柑橘パッショナート

インプットとアウトプットを繰り返すごちゃまぜスタイル

岩田剛典主演映画「去年の冬、きみと別れ」を見てきました

映画行くときってすごい纏めていくくせにぱたっと止まると動かなくなるってままある話ですよね。

今回は映画が好きな友達に「去年の冬、きみと別れ」が面白かったと熱弁されて、映画館で予告編を見たときに「あー、へー、ふうん」とめちゃくちゃ薄い反応を返していたにもかかわらず、其の人に言われたのもあって「じゃあ時間があったら見てくるかなあ」と思いたちました。

結果、「ちはやふる-結び-」を見終えたらそのままハシゴが丁度できるタイミングだった&お値段がその日丁度やすかったため、「こりゃあ流れでいくしかないな」というテンションで行ってきました。

なので、「予告編を映画館で見ていたぐらい&さほど興味を抱かなかった流れだったので八割くらい予告の流れを忘れていた」「知識超絶薄い」「そもそもでてくる人斎藤工ぐらいしか知らなかった」ぐらいのペラッペラ知識の中でみにいった結果のお話です。

 

※ネタバレしているのでご注意ください

概要

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去年の冬、きみと別れ

3月10日から公開が開始されたサスペンス映画。

王様のブランチとか色んな番組で告知に出ていたらしいです。

wwws.warnerbros.co.jp

上映時間は119分なので、だいたい2時間ぐらい。

原作は幻冬舎から出ている、中村文則氏の小説。文庫版にもなっているようです。

去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)

去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)

 

中村氏は「最後の命」「火」などがすでに実写化済み。最後の命は柳楽優弥、火は桃井かおりと、こう、なんていうか「個性強いな」って印象の人たちが主役をされてます。ちなみに2018年1月には「悪と仮面のルール」を玉木宏が主役でやっていたそうです。

私は中村氏の映画も作品も触れたことがなかったので今回が初。

どんな話を書くのかも、この作品がどんな物語なのかも知らないまま見てきました。

あらすじ

松田百合子(山本美月)と婚約しているルポライター耶雲恭介(岩田剛典)は、猟奇殺人事件の容疑者である天才カメラマン木原坂雄大斎藤工)のスクープを狙っている。この事件は世間を大きく騒がせたが、真相はわかっていなかった。耶雲は事件を解明しようと奔走するが、百合子が木原坂の標的になり……。

キャスト・スタッフ

主人公である耶雲恭介(やくも・きょうすけ)に、三代目J Soul Brothers(以下JSB)、EXILEのメンバーの岩田剛典。

今までの出演映画で言うとどちらかというとキラキラ王子様みたいな印象が強いです。「植物図鑑」とか。また、ドラマで言うと「ディア・シスター」*1みたいな、線の細い、中性的なポジションの印象が勝手にありました。

 

そんな耶雲が追いかける天才カメラマン木原坂雄大を演じるのは斎藤工。私の記憶の中だとテニミュの忍足*2ゲゲゲの女房*3HIGH&LOWでもそういえば出ていましたね。かの映画については、彼の出演時に色々騒ぎになっていましたね。*4のを覚えています。彼に罪はないしとばっちりなんだけれどね。というか文句言われていたのも彼じゃないからアレなんですけれど。宗教上の理由から見られない人の気持ちも分かる。つい最近齋藤学移籍問題が「大体テニミュのあの一件みたいなもんだよ」って言われてああ…うん…ってなって知り合いのマリサポさんを元気出して…となった年明け。

大分話が逸れましたが、そんなこんなでこの二人が並んで「ああー」と2016年の一件を思い出したわけです。

 

また、耶雲の婚約者に山本美月。「桐島、部活やめるってよ」で東出くんの彼女を演じていたことが一番記憶にありますが、最近だと「ピーチガール」(思いの外伊野尾君が良かった思い出)でも主演を果たしています。女優さんとしての葛藤も色々あったように感じます。彼女に関して言うと記憶しているのは2013年のジェネレーション天国で「エド(「鋼の錬金術師エドワード・エルリック)が本命、沖田(「銀魂沖田総悟)が浮気相手」と言って炎上したのを覚えています*5。ちなみに同じタイミングでKis-My-Ft2宮田俊哉君が全力遊戯王について話していて強欲な壺の話題をしていたのを覚えています*6。ブラマジガールは初恋、わかる。

