2回の公演をふまえ、今回ついに大団円とばかりに華やかに好演されている「フォエプラ」ことForever Plaid。幻の公演になってしまった2021年を経て、ブラッシュアップして作られる彼らのハーモニーを楽しみにしていました。
フォエプラとは?という点に関しては2016年の公演にて解説を載せたのでそちらをご確認ください。
オフ・ブロードウェイで好演されたこちらも見応えがあっておすすめ。
キャスト・スタッフについて
メインメンバーの4人は言わずともがな。そしてナレーションはジョン・カビラさんなので冒頭シーンのあの聞き取りやすさったらない。
また、今回のバンドはピアノ:阿部篤志、ベース:三枝俊治、パーカッション大嶋吾郎/大山桂佑(敬称略)で編成されています。大嶋さんはジャニーズの舞台でよく見かける――というか、日本文学の旅でもお見かけしたな、と何やら驚きました(笑)
美術:中村公一 照明:奥野友康 音響:オフィス新音
衣裳:関けいこ ヘアメイク:笹川知香 歌唱指導:大嶋吾郎
演出助手:守屋由貴 舞台監督:村田明
舞台製作:クリエイティブ・アート・スィンク 加賀谷吉之輔
宣伝美術:永瀬祐一 宣伝写真:西村淳
宣伝:ディップス・プラネット HP製作:メテオデザイン
票券(東京):インタースペース 制作:横田梓水 制作デスク:渡辺葵
プロデューサー:江口剛史
さらに、様々なスタッフに支えられて、今作の舞台は出来上がっている事がよくわかります。
公演について
今回の公演場所は本当に多種多様で、幕開けとなる東京公演ではよみうりホールで始まりました。再び東京で凱旋公演をしてくれると思うと感慨深さもあります。
エスカレーターをのぼって、のぼって、検温をして入るとそこはもうプラッズのステージでした。
徐々にエンタメが帰ってきたという実感はありますし、コロナ禍のなかで最初にジャニーズで朗読劇をみにきた場所も同じ場所*1であったな、と何やら感慨深さもあります。
2013.2016との違い
もう何が一番違うって動画が!ネットニュースが!こんなにガンガン出ている時代になっているということが大きいですよね。
ジャニーズ事務所はネット環境に弱い、なんていうのは定番のネタでもありましたが、今ではこうして彼らの言葉をダイレクトに聞き取ることができて、反応を見ることができて「映像を通して」の知ることがテレビ以外にも方法が増えて有り難い次第です。
他の俳優さんのコメント動画が見ることができても、ジャニーズの人は難しいとなっていたなかで、今こうして聞けるのすごい驚きだし有り難いです。
お話の印象
以前見たものと今回見たものに関しての大きな違いとしては2016年はグローブ座ということもあり、登場シーンから何から「!?」という驚きもありましたが、今回は極めて一貫してステージの上で生きる4人の姿が見られたな、というように感じます。
「あの時、事故にあった4人が、あの世とこの世の間で“生きているのかそれともそうではないのか”のゆらぎをもちながら、パフォーマンスをしている」と思うと、何やら、いろんなことを感じてしまいますね。
お衣装は2016年と同様基本ベースは赤。もう6年という時間が経過して彼らを見るのか!という驚きもありましたが、そんな色はまったく見せることなく、一人ひとりが本当に躍動しているパフォーマンスをされていました。
このミュージカルは、先日見たN2Nのように物語があって、どう動いて、感情の起伏があって、ストーリーが進んでいく――というようなものではなく、むしろはっきりと「ここはステージの上なんだ!」ということを示してくれているので、一つのショウを見に来た(そして、居合わせた)お客さんたちとともに、プラッズが天に帰っていくための舞台装置として、そして見送る側として彼らを見ているのだなぁとも感じました。
お客さんを壇上に上げることもできないぶん、スタッフさんとのコミュニケーションが壇上で取られているのを見られるのは新鮮みがあって、「おお~!」みたいな楽しさがありました。
私が行った回は小道具さんが簀巻きにされて捉えられている様子が見られてめちゃくちゃおもしろかったです。
楽曲のあれこれ
前回あまり意識していなかったまま、ただひたすら「楽しいな」と思っていたものを、少し知識がある中で見られる今回はより「ああ、そうだったそうだった」とか「あの振り付けこんなだったな」というちょっとした思い出しも沢山ありました。
やっぱり好きなのは「Matilde」ですね。
また、各国の挨拶の言葉を使った曲もおすすめ。4人のそれぞれの表情、踊り、歌が見られるシーンでも有りました。
Forever Plaidsは「ステージの上でPlaidsがパフォーマンスをする」というものだからこそ、客席もまた「その空間に居合わせた奇跡」であり、一緒に築き上げられた世界観、空間を「楽しめる」というのが魅力だなと改めて感じました。
全員が全員「終わってほしくない」「歌いたい」という気持ちをもちながら、それでいて「進むべきこと」も分かっている。そんなジレンマをはらんだ上でのパフォーマンス起承転結で、最後の空から降ってくるジャケットは「彼ら」の旅立ち、一つの門出を祝うようなギフトとして描かれているのが印象的でした。
カーテンコールでの、華やかな一人ひとりの表情。そして川平慈英さんがもう還暦ということにも驚いています。いつまでもお元気でいてほしい。
願わくば「ここにいた」という記録と記憶を残しておきたいし、これで一つの区切りを迎えたフォエプラからもらった思いを大切にしていきたいですね。誰一人キャストが変わらず、10年近く続けてきた彼らの環境はそれぞれ変わっていて、今回はプラッズそれぞれの「門出」であるとともに、キャストにとってもまた一つの「スタート」なのかなとも感じるからこそ。いろんなことをしみじみするばかりでした。
キャストが変わってまた公演することがあるかもしれないです。それはそれで今回のキャストが作り上げたものとは違う色をしているだろうし、せっかくなら良いものであってほしいな、とも願っています。だからこそ、まずは本作が大団円のまま、最後まで無事に走りきれますように。
アンコールで「本来の舞台にはない」アメイジング・グレイスを彼ら4人が披露(本国に許可をとった上でのパフォーマンスだとお話されていました)をしている姿を見て、じんわりと、噛みしめるように愛しさとほろ苦さが溢れていて、プラッズに会えてよかったなぁ……と感慨深い気持ちになりました。
緩やかにピリオドに向かう、でも笑顔で向かおうとする彼らの笑顔が本当に素敵な公演でした。見終えた時になんだかほっと笑顔になれる、そんなミュージカルだったように思います。
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*1:「日本文学の旅」