柑橘パッショナート

インプットとアウトプットを繰り返すごちゃまぜスタイル

「ブラックorホワイト?」のシンプルかつストレートに来る笑いの感想録

先日、テレビ東京系列でやっている「ABChanZoo」(えびチャンズー)を見ていたら佐藤アツヒロさんと内博貴くんがご出演されていました。

で、内容を見ていたら今度お芝居をすると。それも新橋演舞場であると。

ほとんど彼ら2人について知らない人間なのですが「でも面白そうだなあ」ということで友人と2人でいきました。

前情報はほぼない状態で「コメディ」ということでワクワクしながらいったその感想になります。

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ブラックorホワイト?

注意事項は以下の通り。

  • ネタバレしています
  • 思ったところをばーっと書き出しています
  • 誰かのファンというわけではない人の雑多な感想になります
  • 俳優さん、女優さんに関して調べながらやっていますが「無知」は拭えません。

以上になります。

それでも大丈夫な方はよろしくおねがいします。もう一度注意としては「ネタバレしてるよ」です。

 

 

あらすじ

ざっくりのあらすじは公式ホームページにあるとおりですが、せっかくなので見た側としての説明として。

主人公は一尺八寸(かまつか・佐藤アツヒロさん)。とあるリフォーム会社の本社勤務・若くして「支店統括部」の課長に副社長から大抜擢されたやり手の男です。

そんな中、支店の一つに問題が生じた。

本社に宛てて支店に勤める「緑岡」という男がパワハラの告発を行ったのだ!

告発された「パワハラ」。パワハラを行った男は自分がかつて尊敬していた先輩・久保田さん(羽場裕一さん)。

「あの人はそんなことをするわけがないんだ。絶対何か理由がある」

一尺八寸氏はその実態を調査しようと支店へ”サイトウ”と名乗り、アルバイトとして潜入捜査を行うことに。

支店にはそれぞれに腹の中で考えを抱きながらも「そつなく」「うまく回して」いる人達がいて、その中で”サイトウ”はできない男を演じ「ここの支社の人間は本当にパワハラをするような環境なのか…?」ということを見極めていく。

このことを知っているのは一尺八寸の直属の部下・中本内博貴君)。彼をサポートしながら「こんなのまずいですって」といいつつ巻き込まれていく。

果たして久保田は本当に「パワハラ」をしたのか、否か……?支店には支店で毎日がありトラブルも尽きない。その中で乗り越えようとしていくハートフル(?)コメディ。

 

キャスト・スタッフ

作品を彩るのは次の人たち(敬称略)

 

真琴つばささんは、「警視庁捜査一課9係」に以前出演していらっしゃってその時にドラマのお芝居を拝見したことがありました。いろんな番組に出ていらっしゃってきれいな方だな~と思っていたのと、以前ブログで「宝塚のお話を聞かせてよ!」と友達にねだった内容があったので「この方もこの作品とあの作品とこっちにも出ているんだ!!」という驚きがあったのを覚えています。

 

※その時の「教えて!宝塚!」の内容※

amanatsu0312.hateblo.jp

 

 また、羽場さんに関しては「グッド・ドクター見てた…!」となったり「特捜9に出ていらっしゃった記憶があるぞ!」というWikipediaを見てチェック入れていくと「この方か~!!」がいっぱいあるお方でびっくりしました。知ってる…知ってるぞ…!みたいな。

また、蕪木さんを演じる斉藤優里さんは乃木坂46の方だったんですね。知識がなかったので「そうなんだ~」という感覚でしたが、可愛らしいお人だなって印象。

 

内君に関しては昨年サマパラをご縁で拝見したときに「これが内君か~~はじめましてだなあ~結構ツッコミが激しいお兄さんだと思ってたら矢花黎くんにまでいじられてるおもしろ系お兄さんだな~」っていうすごいふわっとした感覚で、佐藤アツヒロさんに関してはもう「光GENJIじゃん…すごい人じゃん…少年倶楽部でキレッキレのターンと維持力…アイドルすごい…」ってなった次第です。いつかのV6のトニセンのラジオに出ていらっしゃったことを覚えていたので「初めて見る~!」っていう気持ちでいっぱいでした。

 

