柑橘パッショナート

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乙女ゲーというジャンルを考える

先日「乙女ゲージャンルが今危機」というワードがSNS、特にTwitterで駆け巡っていました。

かくいう私も「乙女ゲー」と呼ばれるゲームに触れているのは現行もやってはいるものの「パズル×女性向け恋愛要素も入っているストーリー」であるゲーム*1で、これは基本「コンシューマーゲーム」ではなくアプリゲームになっています。

世間がNintendo Switchスマートフォンゲームに移行しだしている中で、乙女ゲーと言われるジャンル(主人公がいて、物語を進めていくにつれて選択肢を追っていくことでキャラクターの心に触れる、変わっていくもの)が少し取り残されている感じがあるのは正直否めないのかもしれません。

大ヒットを打ち出したうたの☆プリンスさまっ♪だってもう10年近く前だし(当時は本当にぶっ飛んだ作品が来たなと思っていた。後背景が不思議なモヤみたいなものも忘れない)、そういう意味では当時はPSPそしてPSVitaになっていく中で、現在に至る形っていうのはとてもむずかしいのかもしれません。

 

今日はぼんやりとその上での「乙女ゲー」について考えます。

 

昔に比べてスマートフォンが普及して、そのスマートフォンでゲームができるようになって、全体的にコンシューマーゲームの売上も下がっている、とも言います。私自身Nintendo Switchを購入したのはここ近年の話です。それこそ遙かがUltimateを出すとかいうから・・・つい・・・。

amanatsu0312.hateblo.jp

 

「誰かが変わっていく物語」

世間一般の「乙女ゲー」っていう認識が「イケメンにちやほやされる」っていうふうに言われがちなのですが、正直今まで10年以上乙女ゲーユーザーをしてきた人間ではありますがそんなふうに安直にちやほやされるゲームって実は少なくて、男性向けゲーム、いわゆる「ギャルゲー」と言われる作品もしかりですが、そこにキャラクターの「人生」を描いているところが魅力だと思います。

 

「メンタルケアゲーム」とも言われる部分もあるっちゃあるんですが(乙女ゲーあるあるこじらせ男性率)でも一方で、メンタルケアをされるのは主人公だったりするケースもあります。導かれて、変化して、関係性が変わっていく。そこにあるのは「起承転結」の物語であり、自分がその誰かの人生を「選択」することで変化させていく、関係性が変わっていく、成長していく・・・・などなどの意味も込めて、乙女ゲーの魅力の1つって「誰かが変わっていく物語」でもあるんじゃないかなっていうふうに思います。

 

乙女ゲーは=自分? =一人のキャラ?

「衰退していったのは主人公の個性が強くなって自己投影派が否定されつつある」という意見をお見かけしたのでちょっと考えてたのですが、主人公=自分、という見方も間違ってはいません。名前変換も可能ですし、アバターとして主人公をカスタマイズできることもできる。これが良い部分でもあると思います。

 

一方で主人公=登場人物の一人という目線で見ることもできる。これはサクラ大戦の主人公(彼の場合は主人公としてとても確立されているけれど、ニュアンスとして)や、ポケモンの主人公とか、ペルソナの主人公とか、後は一般ゲームであるあるの「この世界にこういう人物がいたら、キャラクターとコミュニケーションがとれる!」みたいなアドベンチャーゲームに近い部分があります。

なので、「昔の乙女ゲーは=自分だったのに」と言われると「そもそもの台頭していった大きなジャンルである”ネオロマンス”は主人公設定めちゃくちゃ強いし何ならグラフィックもある」ってなっちゃうんですよね。

どちらの楽しみ方もあり、っていう楽しみ方ができるのがこういった「名前変換可能」な世界の物語でもあると思います。

 

乙女ゲーム=ノベル要素だけなのか?

