昨今話題のディズニー実写映画「アラジン」を見てきました。
見てくる前に散々ウィル・スミス=山寺宏一氏ということがネタに…基話題になっていたので、しごく当然ながら山寺宏一=ドナルドダック=ジーニーという方程式がある自分にとって感慨深く逆に言うと俳優さんがチェンジにならなくてよかったなという気持ちでいっぱいなわけです。ディズニー…というよりも配給会社ですかね。山寺さんはトイストーリーの一件があるので*1そういう意味でも、気になっていました。
まぁ見に行ったのは吹替版ではなく字幕版なのですが、その雑感を少し。
アラジンについて
ディズニーでも人気のある作品。A Whole New Worldが特に有名な気がします。
昨今ジャニーズ事務所のDオタで定評のある伝説のデュエリスト・武藤遊戯を演じた風間俊介君がマツコの知らない世界で話に上げていた「アラン・メンケン」氏の楽曲でもあります。
1992年公開されたアニメーションが本作の原作に当たります。
ちなみに吹替版だと羽賀研二氏がやっていましたがまぁいろいろありまして*2現在は三木眞一郎さんが演じています。わかりやすく言うとポケモンのコジロウのお方です。
ストーリーとしては「泥棒をしている少年(青年)が町に身分を隠して視察にきていた王女様と出会い、惹かれ、自分の身分差に苦悩し魔法のランプを手に入れ魔人の力を借りるが最終的に自らの力で彼女と心を通わせる」ってかんじの物語です。
昨今だと劇団四季にもなっていたりと話題の作品ですね。ちなみにアニメは後に続編なんかもできています。
アラジンのお父さんの話とかあったはず。なんだかんだOVA的な感覚で見ていたのですが「まぁこれはこれで」として楽しめましたし私は嫌いじゃない。
そしてみんな大好きキングダムハーツでも登場しています。ジャスミンはプリンセスとしても人気ですしね!!
強くてはっきりとした意思を持つのがジャスミンの良さ。
ジャスミンのモデルは『千夜一夜物語』の第998夜 - 第1001夜に描かれるアーモンド姫とジャスミン王子だそうなんですが、千夜一夜物語はアラビアンナイトとしても人気が高く(アリババと40人の盗賊とか鉄板)そこからピックアップしているというのが面白いですね。
俳優・スタッフについて
アラジンにはメナ・マスード。プリンセスのジャスミンにはナオミ・スコットが起用されています。
ヒロインのナオミ・スコットに関しては調べたらパワーレンジャーのヒロインだった方ということで「ああ~~」ってなりました。全然雰囲気が変わっていて、とても凛々しくかっこいいジャスミンを演じてくれました。
びっくりしたのは吹き替えのキャスティング。
アラジン、ジャスミンに関しては此処近年のディズニー映画あるあるの「芸能人の起用」タイプのもので中村倫也さん、木下晴香さん。
ウィル・スミスにはやまちゃんコこと山寺宏一さん。ヴィランズであるジャファーには北村一輝氏を選ばれているということですごく「ああ~~(納得)」ってなりました。顔のこさと芝居のしっかりとしたかんじに定評のある北村一輝氏。私は彼のぞわぞわするお芝居大好きなので「なるほどな~~」ってなりました。
また、今作に於いて「重要」となる侍女・ダリアにナシム・ペドラド、声優は沢城みゆきさん。
近衛兵隊長のハキームは ヌーマン・アチャル、宮内敦士さんが演じられています。
なんというか吹き替えに対しての私は声優起用について基本「イメージにあっていればそれでいい」派なのですが、今作について北村一輝氏や山寺宏一氏の起用、また重要な枠である侍女ダリアやハキームの起用についてよくブランディングを崩さないようにしていったなあって思うし、何より他所の国の王子が平川大輔氏っていうのを見てめちゃくちゃ笑いました。イメージにあいすぎている。
監督はロバートダウニーJrの演じたシャーロック・ホームズで有名なガイ・リッチー。
映画雑感
音楽と映像クオリティがとんでもなく高い
言わずともがなですが本当に映像クオリティが高い。よく動くしカメラワークがいい。下から上を見上げた映像でのアラジンの躍動感が実にあってキビキビ動いているし、みんな大好きア・ホール・ニュー・ワールドのところの映像はCGとわかっていながらも美しさが凝縮されていました。
また、アニメーション特有の「実車にすると一気に寒くなるであろうジーニーのシーン」もウィル・スミスの好演と相まってコメディ色と「人外特有の、かつディズニーの異色と面白さ」が詰まった作りであったと感じます。
ウィル・スミスの声でのフレンド・ライク・ミーを見ていたのですが、ふと「山寺さんこれ撮り直したのかなあ」ってふと思いました。
そうだとしたらヤマちゃんすごいなあ。
先日会社で「陽気な黒人の俳優の吹き替えは大体山寺宏一」っていう話があがって、実際ウィル・スミスだったりエディーマーフィーは概ね山寺宏一さんなので「わ、わかる~~」ってめちゃくちゃ笑った思い出。それがちゃんと反映されているってすごいなって思います。
アブー(アラジンの相棒の猿)のモーションキャプチャもすごくリアルに、きれいに動いていて見ていて「いる」のか「いない」のかまったくわからなかったです。魔法の絨毯は原作にもある通りお茶目で、紳士でぶっちゃけ今作一番の癒やしキャラだと思いますしそれがまったく変わらなかった。とても好き。
ストーリーについて
基本はオリジナルアニメーションと一緒なのですが、一方で「昨今のディズニーの考えること」をできるだけ詰め込もうとしているような印象を受けました。
ジーニーが今回は「自由になりたい」ということはとてもプッシュされている一方で「人間になりたい」という願望も付与されました。自由になりたいっていうのはこのへん原作にもあったしわかるんですが「人間になりたい」についてちょっと「なぜだろう」という説明不足さがあったように感じます。