内容感想/「言わぬが花」が生きやすいのだろうか

ステージがくるくるとドールハウスのように回転して場面が変わるのですが、それが「お店の前」と所謂「事務所の中」、さらに「支店長室の物置」の3つが主軸になります。

花道をさっそうと歩いてきた内くんのお姿を見て「足長ぇ…」という第一印象を覚えました。どこまでが足なの?っていう(笑)すらっとしたスーツ姿がとてもお似合いでした。

話の中で熱弁する一尺八寸(佐藤さん)に対して分かるようなわからないようなみたいな最初の同意をしているのを見て、私は後に出てくる中本くんと同じような感情を抱いていたので後半「そうだよなあ…」って彼の感情を吐露するところを見て同意したものです。

 

一つの問題に対して「みんなの責任」とはいうけれど、じゃあ誰がどうしてどう悪い、どう治そうということは口にしないのは「相手を傷つけない為」なのか、「波風を立てないため」なのかっていうのは人によって考え方が違うっていうのがよくわかります。

人がそれぞれそれぞれの考えがあるなかで、それを言葉にしようとするのか、また「面倒だから言わない」「これ以上こうなったら嫌だから言わない」っていうのも選択肢の一つで、それぞれがそれぞれに対比的だなと感じます。

 

春山さんと久保田さんは同じような時代を生きているけれど「キャリア」と「ノンキャリ」的な部分があって、ここを「墓場」ととるか「ステージ」取るかのギャップがある。

蕪木さんと小松さんは同じ女性だけど「仕事ができる」か「できないか」の違い、子供が「いる」「いない」の違い。彼女たちの「表に見せる」か「見せないか」の違いもあります。

また、そんな彼女たちを「社員」と「フリー」だからこその大徳寺さんとの違いもあります。

男と女という社会的立場の違い。

本社の人と、支社の人の違い。

年齢の違い。

夫々が絡み合って、夫々が「羨ましくなって」「疎ましくなって」言わない結果どういう結果を生むのか。そのへんがすごく考えさせられました。

また、お客さんでのご夫婦と、クレーマー立浪さんも非常に対比的に描かれていて、基本的に何かに対してお互いがお互いを「悪い」わけではないということをとても主張している舞台であるかのように感じます。

一尺八寸はとても理知的な人であるのに、久保田氏のことになると熱血漢になってしまう。それが中本くんには理解できず、その結果のしっちゃかめっちゃかの原因になってしまう部分があるのですが…でも、尊敬している先輩だからこそのジレンマっていうのはそれぞれに「時代」的なものもあるので、ここもまた「先輩後輩」の対比なのかなと。

 

結局夫々が夫々に「思ってたけど言わない」からの「言わぬが花」で起きて、その処遇に対して納得がいかないくせに黙り込んでしまうというものが理由としてあり、「打ち明けてくれよ」というだけが正しいわけではなく、またお互いにお互いの強さ弱さをさらけ出すことで見えてくるものはあるよなあと思います。

 

ぐるぐる画面が変わる中で口調が「その人」と話すことで変わってくるのを注目していたんですけれど、サイトウさんのときにワントーン高い声であるなかで、中本と話している一尺八寸は先輩のそれだし、一方で久保田さんと話すときは完全に後輩体質が出てしまっている。

それはそれぞれにそれぞれの「フィルター」がかかっているからこそで、第三者に言われて気づく部分もあるんだろうなと。また、これって悪いことではなくて、じゃあどう紐解いていくかってまた別の「誰か」と接していくことで見えてくるんじゃないかなと。

 

面白いシーンとしては店舗の中に飾られたトイレの便器に座って話すシーンや、バスタブのお話。

途中で大徳寺さんが入ったときにスタイルの良さが出ていて「すごいなあ」って感心しました。すごい。

また、女性同士の言い争いの仕方が「ないものねだりとわかっているけれど考える部分」っていうのがすごくあって、フリーと社員の違いはあれど考えるところがありました。

大徳寺さんが一人だけフリーだから、素敵な衣装を着ているのですが、それについては「自分の価値が高いと相手に思ってもらうため」であることにすごく納得しました。いい服っていう定義は何かって言われると服飾に詳しいわけではないので難しいんですけれど、どのシーンを見ても大徳寺さんは颯爽としているので、考えてみれば「彼女は常に背伸びをするような形で常に、いつでも、切り捨てられても”立てる”ようにしている」のかなって感じがしました。