ゲームのシステムというのは本当に大きく「乙女ゲー」とくくっても異なっているのが特徴だなと思います。そこはある種「差別化」でもあります。

 

いわゆる「読み進めていく」ことが一番強みであるタイプのものであれば作業性は低くてひたすら文字を追いながらそれを読み込んでいくことができます。一気に人気ジャンルとして確立していった薄桜鬼とかもそうですね。

ただ、すべての乙女ゲーが「読みすすめるだけか」って言われるとそうではなくて、もちろんノベル要素(いわゆる会話、心情を語っている部分)が出てくるものもあればときめきメモリアルGirls Sideシリーズみたいに「主人公のパラメーターを上げて、かつキャラクターの心に寄り添って、どうあるべきか考えて3年間を過ごす」みたいな感じのものもあります。

ときめきメモリアル Girl's Side 1st Love Plus

ときめきメモリアル Girl's Side 1st Love Plus

 

 

うたプリはどうかって言われるとうたプリは「音楽要素」があったのも凄く強くて、私はその「音楽要素」につられて購入していった思い出があります。何なら最終的にリズムゲーがぎっしり詰まったMUSIC(音楽ゲーム)が出たのも面白いところですね。

うたの☆プリンスさまっ♪ 限定版「シャイニングBOX」 - PSP

うたの☆プリンスさまっ♪ 限定版「シャイニングBOX」 - PSP

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: ブロッコリー
  • 発売日: 2010/06/24
  • メディア: Video Game
 

 

アドベンチャーゲームと乙女ゲー(恋愛シュミレーションゲーム)というカテゴリはどう分けるべきか

私の好きな作品である「ネオロマンスシリーズ」はどちらかというと「アドベンチャーゲーム」寄りの作品で、結構な頻度で「乙女ゲー」というくくりに入れられることが少ないです。コーエーテクモゲームスが「信長の野望を女性向けに作ってみよう」という流れで出来上がったのが「アンジェリーク」という作品になります。

なおこれは近年リメイクを「ルトゥール」という形でリメイクされています。

 

アンジェリーク ルトゥール - PS Vita

アンジェリーク ルトゥール - PS Vita

アンジェリーク ルトゥール - PS Vita

 

 これに関していうと乙女ゲー要素も確かにあるんですが、一方で作業性というか頭を使わなければならない「国盗り合戦」要素もあります。

 

  • この宇宙は、統括する女王と9人の守護者(「守護聖」)の力で成り立っている
  • 彼らは「聖地」に住まい、地上とは違う時間(こちらでの1日は向こうでの僅かな時間、と考えるとわかりやすい)を過ごしている。
  • 力が衰退すると、その「代替わり」を見つける。
  • 女王がちょうど代替わりをする。これにあたって選ばれた「候補者」の片方が主人公。もう片方はライバルとなる。
  • 守護聖の力を借り、世界を豊かにしながらライバルを出し抜きつつ女王を目指せ!
  • ちなみに交流していくに当たって守護聖と恋愛することもできるよ

 

めちゃくちゃざっくばらんに言うとこんなかんじ。定期的に様子を見に行って「今、何が足りていないかな」「今、いくつ家(力を与えることで一般の人の家が立つ)があるのかな」「ライバルはいくつかな」っていうのを確認していかなければならない。

ちなみに守護聖とデートという名前の散策にいくと道歩いてたら「お前今いくつ家たってんの?」「相手はいくつあるの?」とかそういった質問もされます。なお間違えると「お前女王候補だろ!そんなこともわかんねえのかよ!帰るわ!!」って帰られます。

ちなみに初回プレイは好きなキャラクターいたんですけどすっごい真面目にやりすぎて女王になって終わりました。恋愛要素もあったけど(どう見ても両思いだったはずだった)「あれ!?!!」ってめちゃくちゃ即位した瞬間に「えええええ」って驚いたことがあります。ネオロマンスあるあるだなって思ったのは後年になって「金色のコルダ」の無印やったときも同じ現象がおきました。それを思うと遙かなる時空の中でだいぶ優しい。

 

と、まぁそれぞれにそれぞれの世界観があり、作業性のある/なしがあり、展開していくものはそれぞれの「作品コンセプト」にあったもので成り立っているというのが面白いところだと思います。

