サッカーワールドカップがフランス優勝で幕を閉じました。ちなみに私はベルギー推しだったので3位決定戦に一番湧きました。それはそれとして、先日から公開されている「わがチーム、墜落事故からの復活」がどうしても気になって まるでサッカーに興味ない友人 を誘っていってみました。
概要
2016年、飛行機事故によってクラブ存続の危機に陥ったブラジルのサッカーチーム「シャペコエンセ」の再建に向けた道のりを追ったドキュメンタリー映画。
2016年11月28日、南米大陸選手権コパ・スダメリカーナの決勝ファーストレグへ向かうため、ブラジル1部リーグ・セリエAのサッカーチーム、シャペコエンセの主力選手と首脳陣らを乗せていたチャーター機が、コロンビアのメデジン郊外で墜落。
監督、選手、解説者ら乗客77人中71人が命を落とすという大惨事となった。ほとんどの選手とスタッフを失い、新シーズン開幕に向けてゼロからの再出発を余儀なくされたシャペコエンセが、チーム、サポーター一丸となった奇跡の復活劇が描かれる。
伝記映画「ペレ 伝説の誕生」を手がけたマイケル・ジンバリスト、ジェフ・ジンバリストが監督を務めた。
(映画.comより引用)
公式ホームページはこちらから。
シャペコエンセについて
シャペコエンセというチームは本当に小さな町に対してのこじんまりとしたところからスタートしており、チームが発足してから着実に歩みを進めていました。
チームにはジェフで活躍していたケンペス選手も当時シャペコエンセで活躍していました。
事件がおきて、私の周囲のサッカー好きの人たちの中には千葉サポーター、ならびに同じリーグで別チームを応援している人たち。つまり「ケンペスと戦った人たち」が特に狼狽していました。
我々の友、エヴェルトン・ケンペス選手とその仲間たちが無事であることを、心よりお祈りいたします!https://t.co/lfuaYB7RO2#jefunited pic.twitter.com/HSczeCyZQl
— ジェフユナイテッド市原・千葉(公式) (@jef_united) November 29, 2016
お互いの家族でプールへ行った時の写真。写真は載せれないけど、いつもケンペスパパにくっついてボールを蹴るのが大好きなクルクルヘアーの長男。
— 佐藤勇人 (@satoyuto_7) November 30, 2016
この時もプールでビーチボールを蹴って一緒に遊んだのを今でも思い出す。
そんなパパ大好きな長男が凄く心配。
サッカーを嫌いにならないで欲しい。 pic.twitter.com/Bk9pRGR0Cz
僕のリーグプロ初アシストはケンペス。アシストしてくれたお礼にと、いつも自分がつけていた時計をプレゼントしてくれた。
— 町田也真人 (@yamato_m10) November 30, 2016
大好きな選手。まだ信じられないし信じたくない。
ケンペス、会いたいです。。
ケンペスどうか安らかに。ご冥福をお祈りします。
これはその一部。当時、信じたくない、信じられないっていう気持ちが少なからずTwitter内で蔓延していました。もちろん、私も。
映画を見ました
映画館にはサッカーファンが多くいらっしゃり、そもそも「ユニフォーム着てきたら200円割引だよ」ということもあってかユニを着ている人がちらほらいました。Jリーグ再開直前だったのもあったので「ちょっと都内に@@サポさんいるじゃないの~~~」って声をかけたくてウズウズしたのは内緒(笑)
「ユニ着てくればよかったのに」と友達に言われたのですが、いやまったくそのとおりだななんて。割引とかじゃなくてね。また、その時は数名シャペコエンセのユニを着ている人が居てなんかもう…なんだもう…すでに心がしんどい。
映画の感想としては「ドキュメンタリー映画」なので、事実を伝えながらどうやってチームとして復帰していくか、という部分がベースになっていました。