とにかく彼女に関してはモデルさんなのでスタイルもよく、美人の二次元オタクの印象です。お芝居をしっかりと見るよりも(桐島はともかく)ネット検索してそっちばかり出てしまうのは大変だなあと思うのですが。今尚言われてるってすごいよね、色々と。彼女に関して言うと「モンテ・クリスト伯」を今度ドラマでやるらしいのですが、そのヒロインをされるそうです。FGOじゃんって思った人、言いたいことは分かる。

 

この他、その個性派が評価される北村一輝さんをはじめとした俳優陣となっています。

監督は『グラスホッパー』などの瀧本智行氏、脚本は「無限の住人」の大石哲也氏。

 

感想

「予告編を見なくていい」といった友人の意味がわかった

何を切り取ってもネタバレになるのであれなんですが、正直記憶の中から全部予告編覚えていなくて良かったなーと思います。

いわゆる策略要素が非常に入り組んでいるので、そういう意味で「どうなるんだ…どうまとめるんだ…」というドキドキ感を持って挑みたい映画でした。

情報は有る種最小限でいい。逆に言うと色々知識を持ってしまうと「これはこうでこうなっちゃうんだよね~」っていうのになってしまうんだろうなと思いました。どこまでの線が何なのかという部分が非常に曖昧で物語を突き進めるからこその良さがあるんだろうなと思いました。有る種映画版の「ピンクとグレー」みたいな。そんな印象です。

 

冒頭「あれっ」という違和感の正体が中盤に差し掛かって「ああそこで章がはじまるのか」という納得がありました。原作の描き方がどういう流れで始まっているのかはわかりかねますが、この映画の中だけで見るとよく出来ているというかなるほど~というか。

 

岩田君の印象が変わった

私はいわゆる「役者」としてのお芝居でしか知らないので、普段どういう人であるとか、どういったパフォーマンスをしているのかという知識は限りなく0に近いです。

其の上で、「普段のイメージ」(=お芝居のイメージ)と今作に於いてはスイッチの切り替わりが非常に良かったなと思います。

「耶雲」の表情から「中園」になるまでの切り替わりが良かったことと、どういう流れで撮影をしたのかはわからないのですが、まったく違う人に見えることが印象的です。

言ってしまえば植物図鑑から数年を経ているわけですが、お芝居として非常にクオリティが上がっているように思えたし(上から目線で大変申し訳無い)、自分の復讐してやりたい相手とのベッドシーンの流れの絶望が非常に伝わってきていい表情でお芝居するなあって思いました。あそこのシーンの浅見れいなさんの強さが半端ない。

 

私が見て「うええこの人こんなお芝居出来たのか~」っていうびっくりでいうとジャニーズWEST重岡大毅くんの「溺れるナイフ」のお芝居をあげたいんですけれど*7それと同じように全く「ああ、この人お芝居いいね」って思えたのが個人的に収穫です。

 幸せいっぱいの芝居と復讐するところと、虚無の3段階が見られるので彼のファンの人にとっては特に見ごたえがあるんじゃないかなあと思いました。

 

狂気の姉弟の話として

真っ先に思い出したのはBLACK LAGOONの「ヘンゼルとグレーテル」(「Bloodsport Fairytale」で登場する男女の双子で、このエピソードにおける中心人物。其の人生があまりにもエグい。しんどいエピソード。ヘンゼルとグレーテル参照。))なわけですが。超タイムリーに今Amazonプライムで黙々と見直していたせいっていうのもあるのはわかってて、でもじわじわと追い詰めているようでそうじゃないのループはひええ……ってなりました。BLACK LAGOONもいい作品なので見てもらいたい。私は好きです。

 

今作に於けるこの姉弟は、相互依存で近親相姦でもあるわけで。「オンリーワン」であり、彼らは互いに依存しあっているからこそこう、証言者の学生時代の友人の言葉で「おぞましさがある」ってかんじなんですよね。腹の底が見えない。だからこそ「飲み込まれかねない」わけで。

浅見れいな斎藤工のうふふ、あははという笑い方にすら私は見てて「やだー怖いやだー!!」ってビビリなので思っていました(笑)体格差がとても良かったです。

 