遙かでいえばバトルと、選択肢によってキャラクターを導く/アンジェでいえば国を作っていく/コルダでいえば音楽性を磨いていって妖精捕まえてコンクールに勝ち進んでいく/下天の華で言えば、自分がスパイであることを踏まえた上で相手が信頼するのか猜疑心を抱かせるか等の選択がある。

 

でもこれで毎回思うのは「乙女ゲームって言っていいのか?」という素朴な疑問。いわゆるサモンナイトシリーズ(主人公が男主人公/女主人公選べる)とかはかつて「ギャルゲーであり乙女ゲーである」と言われており、実際私もサモンナイトシリーズを楽しんだタイプの人間です。

「恋愛要素だけじゃないゲームは乙女ゲームとは言えないのではないか」って言われるととても難しくて、でも個人的には結局”主体”がどこにあるかの違いなのかな、とも感じます。

遊戯王タッグフォースシリーズはギャルゲーでは?ってネタで言われたこと何度もありますが(遊戯王の世界に主人公通称「コナミくん」がいたら、って話)、実際誰かのルート(誰かと相棒になる)では恋愛要素がっつりあったりもします。例えばタッグフォース3のブルー寮のレイちゃん(レイちゃんは公式主人公遊城十代のことめちゃくちゃ好きな女の子。赤時代と実際女の子として入っているのでブルーと2種類ある)ではコナミくんに対して好意を示していますし。でも、タッグフォースを「恋愛シュミレーションゲームか?」って言われると「恋愛シュミレーションゲーム要素もあるけど、根底はカードゲーム」なんですよね。

一方で、例えばテニスの王子様の最初である「S&T」「R&D」はどうかって言われるとこれまたとてもむずかしいんですよね。

テニスの王子様 RUSH&DREAM!(初回生産版)

テニスの王子様 RUSH&DREAM!(初回生産版)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: コナミ
  • 発売日: 2004/12/09
  • メディア: Video Game
 

これは「ミクスド」というテニスの男女コンビのダブルスを組んでストーリーを進めていくものです。これがじゃあ恋愛要素まったくないかっていうと「多分その要素気持ち入っている」「甘酸っぱいそれとなく意識してる青春感」もあります。個人的に切原赤也ルートと宍戸亮ルート大好きだからよろしくお願いします(R&Dの話)

で、これを「恋愛ゲーム」って言われると「いや~~でも根っこはテニスしてるしな~~いやでもそれっぽい部分はいっぱいあるしな~」っていうとても悩む部類です。一方で「学園祭の王子様」(通称学プリ)「ドキドキサバイバル」(通称ドキサバ)はどうか?って話になるわけですが。

テニスの王子様 もっと学園祭の王子様 -More Sweet Edition-

テニスの王子様 もっと学園祭の王子様 -More Sweet Edition-

 

 

こちらもゲームの中にテニス要素がまったくないわけではなくて、でもじゃあテニスゲームかっていわれるとNoなわけです。彼らと接して、変わっていく。恋愛要素が中心になっている部分があるから、この2つは「乙女ゲー」が主体でもあるんじゃないかなあとも思う。 

 

前述したS&T、R&D、そして私が好きな「ネオロマンス」は果たして乙女ゲーなのか?っていうくくりにまた変わってくるわけですが、ネオロマンスはコンセプトとして「コーエーテクモが乙女に贈る女性向け恋愛ゲームです。」と銘打っている部分があるので「乙女ゲー」っていっていいんじゃないかな、って思います。

S&T、R&Dに関しては(R&Dに至っては完全に女主人公のみになっちゃったけど)男主人公も選べるわけで(まぁこの上でエンディングもだいぶ変わるんですが)、下記のように記されているわけです。

週刊少年ジャンプ」で連載している「テニスの王子様」のプレステ用ゲーム第2弾。サブタイトル「SWEAT&TEARS」が示すように今回のゲームのテーマは「汗と涙」、そう、「部活」である。青春学園テニス部に入部し、自分が「青学テニス部」の一員となり、ストーリーが展開していくというシミュレーションゲームだ。