新監督として受け入れてくれた人、そしてチームに新しく加入した人。チーム関係者もいなくなった今立て直しをしなくてはならない部分。
奇跡的に生き残った選手たちを広告塔、いわゆる客寄せパンダとしてやっていかなければいけないこと。またその選手たちの葛藤がすごく明確に出ていました。とくに足を失い、リハビリをしても「サッカーはもうやれない」となってしまった選手がそれでもチームにいるというのは…もうなんだか、辛いけれど、それが現実だよなと。
そして、そうではない二人に「この前転んじゃってもう一度膝を手術しなくちゃいけない、だからまた歩く練習からだ」と語るところは、同じように被害にあってもなお、彼と二人ではまた明確な違いがあると感じました。口にしないし、彼らはそんなことを思っていないかも知れないけれど、彼が看板になることを収めたり、ストッパーになるのはある程度の諦念もあるんじゃないかと。もちろん憶測ですけれどね。
他の二人はある意味で「生き方」がある程度選択があって、そうじゃない人との溝っていうのは埋めるのは難しい。そして、彼が淡々と、「歩くことの練習」を告げているときの二人の表情がまた何とも言えないのが辛いなあ…。
私はサポーターなので、サポーター目線でやっぱり見ちゃうんですけれど、冒頭、事故が起きてから翌日。サポーターや地域の人達が「スタジアムに行こう。何かできるわけじゃないけれど、スタジアムに行かなくちゃ」と足をスタジアムに運んだというシーンがすごく心を揺さぶられました。
自己投影なのかもしれないけれど、「地域に根づく」というのはそういうことで、小さな町だから、皆地域の人たちと何かしらどこかしらでつながっていて、それって「地域密着型チーム」であるがゆえのことだよな、と思ったりするわけです。
遺族の方々のお話も辛かったです。辛いけれど現実だと思いました。遺族の方が遺品を生存された方への差し出しているシーンはもうね、何も言えなくなるし前に進む勇気をくれてもやっぱり重たいだろうな、いろんなものが、ことが、って思います。でもそれって「生きているから」なのだろうと、いろんなことを考える。
「家族にとっては家族で、チームはあくまでも代えがいるじゃないか」そういう風に言わざるを得ない状況になってしまっているのが辛いのと、チームは前はこうじゃなかったという言葉。とてもそれが難しいし悲しい。
最終的に遺族の方々がチームに対して不当であると訴訟を起こすのですが、一方でチーム側も「どうするか」という部分を描いているのが印象的でした。片方ではなく両者の主張を伝えている。
「遺族側でもらっている人ほど文句を言う」「じゃあ実際金額提示全選手の遺族に対してしましょうか」「最悪のときはそうならざるを得ないから用意はしておこう」っていうやり取り。あれって誰が傷つくって間違いなく「粛々と受け取っている、彼女たちより少ない金額の遺族」じゃないかな、と。国柄違いもたくさんあるのでしょうが、”誰が悪い”ではないし、チーム側も「これ以上やったらチームが破綻する。潰れる」っていう主張も分かるし、家族側も先行きに不安だからという主張も分かる。
しかも航空会社があまりにもあまりにもすぎて……いやないわあ……。
チームとしての復活を遂げていく裏で水面下で起きていた「前はこうではなかった」というジレンマがあり、監督と選手の溝もいろいろ描いていたのですが、まぁ全然状況は違うんですけれど、思い出したのは数年前に監督を追い出しただの何だの揉めたことでした。最終的に和解になったけれど*1、あれもいろんな話があったと聞きます。
多分どこのチームもそういった”内情”っていうのがあって、そういうのは、我々サポーターや一般人には伝わることはないのだと思います。狭い街だとそういうの、知っている人とかもいるかもしれないけど、私は別に知りたいとは思いません。
