敷いてやるぐらいのことしてやるわよ!!!!」ってのも好きです。今日子ちゃんと田原くんの最後の会話は見ててほっとしたような、なんかどことなく「今日子ちゃん頑張ってな」という気持ちにもなるというか。そんなかんじで、非常に面白かったです。
多分、今の塚田僚一くんが出来る精一杯を詰め込んで、いろんな外部の舞台で活躍される方々、コメディアンコメディエンヌの方々と知り合うことによってたくさんの影響を受けていく作品ではないかと思います。長い長い人生の中でその一瞬で変化のスイッチが押される瞬間みたいなのがあるといつも感じているのですが、ひとつでも何か変わった、得たものがきっとあったに違いない。そう感じるようなお芝居でした。
「荒馬のくつわは前から*27」なんてもいいますが、さらにさらに、もっともっと、ってなってくれたらいいなあと感じるばかり。これからさらなる地方公演皆様がんばってください。
そんでもって屋敷さんは塚田さんにとって「生きていることが楽しそう」っていうような人でいてほしいといっていて。それがすごく印象的でした。
中屋敷さんだけじゃなくて、鈴木さんや、たくさんのスタッフの方々とまた是非お芝居で道が重なってくれたらいいなと願うばかりです。
後日談
全然関係ない話なんですけど、会社の人がタイムリーに今日子ちゃんのごとく「100円だけかけてきた」って遊びでやったら1万5000円をぶち当てる案件がありました。
会社の人が気軽に100円で買った万馬券が1万5000円ぐらいになった笑 って話してて完全にサクラパパオーやんけ……と震えた
— あまなつ (@amanatsu0312) 2017年5月19日
今も昔も結局そのへんは気軽にビギナーズラックでやってみると当たるものなのかもしれませんねえ。
娘さんとお誕生日が一緒でなんかノリで買っただけなんだけど~笑 って言ってたので、そういうものなのかな、とも思います。
*1:中井貴一、男性だらけも「意外にさわやか」--蜷川舞台『十二人の怒れる男』 | マイナビニュース
*2:ラッパ屋公式サイト:http://rappaya.jp/
*3:2001年:パルコ劇場/サクラパパオー
*4:榮倉奈々主演、東京都の下町である佃·月島界隈を舞台に、ダンサーを目指す20歳のヒロイン·瞳が里親となり、3人の里子たちと向き合い、心を通わせる話。満島ひかりが出ているよ!須賀健太もいるぞ!
*5:1999年の朝ドラ。竹内結子主演、女性和菓子職人の修業と挑戦をテーマに、奈良と京都を舞台に、和菓子の伝統的な世界に旋風を巻き起こす和菓子職人・あすかの物語
*6:http://www.parco-play.com/web/play/sakurapapao-/comment.php
*8:公式ホームページ:http://kaki-kuu-kyaku.com/
*12:中屋敷 ピンクパンサー - Twitter Search でTwitterで検索するとよく分かるよ!
*13:2017年4月9日放送回「モテ男になろう」回より
*14:正解は「Gouin(強引)」でした。分かるわけがない
*15:ドイツ語の「シュトゥルム・ウント・ドラング(Sturm und Drang)」の和訳。四字熟語になって定着していますがゲーテやシラー時代の頃に呼称されたもの。「嵐と衝動」。
*16:清水エスパルスではキャッチフレーズがついているのですが、長谷川健太氏は「疾風怒濤 男 長谷川健太」でした。
*17:「サクラパパオー」鈴木聡×中屋敷法仁 (1/2) - ステージナタリー 特集・インタビュー
*18:世間一般的に言うSF=サイエンス・フィクションとは違う『ありふれた日常の中に紛れ込む非日常的な事象』をテーマとして扱うジャンルとして定義されている
*19:片桐仁×中屋敷法仁対談 現代の不寛容さに「コメディー」で対抗 - インタビュー : CINRA.NET
*21:バクマン。で言ってた「思わず笑ってしまうが、本来は真剣にカッコいい場面」「作者は笑いを取りにいってるつもりはないはず」「少なくとも子供は笑わないし感動すらする」ところ
*22:「人生は恐れなければ、とても素晴らしいものなんだよ。人生に必要なもの。それは勇気と想像力、そして少しのお金だ」
*23:遊戯王 CARTOON HEROES by ashikubi - ニコニコ動画
*24:永島敬三 (@nagashimakeizo) | Twitter / KAKIKUUKYAKU WEB | 永島敬三
*25:2012年11月25日の舞台『ときめきラビリンス』のアフタートークより。
*27:困難なことには思い切って大胆にぶち当たれ、ということ