柑橘パッショナート

インプットとアウトプットを繰り返すごちゃまぜスタイル

再演された「にんじん」を見てきました。/大竹しのぶの演じる”14歳”を体感!

はしパラがあったりとか、ツアーコンサートがあったりとか、いろんなことがあったわけですが、そのうえで精査して自分なりに感想を書かなければいけないものがたくさんあって(自分なりの気持ちの整理とも言う)

その中で「じゃあお前が今一番感想をウオオオオオと伝えたいものは何だろうね?」と自問自答した結果、「にんじーーーんらぶいえーーー!!!!」

 

 

にんじんってことで突然のランカ・リー*1

ちなみに私はシェリルが好きでした。でもランカも好きです。どっちも違ってどっちもいい。

アルト君なんかほっといて二人で幸せになるのが一番最良の手なのではないだろうかとかアニメシリーズでは思った組です。

なおマクロスプラスと7に関してはもう色恋はどうでもいいわ!というぶん投げている感じが好きです。7についてはミレーヌはそろそろバサラをグーパンしてもいい。ミラージュも好き。あれなんか結局好みが分かりやすい。真面目系ヒロインはたいてい好きです。できる女はいいぞ。かっこいいぞ。最早何の話だ。

ということで、「にんじん」の感想をつらつら語ろうと思います。

新橋演舞場にいったのはなにげに昨年の滝沢歌舞伎以来。

このブログ書き終えたら「はしパラ」と「ツアコン大宮」の感想を書いてえびのコンサートの総括を…私なりに…振り返りたいんだ…(やれるとはいっていない)(希望的観測あるある)

 

にんじんとは

『にんじん』(仏語:Poil de carotte)は、1894年に出版されたジュール・ルナールの中編小説が原作。ジュール・ルナールの実体験を元に書かれているとされています。

 

にんじん (新潮文庫)

にんじん (新潮文庫)

 

 

フランスの片田舎を舞台に、にんじんのように真っ赤な髪、そばかすだらけの顔をした少年“にんじん”とその家族の物語。

巨匠ジュリアン・デュヴィヴィエ*2によって映画化(1932年)もされています。

 

にんじん [DVD]

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そして過去には大竹しのぶさんによって38年前舞台化がされておりましたがこの度再演となりました。

 

www.youtube.com

 

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ストーリー

「まっ赤な髪で そばかすだらけ そうさぼくは みにくいにんじん!」

 ここは、フランスの片田舎の小さな村。まっ青な空、濃い緑の森、そして澄み切った小川の流れるこの村では、今日も村人たちが楽しそうに歌っています。でもその中にたった一人、仲間はずれの男の子がいました。それが、にんじん(大竹しのぶ)。

 にんじんのような真っ赤な髪、そばかすだらけの顔、だから父親のルピック氏(宇梶剛士)や母親のルピック夫人(キムラ緑子)までが、“にんじん”と呼ぶのです。にんじんだって、フランソワと言う名前があるのに…………。

 にんじんには、婚約者マルソー(中山義紘)との結婚式を控えて夢中の姉エルネスティーヌ(秋元才加)、甘やかされてわがままに育った兄フェリックス(中山優馬)がいますが、二人ともにんじんには無関心です。それぞれが勝手気ままの家庭に、新しくルピック家に女中としてやってきたアネット(真琴つばさ)もあきれる始末。

 誰にも愛してもらえないにんじん。みんなにどうでもいいと思われているにんじん。だから、どうしてもひねくれてしまうにんじん…………。そんなにんじんの数少ない友達の名づけ親(今井清隆)は、にんじんを優しくなぐさめます。

 ある夜、ルピック夫人の銀貨が一枚なくなるという事件がおこります。夫人はにんじんを泥棒ときめつけ、はげしく責め立てるのですが―――。

(公式サイトより)

 #ファミリー劇場とは……?

といいたくなるほどのどちゃくそ重たい概要。え、なにこの小公女セーラもびっくりメンタルゴリゴリやられるかんじ。レ・ミゼラブルのコゼットもセーラも本当の家族じゃないからまだ堪え忍べたけどにんじん実母からこの仕打なのなにこれしんどい。

 

感想

1幕と2幕の幕間の段階で「メンタルがやばい」と友人と揃って真顔になっていました。これ…おい…私の後ろにキッズいるけど大丈夫か……いやとっても面白いよ面白いけど世の中理不尽だなと思いました。しんどい。

ただ、決して全部が全部マイナスというわけでもなくて、こう適度にプラスな要素があって、そこから突き落とされるからしんどーーってなるわけで。

印象的だったのは素直ににんじんに懐き倒している少女、マチルド。はやく結婚しよう!ってにんじんのことが好きで好きでしょうがない女の子が出てくるんですが、この子役の子、びっくりするぐらい「ウフフ!」っていう声が声優さんでもびっくりなアニメ声を出されていて、「こんな手本みたいな芝居が出来る人が世の中いるのか」と嬉しくなりました。しかも決して大竹しのぶ氏に引けを取らず、堂々としていてるのが印象的。