っていうかこれでサポーター同士でマウントを取り合って「知らないやつは幸せでいいよな」とか言われたりもするんですけれど(過去にあった話)、シャペコエンセもそうだったのかなと。そりゃサポーターも内輪もめするわ。
最終的に監督に対しての判断を見て、現在の円滑な状況でハッピーで前に進んでるよ~☆みたいな描き方は個人的には「ええ…(困惑)」ってなった派なのですが(多分これは自分がそういった「監督を追い出せば全部まるっとうまくいくよ☆」って発想に対して疑問を抱く人間だからだと思う)、最後の最後も含めて、「決してマイナスだけではない、でも、ポジティブだけじゃない」というのがいろいろ伝わってきました。
最後の最後にイニエスタ出てきて「うおおおおJ1に来るの楽しみいいい」ってなったわけですけれど。ようこそイニエスタ。トーレスも楽しみです。
めちゃくちゃかっこいいゴールシーン、ゴラッソ!というシーンが見られるのも嬉しいんですが、そこと同時に思わず「フフッ」となったところがあったんですが、チームが不調になって、うまく機能しなくなったとき、サポーターからブーイングを喰らうシーンで
「また縦ポンかよ!!!!!!」って発言がありました。ちなみに字幕もそのまま「縦ポン」でした。
どの国もツッコミいれるポイントは一緒なのか~~とすごい重たいドキュメンタリーなのに思わず笑ってしまったシーンでした。わかりみが深い。そして字幕にされた方の書き方が”縦ポン”っていうのが非常に…あの…もう笑うしかなかった…。
丁寧にまとめられていて、非常に見ごたえがある映画でした。ドキュメンタリー映画だけどベガルタ仙台の映画とはまた違った考えること/感じること/描き方があるものです。
ドキュメンタリー映画だとペリカンの映画もそうなんですが…これはお店のこだわりを周囲の人たちから見たり、お店そのものに触れていくものってかんじがしました。
見終わって、すごい勢いでめちゃくちゃ泣いてて何だったら開始2分でボロ泣きしていたのですが友人に「2分で泣いてたでしょ(笑)」と言われ、その友人もサッカー微塵も詳しくないのに(ギリギリ名前知ってる選手が数人いるくらい。香川真司が好きだったそうです)(でも香川真司がセレッソだったのを知らなかった・笑)、めっちゃ泣いたらしく、終わってから「ねえ!!!サッカー見たいんだけど!!!連れて行ってよ!!」って言われました。ヤッタゼ!!!
その子は現地でのサッカー観戦をしたことがない人なので、少しでもサッカーというものが楽しい、面白い、実際に見ることで味わう歓喜とか悔しさとか、いろんなものがあの映画で「命がけでやってんだよ!!」が伝わっていたのなら嬉しいなあと思うし、その機会を与えてくれたのがありがたい。
とりあえずあれだ…なんだ……好きなサッカーチームがあること。そのサッカーチームがあるこそ。今、目の前でプレーヤーたちがサッカーができること。
いろんなことに感謝せざるを得ない。そんな風に思う映画でした。できれば好きなサッカーチームがある人は見に行ってほしいし、フロント・選手・家族側の目線の違いみたいなのを感じてもらいたい。サポーター目線で「ああああああ」ってなってほしい。皆で見ながら「おいこの監督やっぱ合わねえよ解任しろよ」っていい出す人、いるいる(笑)って要素もちょいちょい挟むのが面白かったです。
ところで映画の予告でQUEENの「ボヘミアン・ラプソディ」(多分ドキュメンタリー映画)とか、おとなになったクリストファーロビンの話とか見たいやつが増えていて映画館いくとやっぱりあれもこれもってなるな~~ってなりました。
100分しかない映画だけど、体感時間は嫌な形ではなくすんなりと入ってきて見終わって疲れた、っていうのと泣いた、っていうのといろいろな感情が渦巻いたものでした。私は映画館で見てよかった、そう思うものでした。
見終わった人とああでもないこうでもないと語り合いたいものです(笑)