 

「ゆとり」である中本くんの怒られなれていないがための【周囲に溶け込む能力】と【うまく隠れながらうまく上手に立ち回る】力っていうのは非常にささるもので、怒られること=人格否定と思ってしまうのは非常に、もうなんか、めっちゃ分かるんですよね。

誰も怒りたくて怒っているわけではない。でも、怒られ「なれている」のかそうじゃないのかの差は大きい。ここを一尺八寸氏がフォローできた描写は「こういう上司いたらなあ……」って思うのと同時に「いや潜入捜査しにいかれたら嫌だな」って思う二律背反でした(笑)

 

全体の空気としてやり取りがやはり「コメディ」ということもあり、前半/後半を分けて休憩時間があるものの非常にテンポがよく、そういった意味では「これ深夜ドラマとかで見ても楽しいかもなあ」って思えるものでした。

支店と本店の価値観の違いとかでいうと「踊る大捜査線」を始めとした(まぁこれは警察ものでしたが)色んな作品で描写されており、そういった意味では左遷させてやってきた人が行う言葉たちは「人生」が個人にあるからこその部分が多く描かれていました。

 

また、シリアスなシーンではあるもののコメディに描いているのでフラットにそのまま「これどういう意味?」「なんの意図があってこのセリフ言ったの?」と考えるよりも先に直感的に直情的に受け取れるっていう、ストレートで渡されているお芝居だったように感じます。

「頭下げないで!!」からの動きに合わせて「はい謝る!!」「ごめんなさい!!!!!」「すみませんでした!!」などのシーンが個人的にすごくツボです。

 

大団円かと言われると「そうではない」というのがまた現実的というか…。

正直言ってしまえば緑岡さんという人物像をあえて描かなかったのはその後も含めて「どうなるかはあなたのお考え次第です」っていうのが突きつけてくる感じがしました。

この後久保田さんと緑岡くんが話したからと言って緑岡君が良い方向にいくかはわからないわけで。結局言っちゃえば一尺八寸さんと中本くんは「もう本社に戻る」から関与はできないし。

立浪様の奥様だってどうなるかはわからない。

でもその一方で「わからない」からこそ、せめてもの彼らがポジティブに、どう前に進もうとするのかーー期待を持ちながら、「わからないなりにもがいてみようかな」「精一杯仕事やってみようかな」って皆それぞれが、感じるベクトルは違えど、思えているような晴れやかな顔が見られたのはいいなと思いました。

後はもう皆定時で帰れるように本社ができるだけサポートできたらいいなあとは思うんですけどね!!!本社そのものがブラックだったらもうどうしようもなかった~~~っていう話になっちゃいますし。

全体的にテンポがよくて「見に行ってよかったな」と思える舞台でした。

 

 

後俳優さんについてですが佐藤アツヒロくん年齢見直して「本当に???」と何度も首を傾げたし「やりて」ってのにもうなずきました。かっこいいな~男の人が憧れそうなかっこよさがあるなぁっていうのと「表出ろ!!」からの「どうしちゃったんですかあ…」っていう温度差がすごいにじみ出てて、彼のことをよく知らなくてもお芝居として見やすかったです。

内くんに関してはもう再三言ってるんですが所見が「脚長…!!」でした。ぴったりとした自分の体にあったスーツ姿で拝見したのが初めてだったのでえらくギャップにやられたのを覚えています。後良くも悪くも「ゆとり」という立ち位置なので「そうかあ…そうかあ…」っていう部分と「でもこの子根っこは悪いやつじゃないしそもそもこうなった責任ってどこにあるんだろう」ってなったらぐるぐるするし、素直にごめんなさいが言えた上で、少しずつ怒られることを「悪いことではない(次へのステップ)」につなげていけたらいいなあとキャラクターとして感じるところが多かったです。真琴つばささんと並んだ時のお二人の足の長さにおののいていた。

 

また、羽場裕一さんの低音と通常の柔和なかんじの温度差がすごかった。

「しているようで」「していないかもしれない」という見ている側が「どっちなんだろうな~~」って思えるの、素敵でした…。

 

ストーリーを追うだけでも結構精一杯な部分もあったんですが、作品としてストレート一発でドーンと来る感じがして、終始なんだかニコニコふふっとしてしまう舞台でした。

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