マチルドってきっと彼にとって光で眩しすぎるもので、自分が失いつつ有る何かなのだろうなあ。どす黒い大人たちの悪意とか、いろんなものと、いたずらしないと存在できない自分の立ち位置との葛藤の果てにマチルドいたらそりゃあ少女にすがりたくなるよなあしんどい。

この芝居って当然大竹さんが視線をかき集めているものだとは思うのですが、彼女だけが引っ張っても仕方がなく、彼女の周りの役者陣の底上げも当然ながらマストになるわけです。

「ミュージカル」「音楽劇」の中でにんじん、もとい、フランソワが見出す虚無感といったらない。

原作の終わり方について調べたら「ネグレクト怖い………」っていうひたすら震える流れなんですけど、流石にこちらの音楽劇では良い…というか、「そうする」と決めた彼の意思が出来上がっていくさまが見れたと思います。

「誰も僕を愛してくれない」と言いながら、「ひとりぼっちだ」といいながら、彼は「でもそれは自らが選んだひとりだ」という風にいい、進んでいきます。

美談みたいになってるし一人の男の子の夏の終わり、自立、になっているけれど、余りにも人生ハードゲームすぎるし作中で自殺しようとした過程が3回はあって。もうなんか「しんどいわ!!!14歳の男の子にこんなん強いるのきっついわ!!」って\強いられているんだ!/*3のメンタル。きっつい。

 

なお今回見に行きたいきっかけになったくれた中山優馬くん(なにげに運動会でうっかり見かけてぶり)ですが、1幕では喉の調子悪そうでしたが修正きかせていたのと、後ろの方での動きが印象的でした。母親に愛され甘ったれになりながら、それでもどこか「自分ではなくて弟ばかりみている」という思春期真っ只中の苦悩と葛藤を持った面倒臭さ。フェリックスの心の闇もまた深いのだろうなあと焦点を当てればどんなふうにでも描写できるなと思いました。

なおこの作品における最低じゃねーか!!ってなるのはもれなくフェリックスなんですけど、でもフェリックスに関しては最後家の金全部持ち逃げして「あばよ田舎ァ!!!!」つって飛び出すわけです。

見ながら思ったこと「あいつ………絶対パリいっても挫折すんぜ………」。

ただフェリックスに関してはさんざん甘やかされて育ってるしそれをわかっている部分があるんですよね。彼は彼できつく当たられない代わりにないものねだりで「いじめてもいい存在」のにんじんが、彼女に虐待を受けているのをあざ笑うくせに、「あの人はお前しか見ていない」という。何その負のループ。その状況でにんじんを見る目が結構切なくて、葛藤が見え隠れするので良い芝居だな、と思いました。父親を前にしたときに「母親には溺愛されている」のに、の温度差が感じられて、あ、彼もまた苦悩して被害者の一人なのだろうなと思うような表現が印象的。

まぁだからといって同情するよりも「こいつもうだめだ!!!」のほうが強いけど。そういう演技ができるっていいなって思うので、彼のもっといろんな芝居が見てみたいなと思いました。舞台が中心なのだろうか。WOWOWでちょっと前にドラマにでていらっしゃいましたよね。機会があったらもっと見てみたい子の一人です。

 

ルピック夫妻の立ち位置もなんとも言えないものがあります。まぁだからといって自分の子供に「ルピックさん」「ルピックさんの奥さん」って言わせるのはちょっとウワァ……ウワァ……丁稚奉公に出した挙句に赤の他人になった江戸時代のお話かな……?!と胃痛がしました。

 

戦争の敗戦国となったフランス。ルピックさんはそれまで持っていた精悍さが失われ、溌剌さもなく、ただ黙々としている。

ルピック夫人は

敗戦国の人間

・精神的に疲れ切っている夫を支えろ

・子育てちゃんとやれ(小さな子供3人)

でのメンタルがやられた結果の躁鬱状態だとは思うんですが、結果的に面影があって一番弱者であるにんじんにあたるという負の連鎖。

キムラ緑子さんに関してはこういった人と人との感情に対しての機微が非常にお上手な印象です。

ごちそうさん*4でも夫婦間に悩んだ結果屈折してしまったお姉ちゃんの役をやっていましたね。私はあのイケズなねーちゃん好きです。しんどいけど。周りにいてほしくないけど。

グレーテルのかまどのかまどのイメージ強いがなとか色々言われますが(安定のNHK好き)お芝居をちゃんと見れば見るほどこの人本当に舞台だと存在感を放つ人だなって思いました。