もちろん青学テニス部には、リョーマ、不二ら、漫画でおなじみのキャラクターたちが待っている。原作同様の展開になると、漫画で読んだままの場面が音声付きで再現されるのがうれしい。また、登校時や部活後のイベントでは、部活の中とは違うキャラクターたちとのふれあいが待ってる。

 

シミュレーションゲーム」のたぐいは「眺めることしかできない時間が多くて退屈」と感じるせっかちな人もいるだろうが、このゲームではそんな退屈な部分を改良。主人公がコマンド実行中でもボタンを押し、干渉することができるのだ。原作もののゲーム化はいろいろと難しいが、このゲームはファン心理をしっかりつかんだ演出が特徴。キャラゲーとしての完成度は高い。(五反田六郎)

 

S&T、R&Dは果たして乙女ゲーなのか?という問いかけに関しては「私は乙女ゲーだと思う部分はすっごいあるけど、世間的に見るとキャラとの青春シュミレーションゲーム」というカテゴリが一番適切なのかなあと悩むところです。

 

ストーリー(シナリオ)がしっかりしていることの重要性

で、まぁもちろんシステムも大切だと思うのですが、同時に「ストーリー」に対してもとても重要であると私は感じます。

結局のことろ、ノベライズゲーム要素も当然あるので、作品一つに対してどこまで掘り下げて、どのように考えて、どのように「キャラクターが生きていくのか」っていうことへの重要性もあるんじゃないかなと。

キャラクターとキャラクターの物語でもいいし、「自分」とキャラの物語でもいい。そのへんはスタンスの違いで「楽しみ方」になるわけですが(ゆえに、乙女ゲーのキャラクターと主人公の組み合わせを「夢」ととるのか、「カップリング」ととるか、は色んな意見が出る)、結局のところ「自分が読んでて/進めていて 心が揺さぶられるかどうか」っていうのもあるんじゃないかなと感じます。

 

乙女ゲームは衰退したのか?

大きく、雑にいうとそうなのかもしれません。コンシューマーゲームをやらなくなったのも一因かもしれない。

でも一方で、築き上げているゲームもあるのも事実です。単純にステージが変わった(戦う場所が「コンシューマー」だけではなくなった)部分もあるだろうし、同時に一般のいわゆるゲームと言われるものたちが全体的にコンシューマーで手を出す人が減少傾向にあるのもまた事実なのかもしれません。

最初から敷居が低く、けれど「試して遊ぶことができる」部分がソーシャルゲームの良い部分でもあって、触れていって気になったらプラスアルファの金額を支払ってやることができる。これもまた良い部分なのかもしれません。面白いかどうかもわからないゲームに高額を支払うことにためらいが生じることも、まぁわからなくもない。

でもだからこそ「体験版」が昨今コンシューマーでもできるようになったし、触れる機会がまったくないわけではないから、目を向けてくれる機会がまたきたらいいなぁとひっそりと願うばかりです。

 

後はストーリーがやっぱりしっかりしていると、だんだんと口コミでも何でも広がっていく部分もあるんじゃないかなあとも感じます。少なからず女性向けでも男性向けでも「受けている」理由ってストーリーが面白いっていう部分があるから続いているんじゃないかなあと。

10年前と同じ商戦でいったらそりゃ難しくて、店舗特典で複数購入していってくれるユーザーにすがっていくとどうやっても減少傾向になっていくんじゃないかな。(昔はほぼ毎月複数乙女ゲー買ってたタイプのオタクです)

つい最近福袋で渋谷109がトレードコーナーを使用する人が減っていったっていう話がニュースになっていたんですが、それってメルカリとか、後はTwitterSNSでの交換が主流になっていったからだと感じますし、「そりゃそうだ」っても思います。時流に合わせた販売促進をしていかなきゃいけないのは多分、どのジャンルもどの界隈もしかりで、そこを見定めていくことが必要になってくるのかなあと。

 

個人的には女性向けゲーム(乙女ゲーにしても女性向けアドベンチャーゲームでも)も楽しんでいる一人として、面白くて「楽しい!」ってなれる出会いがまたあったらいいなぁと思うばかりです。

*1:スタンドマイヒーローズ

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