これには作中におけるダリアの存在があるとは思うのですが、男女がいたら必ずペアにしなくてはならないっていう発想みたいで個人的にはそのへん「アナと雪の女王」や「モアナと伝説の海」で脱却したと思っていたのですが、その必要あったかなあ…?ってひっかかりました。
ジャスミンが「ここに閉じ込められているだけは嫌だ、自分の言葉を持つ」という自立を象徴し、押さえつけられても平気だ、意思は消えない…という「スピーチレス」という曲を持つ、その姿は「グレイテストショーマン」の名曲This is Meにも通ずるものがあると思うのですが…。
言っていることは「差別されていようとなんだろうと自分を貫く」「自分の道を行く」という曲なので、女性だったりそうではなかったりと境遇は違えど通ずるものがあると感じます。
なんというか、確かに「うんざり」しているのは事実でどうにかしてやろうと思ったりジタバタして現代のモラハラ、パワハラの「#Metoo」の部分もあって*3、私はジャスミンの動く意思っていうのはすごく素敵だし好きなんですが、じゃあダリアを出したことでクラシカル、ステレオ的な印象は拭いきれない。
90年台の「ディズニー・ルネサンス」と言われた時期に作られたアラジンなのに、「女の幸せ=相手がいる、子供がいる」っていうパターンにも見えてしまうのがちょっと残念でした。これが例えばクラシカルの「眠れる森の美女」「白雪姫」であればクラシカルな良さとして受け止められたのですが…。
後、ジーニーが”人間になりたい”ってアニメ(原作)で言っていたら申し訳ないんですが、アニメの原作でそれは言っていなかった気がするんですよね。
魔人だろうと人間だろうと「アラジンと自分は友達」であるということが重要だと思うので(人種がどうとかではないのだよ!!って意味で)、ちょっとそこらへん変わってしまったのは残念だったなって印象です。なんだかそれって極論いえば「白人になりたいんだよね!!」みたいな人種差別的なようにも見えてしまうし(これは穿って見過ぎ、って印象なんですけれど)「人間になりたい」のならその人間になりたいっていう「理由」「要素」が必要なわけで、ダリアと惹かれ合う前から「人間になりたい」と言っていた分だけその「なぜ人間に憧れるのか」っていう描写がなかったのがすっごく引っかりました。
ただ一方でじゃあ作りとして追加したダリア、そしてジャスミンの「強い意志」に動かされるハキームは悪かったのかっていうとそうじゃなくて。
なんというか、悪くない分だけに「もったいないなあ」「描写がとっちらかってるなあ」って振り返ったら印象になってしまって。彼らには彼らのバックグラウンドがあるのをわかっているからこそ、焦点がぶれちゃっている気がしてしまったのは個人的に惜しいな~~って印象です。
”オリジナルを入れる”ってとてもむずかしいことで、マレフィセントについて私は「悪役は悪を貫いてからこその美しさでもあるんだよな~~」っていうので複雑な気持ちを映画で抱いたので、そういう意味でもなんともいえないっていう感じもしました。
でも一方でMX4D、3Dを意識した作りやカメラワークであったことは間違いないと思います。ビュンビュンぐんぐん動くし、見ていて夢とロマンがあふれるのも嘘じゃない。
あえて言うなら「ランプ登場するまでこんな長くしなくてもいいんじゃない?」とは思いましたが(笑)ロマンスに焦点を置くのか、ランプの魔人とのやりとりを強調するのか、冒険譚にするのか、少し今作では風呂敷がとっても大きくなりすぎたように感じました。
一番最後のダリアとジーニーのあれそれはすごい…なんというか…こう…「ど、ドラゴンクエストのOPぽいぞ!!」でした(笑)ドラクエCMの外国人俳優起用してるやつが好きっていうのもあるんですが。特に5のCMがね、好きなんですよ。
これはこれで好き(真顔)
まぁとにかく、そういう意味でも立ち位置が非常に難しい作品であったなと思います。
でも一方でアラビアンナイト、アラジンの独特のエスニックな空気感は出ていたし、再現度がめちゃくちゃ高かった。ドラクエ4のバーバラの姉妹みたいな人たちの服装をよくもまああそこまでっても思った。
台本のわかりやすさ、伝えたさ
字幕版で見ていたのですが、テロップの字幕が「そう訳すんだあ」っていう私みたいな英語できないマンでもわかる英語を使いながらキャラクターをうまく使いこなしているのが印象的でした。翻訳家の語って映画見て自分の名前が書かれてたら感無量だろうなあ。
本作のターゲットって大人は勿論ですが「子供」にいかに「夢」や「勇気」を伝えるかっていうのが大事なところだと思うんですが(今現在進行中の「なつぞら」でも似たようなこと言ってた)そういう意味で、子供にも伝わること、わかる英語での表現をしているっていうのが印象的でした。皆聞き取りやすいし、皆私でもわかる英語を使う部分が多くあった(勿論表現がまっっったくわからないってのもあったけど)(そもそも英語ができない)
そういった意味で、「はじめてのディズニー」の間口として親御さんと子供と一緒にいっても大丈夫なつくりにしているのも含め考えて作っているなあっていう印象でした。
映画の予告編を見ていたときにライオンキングがあって「おっこれもみたいな」って思っていたんですがスカーがムファサとの違いで黒くて色黒のライオンのヴィランズぽさがなかったので「見慣れるのに時間がかかりそうだぞ!(笑」ってなったりしている今日このごろです。折角ならそっちも楽しめたらいいなあと期待するばかり。