 

mopkimura.exblog.jp

瀬戸丸に「行ってらっしゃい」と言われたの可愛すぎではないでしょうか。みんな大好き瀬戸康史。私も大好きです。テニミュだし。キバだし。いろんなところに出ていますね。そういえばせとまるも朝ドラ出てましたね。成澤先生素敵でした。

 

演出家の栗山民也さんは本当なんというか人の闇、というか、心の闇を表現するのがうまいなあと思いました。あの、ファミリー劇場…?といいたくなる1部冒頭バケツに顔を突っ込むところ。あれガチで水バッシャアアアアに「なん…だと…」ってなったし、挙句に言われる言葉しんどいし。

本がしんどい上に心をえぐってくる演出をされるなと思いました。最後のパーティから自室にいくまでの流れ、しんどい!!シルエットだけなのにしんどい!!ってなりましたし。

まぁ一方で そのダンサーの存在意義とは…ととても気になる冒頭から出てくるアンサンブル唯一のダンサー。誰や君は・・そしてまさかの結婚式では踊らない。なんでだ!!!(笑)アンサンブルに関してはアンサンブルを見ることで時代背景を把握できるかなという前情報あんまないところでみていったんですけど。

 

なんか駐在さんみたいな人いる。(昭和っぽいぞ)

でもなんかおしゃれな人もいる(レトロコーデかわいいぞ)

中山優馬くんのお兄ちゃんもなんかちょっと現代人ぽい(フライヤーのお衣装がすでになんかこう…どっかの営業さんみたいだなって思った(ごめん))

 

なんでだよ!!!!(笑)とツッコミ所はいっぱいありましたけど、それでも最終的に面白かったし自然とスタオベになっていました。宇梶さんワンダーコアのイメージばっかりだったけど、お芝居印象的だったなあ。わんこに対してとにんじんに対しての温度差と、なんていうか社会的な人から見られることに怯えている感じが人間味溢れてて言えることは「総じてクソだな!!!!!」ってペルソナ4の某キャベツ刑事が世の中クソだな!っていいそうな気分になりました。

今井さんの名付け親のおじさんはなんかこう……ハイジでいうアルムのおんじみたいな感じで導き手で、彼にとっての憩いのなんだろうなあって思いました。それでも実の親がいい、という子供の心とのギャップしんどい。もうなんか言えることが「しんどい」しか言えない。

しかし見ていて大竹しのぶさんの年齢をうっかり忘れるレベルのお芝居でした。

真琴つばささんのすらーっとした格好でのやり取りも良かったなあ。秋元才加さんは中山優馬くんよりもにんじんに対してまだ「同情的」な部分があるのか、というかフェリックスの嫌な奴っぷりをちゃんと知っているからか結構彼にもズケズケ言ってました。夢見る少女、という意味でウエディングドレスについて真琴つばささんと二人で歌っているところ可愛かったです。足ながい、細い。かわいい。

 

個人的に好きなのは夕食をはじめよう、の唄の温度差。穏やかなときとそうじゃない時のピリピリ感。こうあったらいいな、の後ろでの彼らのやり取りが興味深い。

そして「調子にのるなよ」っていう現実に突き落とす感じしんどい。もうなんかctrl+Fで「しんどい」って検索したら何個出てくるかなってレベル*5で今回の音楽劇について「しんどい」しか言ってない気がする(笑)

でも見に行って面白い舞台だったなあと思います。原作の終わり方のネタバレうっかりふんで「この世は闇しかないのか!!!!!!!」って頭抱えている今日このごろです。そのうち読んでみますね…つらい……心がつらい…。

 

ごはんの話

 

“滝沢歌舞伎2016”のときもご飯食べましたけれど、今回の「にんじん」でも特別なお弁当が出るらしくうっかりまぁ、ホイホイ買ったよね。ぶれなかったよね!!(笑)

にんじんの炊き込みご飯とか、もう作品の「にんじん」に合わせたものが目白押しでニコニコしながら食べていました。休憩時間が他の舞台と同じくきちんとあるのでゆっくり食べられるのが良いところ。洋風なお弁当でした!ローストビーフ美味しい!巻かれたやつ美味しい!(語彙力のなさが悲しい)

もうちょっとしっかり食レポ用に食べればよかったなって思ったんですが一緒に入った友人と「大竹しのぶすごいわ~~…この世は鬱だわ~~」っていいながらしみじみ食べていましたとさ!!(笑)

*1:にんじん Loves yeah!のせい

*2:アンナ・カレニナとか撮っています。最高級に美しいヴィヴィアン・リーが見れるからおすすめ

*3:機動戦士ガンダムAGE』に登場するイワーク・ブライアの言葉

*4:2014年朝の連続テレビ小説

*5:試したら合計14回言ってました。言い過ぎである

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