そして、彼らに人生を狂わされてしまった北村一輝が演じる編集者に関しては「編集としての立ち位置」と「協力者」としての立ち位置で微妙な綱渡りを繰り広げている中だからこその「あの中では常識人だけれど常識人ではない」立ち位置が視聴者の感覚を麻痺させているのかなあと思いました。

また、なぜ彼が「殺さなかったのか」という点において考えると、「協力者だから」っていうだけではなく、生かして絶望させることを選んだように感じました。復讐は次の復讐を生むけれど、それでも「生かして絶望」での虚無感虚脱感みたいなもの。「お前は化物だ」と叫ぶ彼の印象強さは非常に感じるものがありました。まぁ自業自得だけれども。魂を寄り添いたいと思った存在を見殺しにしてしまった(実物目の当たりにしながら視線をそむけたりしているシーン)を振りかえるとえっぐいな!!と思うばかりです。そういう表情がばばばばっと振り返ったときに刻まれる絶望のときの表情含めて北村一輝さんすげーな……って思いました。

 

芝居って言ってしまえば「嘘」じゃないですか。その嘘の上にさらに「嘘」という形で二重構造で芝居をするっていうことは大変難しいだろうなと思います。

「今演じている人間がさらに演じている状態」ってもはや言っている意味がなるほどわからんだし、その上で芝居をするっていうのは、感情移入で「この芝居をしていた」けれど実際は違うの重ねをどこに向けたらいいのか。完璧に演じていた、つまりA(自分)が演じるB(役)が更に芝居を打つC(中身)なら、AがCをやればいいのかって言われたらそうでもないわけで。このへんこの作品ではよく出来ていたなあと思うわけです。

 

また、土村芳さんのお芝居が良かったなと思います。彼女は「べっぴんさん」でのお芝居ぐらいしか私記憶にないのですが、いいように溶け込んでいて、終盤の岩田さんとの「幸せ」と「絶望」と、色んなものを重ねてのお芝居がよかったです。出番自体は少ないけれど、印象に残る。

そういう意味では山本美月さんの婚約者としての立ち位置も重要な立ち回りである一方で、実際の表情の頷きが印象的。彼女の立ち位置も難しいながらに群像劇のなか良いな~って思いました。彼女の声って凄い元気いっぱいな声のトーンをしているだけに、だからこそ元気がある・ないときが如実に出るのが面白い。

 

 

サスペンスとして見て、ネタバレをせずに見てもらいたいっていうのはもうなんか元も子もないし感想ブログ書いているのにお前…そりゃねーよ!っていうのも分かるんですが。少なからず「期待値3ぐらい」の中で見に行って、「あっ思ったより面白い作品だった」って振り返ります。落ちがどうとか、演出がどうとか、細かい部分もあるんですが、それでもなんだろう…予告編とか先入観とかあんまりなく、物語をページで追いかけるように見に行ってもらいたい映画だなと思いました。

あのキャッチフレーズは「まだなんかあるぞ」を構えてしまう部分が否めないので、私みたいに気楽にいったほうが、多分満喫できると思います(笑)

*1:松下奈緒石原さとみのW主演ドラマ。彼は石原さとみの演じた妹の親友でした

*2:割と今でも忍足がネタにされる部分って彼の影響があると思う。

*3:風景画が得意な水木しげるのアシスタントを演じていました

*4:TAKAHIRO氏の一件が未だに尾を引いてい案件。詳しくは下記サイト参照。 

(1)「HiGH&LOW」を見れないテニミュファンの心の傷について - Togetter

(2)EXILE・TAKAHIROの発言に「テニミュ」ファンが怒り 過去に因縁 - ライブドアニュース

(3)多くのテニミュファンが抱える心の傷について考えること。 - 日々雑感

*5:【Twitter炎上】山本美月「沖田総悟は浮気相手」→総悟ファン「死ね」「血祭りだ」【銀魂】 - NAVER まとめ

*6:当時の感想を書かれている方のブログを見つけたので参照ください。ジェネレーション天国 - ウィンク量産型

*7:大変お芝居がよかったのでうっかりFC入ったことがある。当時の感想:「溺れるナイフ」を見たところ、重岡くんの印象がガラリと変わった件 - 人生日々ハイテンション

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